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25章 虎視眈々
しおりを挟む「おはようございます!今日も宜しくお願いします!」
撮影スタッフが慌ただしく準備に取り掛かる中を俺は挨拶を交わしながら通り抜ける。
スタジオの入口に現れた舞花を目にすると俺はその前を通りすがりながらぼそりと伝えた──
「仕事終わったら話があるから」
「……わかった」
何を言われるかもわかってんだろうか?
俺に話があるなんて言われて少し嬉しそうな顔を見る限りでは、ぜんぜんわかっていない気がする……。
撮りが終わって楠木さんの運転する車に乗ると、直ぐに俺は舞花に切り出していた。
「舞花…」
「なに?」
「この間、和らぎって喫茶店に行った?」
「──…っ…」
「何しにいったわけ?」
楠木さんは低い声で静かに追及する俺をミラー越しにチラリと覗いていた。
「ねえ、何しにいった?」
「……」
「普通言わないよね?俺がセックス上手いとかさ…」
「──…っ!」
「お前、大人の女としてレベル低すぎ──…最低っ…二度と行くな」
キツい一言を並べ立てる──
楠木さんは内心ハラハラしながら後ろの様子を窺っていた。
舞花は俺の口から出た言葉に密かに顔をひきつらせている。
・
「あの子聖夜にチクったんだ?性格悪…」
は?──
「……っ…どっちが!?様子がおかしいから俺が聞き出したんだよっ!」
「聖夜、落ち着けっ」
楠木さんはキレかけた俺をそうなだめていた。
こりゃだめだ…
こいつちょっとオカシイ
すべてが自分を基準に回っているらしく、気持ちいいくらいに己のしたことは棚に上げている──
「なに考えて人の恋人に会いにいったわけ?」
「だってっ──…パンピーのくせにムカつくからっ…」
おいおい、お前も元は一般ピープル。パンピーだろ?
舞花は何かを堪えた表情で言い切った。
「パンピーのくせに聖夜と付き合うなんてありえないっ…それじゃあたし何のために女優になったんだかっ…」
「なんの為になったんだよ!?仕事嘗めんなっ!」
くだらない──
俺のためだって言いたいんだろうけど誰も頼んでないしっ…
舞花はキレた俺の言葉にポロポロと涙を流し始めていた。
ミラーで楠木さんと目配せしながらため息がでる。
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