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第四章 伝説編
6話 伝承の地
しおりを挟む―コンコン!
「ルイス様、地図が仕上がりました。」
「あぁ、フロイトか‥」
地図を手にしてルイスの執務室を訪ねたのは地図師の《フロイト》だった。
「いつもよりちょっと手間取ったようだな?」
「はぃ、申し訳ありません💧文字の薄れている箇所ばかりだったので💧‥」
「腕利きのお前でも難儀だったか?
さすが、二千年の歴史物だな」
詫びるフロイトを、ルイスは労うように言った。
オークションパーティから2日が明け、手直ししてもらった地図がやっと出来上がった今日。
アルの方は足の怪我で立ち回り稽古が出来ないために一週間の休みを貰っている。
そして、役所館内にはアレンが必死で競り落としたオークションの品『豊艶の女神』の絵が飾られていることをアルはまだ知らない💧
「ところでルイス様、この部分なんですが‥‥」
フロイトは地図を広げルイスに見せた。
フロイトの指さす部分に目をやると、現在、ルバール城の位置となる場所に何やら記されている‥
「‥村名か?
にしてはタラタラと長いな?」
「えぇ、拡大顕微鏡で見たんですが‥何度見てもミミズがはってるようにしか見えなくて💧」
「確かにな💧」
・
「一応、そっくりそのまま移してありますが‥自分でも落描きを描いてる気分でした💧
‥他にも同じようなところが何箇所かあるんですが、この部分が城の場所だったので、もしかして何らかの意味があるのではと‥‥」
「あぁ、何かあるかもな‥
わかった、後で調べてみるよ。ご苦労だったなフロイト‥新婚のお前に徹夜作業をさせちまって‥‥ニヤ‥」
「‥!ッ//‥いや別に💦徹夜なんてしてなっ‥」
「お!そうか?
俺はてっきり、お前の目の下のクマを見て必死になって地図作成に取りかかってくれたもんだと‥‥」
「――!っ‥///」
ニヤニヤしながら語るルイスにフロイトは真っ赤になって焦っている‥
「なんだそうか‥必死になって取り掛かったのは別のことか?」
「―――!!っわ、私はこれで失礼しますッ‥//」
ルイスの尋問に耐えられずフロイトは慌てて執務室から立ち去っていった‥
‥なんだ、思いっきり図星か💧?
あのクマの出来方なら相当頑張ってんな💧
‥‥‥地図の作成も遅れるはずだ💧
ルイスはフロイトが立ち去った部屋で地図を眺めた。
‥城が建つ前にココに何かあったんだろうか?
墓‥とか?
・
ルイスは文字の部分を指でなぞりながら考える。
‥伝承の地…
この国と何らかの関わりがあるっつってたな、確か…
ルイスは老師の言葉を思い出す。
『他にも何箇所か同じような‥』
そして、フロイトが言っていた他の箇所の文字も探してみた‥
見えにくくはあるが、かすれたような文字で確かにあちらこちらに記されている。
‥古の文字?そー言えばまだアイツらの村名を聞いてなかったな💧
アルは怪我で休みだってアレンが言ってたから‥
じゃあ、ティムに聞いて見るか?
ルイスは地図を持って馬小屋を訪ねることにした。
―コンコン!
「おクスリ持って来ました!」
「おぉ‥いつも、助かるよ博士クン。
お前サンの薬はホントによく効くからのぉ!」
カチャリ!‥とドアを開け老師のとこに顔を見せたのはマーク博士だった
いつもはルーカスが薬を届けるのだが、今日は研究中で手が放せないルーカスの代わりにマークが届けにきたようだ。
本好きのマークは部屋に入るなり書庫の本の数に圧倒されていた‥
小さな体をぐるっと回転させマークは書庫全体を見渡す。
「ん‥さすが博士。
本がお好きかな?」
・
老師は口をポカンとあけて驚くマークに声をかけた
「うん僕、本大好きだよ!長の家にもいっぱいあってね、毎日読んでたんだ!!」
そう言ってイキイキと輝くマークの顔を見ながら老師は思い出した。
‥む、確かこの子が伝説に詳しい子だとルイスが言っておったな‥‥‥
老師はマークを手招きしながらクッキーを差し出す。
「お前サン達の村の話しを聞きたいんじゃが、この年寄りとちぃ~とばかり遊んでくれんかの?」
その誘いにマークは、んー‥っと考える。
「僕まだお仕事中だから💧ごめんなさい。」
すまなそうに頭をぺこりと下げるマークに老師は言う
「なら、この年寄りの相手をするのも医療の一環じゃ!大丈夫じゃ‥ルーカスには老人介護をしてきたと言えばよかろう♪」
老師は長いアゴ髭を撫でながら笑みを浮かべると使いの者を呼びつける。
「なんでしょうか?老師様」
「うむ。博士をちょいとばかり借りるとルーカスに伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
使いの者は頭を下げ部屋を出ていく。
「さぁ、これでよかろう?」
「‥‥うん!」
そう言って老師はマークに椅子を勧めた。
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