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あたしは少し安心しながら着替えを済ませた。

「これでいいんですか?」

言われた通りに楠木さんの元へ向かい確認をとる。

「ああーいいねえやっぱり!」

「……ですか?」

「商品のコンセプトにピッタリだと思うよ」

「……コンセプト?…他の子に比べて太くないですか?とくに太ももとか……」
そう、他の子に比べたらまるで競輪選手並だ──

「大丈夫!膝も真っ直ぐでスッキリしてるし…“ワイルドーでセクシー”これが今回のメーカーのコンセプトだから」

「ワイルドセクシー…」

「そ!…例えば動物の豹のような脚ね。足首ふくらはぎは締まってて腿はパンッと張った感じの立体感。それが欲しいんだよ今回の商品売り出すのにね」

「簡単にいうと運動部のような脚ですね?」

「……たしかに近いね。でもワイルド過ぎても困るから」

「………その変の違いがよくわかりません」

「……撮影に入ったらわかると思うよ…取り合えず男好きする脚だから…」

「男好き?」

夏希ちゃんはあたしの脚好きだけど……

同じことかな?…

楠木さんは考え込むあたしの背中を押した。

「順番きたから行ってらっしゃい。言われる通りに動けばいいから」

言われてあたしはオーディション会場に入った。

一度に三人ずつの女の子が呼ばれ言われた通りに振る舞う。



何度も椅子から立ったり座ったりを繰り返し、真っ直ぐ歩けと言われて歩いたり…

「じゃあ三番」

三番?あたしだ──

「胡座かいて立て膝立てて座ってみて」

「はい」

胡座で立て膝?

家でいつもやってる格好だ……

あたしはそう思いながら何気に指示されたポーズをとる。

「はいOKじゃあ後ろちょっと向いて」

「はい」

「前向いて」

「はい」

「休め、して」

「はい?」

「休めのポーズね」

なる…

あたしは言われた通りに動いてまわる。

審査員は男女交えて四名──

なんだか合格決まってるとはいえ慣れない環境で見られるのは緊張する。

審査が終わって会場から出ると楠木さんと、見慣れた顔が並んでいた──

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