男装バレてイケメン達に狙われてます【逆ハーラブコメファンタジー】

中村 心響

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第四章 伝説編

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…好きな人に・・・か



あたしは…



あたしは………


「やっぱり当分はお預けかな……」


真っ赤に塗ってチェック柄を描いた自分の卵を眺め、アルはポソッと呟いていた。

恋だ、なんだって…

浮かれてちゃイケナイ気がする…

あたしが一番気を引き締めてなきゃだめなのに……

これから…

生きて行く為にやらなきなゃならないことは沢山あるから……


アルの耳には遠くで響く船の汽笛の音が聞こえていた。

南に食糧を輸出するため、日夜を問わず運航される貨物船。中でも水の輸出量は半端ではない。


水が断たれれば…

人は、生き物は生きていけないから…


それはアル達が身を持って知っている。


ごめんなさい…

ロイド…

今は……皆が好きなの……


それで許して欲しい…



小さく溜め息をつくと、カタンと椅子から立ち上がり、アルは出窓のカーテンを閉めて部屋に戻った。


部屋のランプが消されて行く中、たった一つの部屋だけ明かりが付いている。

勤勉なマーク博士の部屋だ。



マークはいつもの解読の作業に当たっていた。

恋に仕事に大忙し。

今一番、多忙を極めるのはここに居る、わずか五歳のマーク博士なのかも知れない。

「ん…と……へえ…そうか…」

ブツブツと呟き小さな親指をペロっと舐める。
毎日分厚い本を捲るお陰でマークの指先はカサカサ。

マークは指を湿らせながらページを開いていた。


∬神の従者 三の勇者に選ばれし者が揃う時
神の化身聖獣の導きにて神の村への扉が開かれる

三の勇者率い
従者が聖女の丘に立つ時
三の勇者の心一つならば聖女の丘に女神が降臨す


従者と成る者よ

覚醒の儀を受け女神が与えし偉大なる神々の力をその身に宿せ―――∬


「神の化身…せいじゅう…聖獣は神獣とは違うのかな…」

そう呟くとマークはあっ!と声を上げた。

老師から託されていた第二章の書物。
マークはそれを手に取ると気になるページを開く。

∬神の化身に跨り従者は天を駆け巡る──∬


「ここだ…じゃあ、神の化身は神獣とはべつ?…んー…」

小さな手に握られた大きめの羽根ペンがサラサラと紙の上で踊る。
前に読んだ内容を確認すると、ルイスに報告する為にマークは細かく紙に書き記していった。



深い夜──


強く吹き始めた風が窓をカタカタと鳴らしていた…



「ふ…楽しみだな……」


静かな部屋で、嬉しさに顔が思わずほころび独り言が漏れる。

帰ってくるなりテーブルに置いてあった大きなリボンのついた箱を抱え、自室に向かったロイドは自分のプレゼントした服を着て復活祭(イースター)ではしゃぐアルを想像し、頬を緩めていた。




明日の朝、届けに行こう…

そして明後日はこの服を来たアルと教会に行って……


考えるだけで胸が弾む。


ドレスを届けたらどんな顔をするだろうか?


思いきり喜んでくれるだろうか?


それとも照れてうつ向きながら小さく礼を言うだろうか?



そんなことさえも想像するだけで幸せが込み上げる。


「アル…」


ロイドはアルの名を小さく呟きプレゼントの箱に口付ける。

明日、ドレスを渡すだけでも楽しみで仕方がない。

ベッドに寝転び長い脚をドサリと放り投げる。
想像しながら閉じた瞼には自然と笑みが浮かぶ。

ロイドは夜が明けることを待ちわび、早めに床についていた──

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