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第一章 謎のイケメン御曹司の登場
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「これから人選決定をしてチームを編成し、提案を決めて打ち合わせを重ねるのは無理かと。勝てば大きいですが、負けた時のリスクも大きくなります」
コンペに参加するには時間だけでなく経費や人件費も必要になる。それを踏まえて、負け戦になる可能性がある今回のコンペへの参加は断念すべきだ。
「なるほど。確かにそうですね」
彼の反応にホッと胸を撫で下ろす。
掴みどころのない人間ではあるものの、人の意見に耳を傾けることはできるらしい。
「ーーですが、そう言われるのは想定済みです。今回のコンペには業界一位と二位が参加する。第三位の弊社が参加しないでどうするんです」
彼の言葉に部長は信じられないというように一重の瞳をこれ以上ないほどに見開いた。
「……ちょっちょっちょっ!うちも参加すると?そう言いたいんですか!?」
「ええ。今回のコンペは弊社にとって大きな転機になるかもしれません。もちろん、これは私だけの独断ではありません。社長の一存でもあります。チームの人選はもう考えてありますので、これから呼ばれた人は残ってください」
表情は柔らかいものの、彼の口調は有無を言わさぬものだった。
そのあと、名前を呼ばれた面々は彼をぐるりと取り囲むように集まった。
「チームリーダーは、白鳥さん。他のメンバーは黒川さんと冬野さんと斎藤さんでいきます」
「やったぁ~!あたし、こんな大きなコンペ初めてなんですけどぉ~。あっ、もちろん伍代さんも協力してくれるんですよねぇ?」
黒川さん以外のメンバーは全員が死んだ魚のような眼をしていた。
特に冬野くんは不満そうな態度を隠そうとせず、眉間にしわを寄せている。。
入社三年目の美大卒業の彼はもともとクリエイティブの人間だった。それが昨年、営業部に異動になり、癖の多い上司と慣れない仕事に分かりやすく疲弊している。
175センチほどで細身でモデル体型の彼は、塩顔のマッシュヘアの今どきの若者だ。
一度外回りで風に吹かれ、彼の耳が露になった時、両耳に複数のピアスホールがあって驚いた。
あまり口数は多くないし自己主張しないタイプだけど、昔は意外とやんちゃだったのかもしれない。
「今回は私もチームに参加します。早速ですが、私と白鳥さんはオリエンの為、これからJJTの本社へ向かいます」
「これからですか?」
おいおい、と心の中で突っ込みを入れながら、昨年自分へのご褒美に買った某ブランドのゴールドの細身の腕時計を確認する。
「そんな急に言われても困ります。これからのスケジュールを確認していないので、行けるとは断言できません」
「それなら大丈夫です。急ぎの案件は他の人に振っておきましたので」
「なっ……」
まさかそこまで根回ししてあるなんて。
「なにか他に心配事は?」
「……ありません」
悔しいけれど、彼はよく周りが見えている。
まだ営業部に来て一週間だというのに、ずっと前からいたように錯覚してしまうぐらい仕事ができる。
正直、入社二十五年以上の部長よりも抜群に仕事が速いし、それでいて丁寧だ。
仕事ぶりは間違いなく彼のほうが圧倒的に上だ。
「担当者に頼み込んで時間をもらえることになりました。白鳥さんの言う通りオリエンは一日も早いほうがいいですしね」
彼はその場にいる全員に分厚い書類を手渡した。
「これは、過去五年間でジュージューバークのような家族向けレストランで評判がよかった会社のCMなどをまとめたものです。今日、オリエンで聞き取ったことは週明けの月曜日にまとめてお伝えします」
綺麗にまとめられた書類にパラパラと目を通した全員が息をのむ。
それは、このまま企画書にしてもおかしくないほどにきちんとまとめられていた。
悔しいけれど、イギリストップの大手広告代理店で働いていたというのは嘘ではないらしい。
「では、行きましょう」
彼の言葉に、私は渋々頷いた。
コンペに参加するには時間だけでなく経費や人件費も必要になる。それを踏まえて、負け戦になる可能性がある今回のコンペへの参加は断念すべきだ。
「なるほど。確かにそうですね」
彼の反応にホッと胸を撫で下ろす。
掴みどころのない人間ではあるものの、人の意見に耳を傾けることはできるらしい。
「ーーですが、そう言われるのは想定済みです。今回のコンペには業界一位と二位が参加する。第三位の弊社が参加しないでどうするんです」
彼の言葉に部長は信じられないというように一重の瞳をこれ以上ないほどに見開いた。
「……ちょっちょっちょっ!うちも参加すると?そう言いたいんですか!?」
「ええ。今回のコンペは弊社にとって大きな転機になるかもしれません。もちろん、これは私だけの独断ではありません。社長の一存でもあります。チームの人選はもう考えてありますので、これから呼ばれた人は残ってください」
表情は柔らかいものの、彼の口調は有無を言わさぬものだった。
そのあと、名前を呼ばれた面々は彼をぐるりと取り囲むように集まった。
「チームリーダーは、白鳥さん。他のメンバーは黒川さんと冬野さんと斎藤さんでいきます」
「やったぁ~!あたし、こんな大きなコンペ初めてなんですけどぉ~。あっ、もちろん伍代さんも協力してくれるんですよねぇ?」
黒川さん以外のメンバーは全員が死んだ魚のような眼をしていた。
特に冬野くんは不満そうな態度を隠そうとせず、眉間にしわを寄せている。。
入社三年目の美大卒業の彼はもともとクリエイティブの人間だった。それが昨年、営業部に異動になり、癖の多い上司と慣れない仕事に分かりやすく疲弊している。
175センチほどで細身でモデル体型の彼は、塩顔のマッシュヘアの今どきの若者だ。
一度外回りで風に吹かれ、彼の耳が露になった時、両耳に複数のピアスホールがあって驚いた。
あまり口数は多くないし自己主張しないタイプだけど、昔は意外とやんちゃだったのかもしれない。
「今回は私もチームに参加します。早速ですが、私と白鳥さんはオリエンの為、これからJJTの本社へ向かいます」
「これからですか?」
おいおい、と心の中で突っ込みを入れながら、昨年自分へのご褒美に買った某ブランドのゴールドの細身の腕時計を確認する。
「そんな急に言われても困ります。これからのスケジュールを確認していないので、行けるとは断言できません」
「それなら大丈夫です。急ぎの案件は他の人に振っておきましたので」
「なっ……」
まさかそこまで根回ししてあるなんて。
「なにか他に心配事は?」
「……ありません」
悔しいけれど、彼はよく周りが見えている。
まだ営業部に来て一週間だというのに、ずっと前からいたように錯覚してしまうぐらい仕事ができる。
正直、入社二十五年以上の部長よりも抜群に仕事が速いし、それでいて丁寧だ。
仕事ぶりは間違いなく彼のほうが圧倒的に上だ。
「担当者に頼み込んで時間をもらえることになりました。白鳥さんの言う通りオリエンは一日も早いほうがいいですしね」
彼はその場にいる全員に分厚い書類を手渡した。
「これは、過去五年間でジュージューバークのような家族向けレストランで評判がよかった会社のCMなどをまとめたものです。今日、オリエンで聞き取ったことは週明けの月曜日にまとめてお伝えします」
綺麗にまとめられた書類にパラパラと目を通した全員が息をのむ。
それは、このまま企画書にしてもおかしくないほどにきちんとまとめられていた。
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「では、行きましょう」
彼の言葉に、私は渋々頷いた。
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