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電話口の多恵ちゃんは少し興奮気味だ。
「でさ、晶が来るなら行くって言ったらしいよっ」
うひぃっ…多恵ちゃんもう止めて!
あたしの腰を捕まえるようにして抱き締める夏希ちゃんの腕に力が入る。
「ねえ晶どうするっ!?復活しちゃったりしてっ!」
「し、しないしないっ!そんなことないよっ!」
あたしはムキになって声を張り上げた。それは多恵ちゃんに対してではなく、夏希ちゃんへの言葉だ。
背中越しに夏希ちゃんのピリッとした感情が静かに伝わってくる──
あーっもう電話切りたいっ!
「あ、あたしちょっと用事がっ…」
そう言いかけた口を夏希ちゃんの手が塞ぐ。夏希ちゃんはあたしの携帯を耳から放すとボソと呟いた。
「続けて…」
「はい…」
しょうがない……
物凄く重苦しい空気が漂う。
放した電話を再び耳に充てた。
「なに?忙しい?」
「ううん……大丈夫」
じゃないけどね……
「で、丸山はあたしが来るって言ったわけだ…」
「らしいね、てかさっ…丸山がまだ気があるのかって茶化したらっ」
ううっ…もうやめて多恵ちゅあん……
「なんだかんだ言って晶が一番良かったっ!ってさ!!キャー恥ずかしくないっ!?言ってくれるよね!?丸山も自分で訊ねて恥ずかしくなったて!なんか笑えるっ」
「うん、笑えるね」
こっちは笑えないけど…
耳元で強い溜め息が吐かれた。
・
夏希ちゃんの額があたしの肩に押し充てられる。
小さく微かに聞こえてくる声…
「もういいよ…切って…」
掠れた声でそう言った……
「……、あ…多恵ちゃんごめん、ちょっと着信入ったから切るね…また今度掛けるから」
「あ、そう?じゃ、またね!そっちの土産要らないから手ぶらで帰ってきなよ?あんた貧乏なんだからっ」
「はは、うんわかった、またね」
明るい多恵ちゃんの声が途切れた──
できればずっと電話掛けていたかった…
静かになった上にこの気まずい空気──
後ろから抱き締める夏希ちゃんの喉が何度もゴクリとなっているのがわかる。
たぶん苛ついてるんだろうな──
何か言いたいのを我慢してんだろうな──
だから聞かずに切ればよかったんだよ…
嫌いになって別れた相手じゃなかったから…
だけど元彼は大学に入ってすぐに新しい彼女が出来たと聞いた──
あたしと言えば引きずったのは1年くらい……
ただ、バイトに追われ…
失恋を癒すためにちょこちょこ通った喫茶店のコーヒーに惚れて……
いつの間にかこんなコーヒー淹れられたらいいな…
なんて夢ができて──
元彼のことを忘れて今に至るわけで。。。
「でさ、晶が来るなら行くって言ったらしいよっ」
うひぃっ…多恵ちゃんもう止めて!
あたしの腰を捕まえるようにして抱き締める夏希ちゃんの腕に力が入る。
「ねえ晶どうするっ!?復活しちゃったりしてっ!」
「し、しないしないっ!そんなことないよっ!」
あたしはムキになって声を張り上げた。それは多恵ちゃんに対してではなく、夏希ちゃんへの言葉だ。
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あーっもう電話切りたいっ!
「あ、あたしちょっと用事がっ…」
そう言いかけた口を夏希ちゃんの手が塞ぐ。夏希ちゃんはあたしの携帯を耳から放すとボソと呟いた。
「続けて…」
「はい…」
しょうがない……
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じゃないけどね……
「で、丸山はあたしが来るって言ったわけだ…」
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ううっ…もうやめて多恵ちゅあん……
「なんだかんだ言って晶が一番良かったっ!ってさ!!キャー恥ずかしくないっ!?言ってくれるよね!?丸山も自分で訊ねて恥ずかしくなったて!なんか笑えるっ」
「うん、笑えるね」
こっちは笑えないけど…
耳元で強い溜め息が吐かれた。
・
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小さく微かに聞こえてくる声…
「もういいよ…切って…」
掠れた声でそう言った……
「……、あ…多恵ちゃんごめん、ちょっと着信入ったから切るね…また今度掛けるから」
「あ、そう?じゃ、またね!そっちの土産要らないから手ぶらで帰ってきなよ?あんた貧乏なんだからっ」
「はは、うんわかった、またね」
明るい多恵ちゃんの声が途切れた──
できればずっと電話掛けていたかった…
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後ろから抱き締める夏希ちゃんの喉が何度もゴクリとなっているのがわかる。
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