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しおりを挟む「何がどう最悪?」
夏希ちゃんはあたしの布団を引き剥がして上からそう言った。
「俺に見つかったから? 見つからなきゃ、あいつに髪触ってもらって終始楽しい休日になったってわけだ」
「そんなこと言ってない!」
「言ってるのと同じだろっ!? 俺の顔みて思いきりヤバイって表情(かお)したの誰だよっ」
「……!…」
「ほら…図星じゃん…」
えらい強気に出てこられ、責めてくる夏希ちゃんに面倒臭さが沸いてきた。
あたしは取り上げられた布団を奪い返して拒否するようにその中にくるまる。
引っ張り合う布団の波に弾かれて、紙袋は床へと落ちる。その背後からは夏希ちゃんの苛立った溜め息だけが聞こえてきていた。
溜め息つきたいのはこっちだって同じ。
今日は夏希ちゃんのことを考えながら買い物だって楽しんだのに。。。
久し振りに可愛い服買ったのに。。。
それが全部台無しになった──
何気に悔しさが沸いてあたしは唇を噛む。
布団越しにガサガサと音が聞こえる。夏希ちゃんは床に散らかった紙袋を起こしているようだった。
・
夏希ちゃんはそんな音を立てながらポツリ呟いた。
「俺…浮気するよ…」
「………」
「晶さんがそんなんなら俺、浮気する……」
「……っ…すればっ?」
噛んだ唇を放したら急に声が震えてしまった。
「すればいいじゃん、したいならっ…止めたってする人はするしっ…」
「そういうことは止めてから言ってよ…」
「………」
「晶さん止めたことないじゃん…今までだって一回も…俺に必死になったことないじゃんっ…」
「………」
「舞花なんてすごいよ? 俺を取り戻すのにあの手この手だよ? マンションで待ち伏せたりっ…力付くで押し倒したりっ…今は必死になって我儘なとこ変えようと努力してるよ俺の為にっ!」
「──……」
「晶さん、俺の為に何努力したっ? 一度でも必死になった?」
「──…っ…」
「やりたい放題やってなんにも頑張ってくれないのにっ…俺が舞花を可愛いって思っても仕方ないからっ…」
「………」
「俺…っ…今は本気で舞花に揺れてるからっ──…」
壁に夏希ちゃんが投げ付けた紙袋の音がする。ビックリして肩がすくむとドアが強く閉まる音がした。
立て続けに夏希ちゃんの口から吐かれた言葉に言い返すことができなくて、あたしは目を見開いたまま布団の中で身を固めた……
「……っ…」
責められた言葉につい顔が歪む。
「努力はこれからしようと思ったとこじゃん…っ」
そんな弱い声が漏れる。
その為にかった洋服の紙袋は壁に投げ付けられて形が崩れている。
頭元に落ちているその袋を布団から覗くように見つめるとあたしの目に少しだけ涙が滲んだ。
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