43 / 53
2
しおりを挟む
・
「お…来たな」
モニターに映った知也を確認すると、克俊は玄関に急ぐ。
そして玄関の扉を開けて出迎えた知也の姿に、待ちくたびれた克俊の心とチンコがキュンと張りを帯ていた…
「遅かったな」
「そう?」
「そう?…なんて待つ身の辛さは知也には分かんねーんだな……」
心無しかテンションの低い知也の言葉に克俊は少し気を落とした。
「ご、ごめんねっ!…荷物が重くてっ…これでも家に寄らないで真っ直ぐこっちにきたんだよっ」
「荷物か……言えば迎えに行ったのに」
落ち込む克俊に知也は焦りながら説明していた。
知也に目を向けると、身体半分程の大きな紙袋を重そうに提げている。
持ちきれずに引きずって歩いてきたせいか、袋は底が破け掛けていた…
「なんか、他に大きい袋ある? 今日渡されるとは思わなくて…」
破け掛けた袋をんしょ、と持ち上げた瞬間にその袋は最後の役目を終えた。
勢い良く、破けた底から袋の中身をブチ撒ける。
克俊はその荷物の山に目を光らせた―――
・
「こ、れは!?………」
「―――…あ…と、これは……」
白いモコモコとした素材のパンツに丸いしっぽが付いている。近くにはウサミミのカチューシャが落ちていた…
「あ、あの…僕…ウサギの役で」
「ウサギっ!?」
エヘッと頭を掻き知也は愛想笑いを浮かべ中身の説明をする。
克俊はちょいの間だけ放心状態だった。
「ウサ……」
(知也が―――っ…ウサギっ)
「みっっ…見たいっ―――!!」
ガバッと白いモコモコパンツを拾い上げ、握り締めて意気揚々と目を潤ませる。
「克…俊……」
“絶対に有無は言わせないっ”
克俊のそんな勢いの眼差し…
知也は克俊の表情に息を飲んでいた…
「ど、どんな物語なんだ!?」
「どんなって…」
(そんなに興奮しなくても…)
ずずいっと近より瞳を輝かせる。
そんな少し暑苦しい克俊を押しやりながら知也は言った。
「童話だよ…」
「童話?」
「うん、克俊は何もしないの?」
「あー? するわけないだろ。文化の日は祝日だぜ?なーんで休みにわざわざ面倒くさいことすんだよ?」
「そりゃそうだけどでも学校の行事だか…」
(もー、ホントに素行不良なんだから克俊はっ…)
「お…来たな」
モニターに映った知也を確認すると、克俊は玄関に急ぐ。
そして玄関の扉を開けて出迎えた知也の姿に、待ちくたびれた克俊の心とチンコがキュンと張りを帯ていた…
「遅かったな」
「そう?」
「そう?…なんて待つ身の辛さは知也には分かんねーんだな……」
心無しかテンションの低い知也の言葉に克俊は少し気を落とした。
「ご、ごめんねっ!…荷物が重くてっ…これでも家に寄らないで真っ直ぐこっちにきたんだよっ」
「荷物か……言えば迎えに行ったのに」
落ち込む克俊に知也は焦りながら説明していた。
知也に目を向けると、身体半分程の大きな紙袋を重そうに提げている。
持ちきれずに引きずって歩いてきたせいか、袋は底が破け掛けていた…
「なんか、他に大きい袋ある? 今日渡されるとは思わなくて…」
破け掛けた袋をんしょ、と持ち上げた瞬間にその袋は最後の役目を終えた。
勢い良く、破けた底から袋の中身をブチ撒ける。
克俊はその荷物の山に目を光らせた―――
・
「こ、れは!?………」
「―――…あ…と、これは……」
白いモコモコとした素材のパンツに丸いしっぽが付いている。近くにはウサミミのカチューシャが落ちていた…
「あ、あの…僕…ウサギの役で」
「ウサギっ!?」
エヘッと頭を掻き知也は愛想笑いを浮かべ中身の説明をする。
克俊はちょいの間だけ放心状態だった。
「ウサ……」
(知也が―――っ…ウサギっ)
「みっっ…見たいっ―――!!」
ガバッと白いモコモコパンツを拾い上げ、握り締めて意気揚々と目を潤ませる。
「克…俊……」
“絶対に有無は言わせないっ”
克俊のそんな勢いの眼差し…
知也は克俊の表情に息を飲んでいた…
「ど、どんな物語なんだ!?」
「どんなって…」
(そんなに興奮しなくても…)
ずずいっと近より瞳を輝かせる。
そんな少し暑苦しい克俊を押しやりながら知也は言った。
「童話だよ…」
「童話?」
「うん、克俊は何もしないの?」
「あー? するわけないだろ。文化の日は祝日だぜ?なーんで休みにわざわざ面倒くさいことすんだよ?」
「そりゃそうだけどでも学校の行事だか…」
(もー、ホントに素行不良なんだから克俊はっ…)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
171
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる