191 / 403
5
しおりを挟む「そんなに時間作って逢ってくれてたのになんで短期間でわかれちゃったんですかね?もしかして話題作りとか?」
「──…!」
自分が溢した砂糖に腹が煮えて言ってしまった。
“確かにこのまま付き合ってもいいかなって思ったよ”
──…っ
“…でも今は晶さんに夢中じゃんっ!”
……そうだよ、今はあたしのこと大好きなんだから…
「……ちょっと…っ」
舞花は呟いた。
「ちょっと距離置いてるだけよっ…」
震える囁きにあたしはカウンターの流しから顔を上げた。
悔しそうに唇が歪んでいる。あたしの言った言葉は強気を装った彼女の痛い部分を一撃にしたらしい。
ほら…だから毒を吐かないようにしたのに…
彼女は震える唇を必死に動かす。
「あたしの演技が上達するまで距離置いてるだけっ…上手くなったらほんとの恋人になるって言ったんだからっ…」
「──……」
ほんとの恋人?
なにそれ…
舞花の言葉にあたしは思わず顔を強張らせた。
「それまで距離を置いてるのっ…聖夜はあたしのために少し離れてるだけっ…」
「ふ……それも別れる前の話しじゃ意味な…」
「今の芝居の稽古付けてくれてる時に言ったからっ──…」
「……──」
「今のドラマのヒロイン決まった時に言ったから…っ」
「なに…それ」
お思わず胸の呟きが口から出ていた…
・
舞花の言葉を疑いながら、同時に夏希ちゃんが口にした言葉を疑い始めている。
ドラマが決まってから言ったならあたしと付き合い始めてるじゃん──
初めて動揺を見せたあたしを見て舞花は少し自分の立場に自信が持てたようだった。
ふんと笑う笑顔はこの上なく性根のただれた悪女だ…
あ、いいんじゃない?その顔──
つぎはヒロインより絶対ライバルの性悪な脇役に抜擢されると思うよ。うん。
なんて他人事のように冷静に舞花の表情を見てそんなことを思う……
“ほんとの恋人に”……?
夏希ちゃん、あたしにもそう言ったよね?
“キスしたらほんとの恋人になるって約束したよね?”
夏希ちゃんあたしにもそう言ったよね…
なに?
あれって夏希ちゃんの常套句?
女振り向かせるためのただの口説き文句?
舞花はどこかしらスッキリした顔を見せてバックから財布を取り出してお金を置いた。
ここに来たのは単にあたしのこんな顔が見たかっただけなのだろうか?──
聖夜はいずれ自分の元に戻ってくると言いたかっただけなのだろうか?──
あんたはそれまでの間繋ぎだから本気になるなと忠告にきただけなのだろうか──
ごちそうさまと笑顔で言って軽やかにヒールを鳴らし、帰っていく──
彼女の残していった疑惑の波紋はあたしの中で大きく広がっていた……。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる