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しおりを挟む「この番組で自分をうまくアピールしろよ? じゃなきゃ後がないぞ」
「…っ…──」
社長はボールペンの先を舞花に向けて釘を刺す。
舞花はぐっと口を閉じていた。
「いいか舞花? 女のキレイは長くは売れん──…お前は一般人の中に居れば中々美人、スタイルもイケてる…だが、この業界に入ったら“ただの人”お前は中の下だ──…そこを肝に命じておけ」
「……っ…」
社長のスパイシートークが始まった。
この手の話しは俺も何度となくヤられている──
ただ…
社長がこんな辛辣さをひけらかす時は見捨てる前提じゃない。
明らかに舞花に期待を寄せている証拠だ……。
社長の口振りにムッとしながらも舞花は社長から目を反らさなかった──
お、…いい目をしてる──
俺がそう思ったってことは社長も同じことを感じてる筈だ。
舞花は確かに少しずつ…
成長してきている──
「キレイだけでは食えん……そんなタレントは腐るほどいる。だがお前は女優になった。女優にキレイはいらんっ──…お前の持ってる華を出せ」
「……華っていったって……」
社長に真剣に諭されて舞花は口ごもる。
・
「なんでもいい……取りあえず自分をぶつけて出しきれっ…先ずはそれからだ。演技の勉強はそれからでいい──…女優は死ぬまでやれる。頑張ってくれ」
社長に言われ、舞花は俯きながら頷いた。
その顔をふっと隣にいた俺に向ける──
「聖夜も応援してくれる?」
「……──」
何を言い出すかと思えばヤケにしおらしいことを口にする。
「するよ…舞花が本気で頑張る姿は俺も見てみたいって思うから……頑張ってこの事務所支えてよ」
少し笑みを向けると舞花は照れながら小さく頷いた。
髭の社長は俺の後押しの言葉にデスクの端からグッとサインを見えないように送ってくる。
こんなんでほんとに頑張ってくれればいいけどね……
ただ、
今日の舞花は純粋に可愛いとも思えた──
楠木さんの送りで光の君の撮影に向かった舞花を見送ると俺はソファに腰掛ける。
「なんで晶さんを出したの? 舞花が乗ってきたからいいようなものを──…」
ふと気になったことを社長に突き詰めた。
「お前のこともあるし晶を出したら舞花は負けん気がでる」
「出たからいいけどね」
「この間のマリオの撮影のことを舞花は気にしてるからな、ははっ……返っていい刺激になった」
「刺激って?」
「自分が晶の代わりにされてたってのがショックだったらしいな……しかもやりこなせなかった上に、晶が来て万事オッケーとなった……うまくやれてれば自分の仕事になったのにな。多少のプライドが傷付いただろ?」
「………」
「傷付いてもめげないのが舞花のいいとこだ。この世界で生きていける──…図太さは必須だからなここで食ってくには」
社長は組んだ手を顎にあて、ふっと笑う。
なんだか子供の成長を楽しみにしている父親のようだ。そんな笑みを浮かべた社長に俺はふ~ん、と短く返した。
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