5 / 100
第一章 謎のイケメン御曹司の登場
4
少しウエーブがかったセンターパートの黒髪は綺麗に整えられている。
涼し気な目元にきれいに通った鼻筋。形の良い薄い唇にシャープな輪郭。
スラリとした体形も相まって、男の色気を感じる。
なんという品の良さだ。一目見ただけで、彼が洗練された男だと分かる。
「初めまして。今日から営業部の局長に就任した伍代智哉です。よろしくお願いします」
凛とした口調で挨拶した彼は盛大な拍手で迎え入れられる。
そのとき、彼の視線はなにかを探すようにフロアの人々の間を彷徨った。
ふいに目が合った。
瞬間、彼はわずかに目を見開いた。
射抜くような強い視線を浴びせられ私はそれに対抗するように彼を見つめ返す。
……どうしてだろう。
不思議なことに既視感がある。どこかで会ったような気がする。
テレビで見る芸能人に似ている人でもいるんだろうか。それとも……。
パッと彼に似ている芸能人は思い浮かばないし、私の勘違いかもしれない。
「すみませーん!ひとついいですか?伍代さんって元々は海外の超大手代理店で働いていたって噂で聞いたんですが、本当ですか?それと、独身ですか?彼女は?」
矢継ぎ早に質問を飛ばす黒川さんは、既に彼をロックオンしたようだ。
「元々はイギリスの広告代理店で働いていました。結婚はしていません。これ以上の質問はプライベートなことなのでお答えできません」
柔らかい口調ながら、伍代さんはハッキリと黒川さんの質問を拒絶した。
その軽いあしらいぶりから、彼が女性に言い寄られているところを容易に想像できた。
「えー……、じゃあ、どうしてうちの会社に来たのか、その理由は聞いてもいいですかぁ?」
伍代の「それは……」という言葉に、全員の意識が向く。
彼は海外の大学を卒業後、イギリスの大手広告代理店に勤務して成績を伸ばした。
若くして積み上げた経験と実績を買われ数多の企業が彼へアプローチをかけたという。
それは日本だけにとどまらなかったという噂を耳にした。
元々どこかの大企業の御曹司だと聞いた。そんな人がどうして……。
すると突然、伍代さんは私のいる方へ目を向けた。
さっきからなぜ私のほうばかり見るんだろう。
訝しく思いながら顔を顰めると、彼は唐突にツカツカと私の隣に歩み寄った。
ポカンッとした表情を浮かべる私や他の社員たちを横目に、伍代さんは満足そうに言う。
「彼女と一緒にいるために、日本に……、この会社で働くことにしました」
「……は?」
168cmの身長にプラスして8センチのヒールを履く私は、176cmだ。
その私が見上げてしまうほど長身の彼は唐突に私の肩を抱き、自分の方へ引き寄せた。
細身だと思っていたのに、鍛えているのかその体躯は意外にもガッシリしている。
フロア内に女性たちのキャーッという悲鳴にも似た黄色い声が響く。
男性職員は彼のあまりに唐突な行動に目の下を引きつらせている。
扱いずらい部長だけでなく、突拍子もないことをする局長まで現れたことに皆一様に戸惑いを隠せない様子だ。
「それなので、男性の皆さん、彼女に手は出さないようにお願いしますね」
にっこりと微笑む顔すら悔しいほど様になる彼の腕を、私は顔色一つ変えずにさっと振り払う。
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?