男装バレてイケメン達に狙われてます【逆ハーラブコメファンタジー】

中村 心響

文字の大きさ
254 / 312
第四章 伝説編

5

しおりを挟む


「別に疑っちゃいないさ…お前は馬と鹿に正直がつくくらい嘘は嫌いな奴だからな……」

「馬と鹿か………」

ん?…

レオはルイスが口にした言葉を呟き首を傾げる。
ピンときたのかこないのか?そんなレオにルイスは自分の手を見つめたまま尋ねた。


「お前が手にした石も光ってたのか?」

「あ? ああ…俺様のは青く光ってた…ちょっと指で引っ掻いただけで簡単に取れたからせっかくアルにプレゼントしようと思ってたのによ!」

「…青?」


チッと舌打ちするレオにルイスは顔を上げる。

「ああ…研きの掛ってない石であんなに綺麗なもんはそうはない。
研磨すりゃ相当の値打ちモンになるな…。結局はもう無いが…お前が手にした石は俺様には中々取り出せなかった」


ルイスはもう一度自分の手の平に視線を落とした。

「もう一つある…」

レオは壁を指差した。

「この石もたぶん光るんだろうぜ──」


レオは消えた石と並んで埋め込まれている石ころを指でなぞる…


「こいつは何色に輝くんだろうな…」

そう言ったレオにルイスはニヤリと不敵な笑みを向けた。

「そうだな…おそらくは赤く眩い光りを放つんだろうな…」




ルイスの確信を持った表情を見てレオも口端に笑みを浮かべた。

…へっ!  やっぱり何か知ってるって顔だなありゃ…

「丁度いい…お前に聞きたいことがあった」

レオはルイスの肩に腕を回す。


「只今、全、お国の一大事ってやつだろ? ここはちょっと…情報交換といくか?…」


「ふ…断る……」


「………あ!?」


「と……言いたいとこだが、こればっかりわね……」


ルイスは肩をすくめた。


「レオ、どうやらお前の力も必要になるようだ」



ルイスはため息を力一杯吐くと半ば愉しそうな笑みを浮かべる。


…ふ…神も中々やってくれる…


ちゃんと選んでるってわけだ…。


レオが青 

そしてこの俺が緑…


そうきたら


さあ…


後に残るコイツを手にするのはどんな奴だ?…




ルイスは目の前の石ころを見据えると石の消えた自分の手を握り締めていた………



仄暗い室。半分まで溶けたロウソクの頼りない明かりの中、妃奈乃と未夢は経を唱え続けていた。


いつになく、母親 妃奈乃の額に玉の汗が吹き出している…


母様…


「未夢…読経に専念せい」

「はい…」


母を気にする娘…

未夢の集中力の欠けに気付いた妃奈乃は注意を促した。


闇の力が強まっておる…


黒い憎悪の念が南の地を取り囲むようにして渦巻く様が、魔鏡を透して妃奈乃の目には見えていた。


白の神よ…どうか我らにお力添えを―――!


経を読み上げる声を強めた母に続き、未夢も鈴を揺らす手に念を込めて声を張っていた。






寝静まる街を再び冷たい雨が濡らしていく…

深夜遅くにも関わらず城の広い会議室には、知らせを聞き眠気もどこぞへと飛んでいった国王と老師が腰掛けていた。



向かい会った王の風格にひけを取らぬ男。大山賊のお頭、レオは両腕を組んだままその場をじっと見据える。



「神の降りる泉にて…従者の盾となり力となり知恵となる者。使者として貴殿達が選ばれようとはな…」


ゆっくりとした口調で語る王の深い声は天井の高い会議室内に静かに通り、重みを増していた。




「神か…ふんっ…神に選ばれんでも俺様がやることは俺様が決める。アルを守るのに神に選ばれようが俺様には関係はねえんだがな…」

レオは強気な発言を王に返す。

遺跡の前で不意に聞こえてきた不思議な声…

“青の使者に相応しき者よ…”

あれはこのことを言ってたって訳か………



これ迄の経緯を聞いて、アルに課せられた使命の重みを知ったレオ…


神がなんと言おうとアルは俺様の大事な嫁だ…
あいつは俺様が守るに決まってやがるだろうが!

神が認めるなんてしゃらくせえってんだ!!―――


「まあ、まだ決まった訳じゃあない…」

「うむ…そうじゃな…」

口元で手を組みため息をつくルイスに老師も頷く。

「勇者と選ばれ“試練”を越えた者。…その者が使者として神獣、天 地 海の守護神の力を与えられる…そう古の書には記されておる…」


「試練?…ああ…はっ! そういやあの時の声もそう言ってやがったな…」

…声!?


知ったように鼻で笑い飛ばすレオをルイスは見た。


「なんだあの時の声ってのは!?…」

「遺跡の前で、試練を受けろってえ声が聞こえてきた」




―――…湖で……

「本当かそれは?…」

ルイスは再度レオに尋ねた。

「アルも同じことを言っていた──神の降りる泉…そう名付けられる何かがあるのかも知れないな…」

「うむ…少しずつではあるが、どうやら事が運びつつあるようだな……ならば、先ずはその南の地の者達が無事に着くことを祈ろう。

レオ、我らの力が必要な時は直ぐに申すがいい」


レオは頷くと席を立った。

「ルイス…」

レオの後から席を立ったルイスを王は呼び止めた。


「これからはレオ達山の者とも密に連絡を取るように」


王の言葉に静かに頭を下げてルイスはレオの後を着いて会議室を出て行く。
王と老師はそんな二人を黙って見送っていた…


「クラディウス…我々も各国の大臣達とじっくりと策を練らねばなるまい…」

「そうですな…先ずは被害の酷い西の国に隊の遠征と、南は食料の援助をしていかねばならぬでしょう…やるべきことはたっぷりとある。この歳になって骨が折れますな…」


老師は長い顎髭を撫でると深い溜め息をついていた…

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...