22 / 100
第一章 謎のイケメン御曹司の登場
21
伍代さんと共にJJTを出ると、呼んでおいたタクシーに慌ただしく乗り込んだ。
車内で会食場所の店を探す彼。私は近くの洋菓子店に向かい有名パティシエのつくった洋菓子セットを購入した。
日が落ちて辺りが暗くなり始めたころ、約束の時間より早く予約した店に着いた。
私と伍代さんは事前に座席やトイレの場所の確認を済ませ、しかるべき席に案内できるよう入念にシュミレーションを行った。
それを終え席に座ると、彼は真剣な表情で言った。
「約束してくれ。もしも俺がいないときに嫌なことを言われたり、何かされたりしたら一人で対応せず俺を頼ってほしい」
「そんなに過保護にしなくても大丈夫ですよ。私はそこら辺の女子には負けないぐらい強い女なので」
「君だから過保護になるんだよ。頼む、分かってくれ」
「……はい。分かりました」
こうでも言っておかないと彼が引いてくれないという予感があった。
仕方なく頷くと、彼は心底ほっとしたように安堵した表情を浮かべたのだった。
約束の時間になり、宣伝部長と営業部長がやってきた。
店の雰囲気も落ち着いていて半個室となっているため話がしやすい。
二時間ほど経つと、ふたりとも顔を真っ赤にさせてすっかり酔っ払いと化した。
「俺たちは正直、どこの広告代理店に頼んでもいいわけよ。だって、どこも大体同じような企画書持ってくるんだから」
「おっしゃる通りです。でも、今のJJTさんは今までのイメージを一新するCMを目指しているんですよね?」
酔っぱらって焦点の合わない二人よりよっぽど速いペースで吞んでいたというのに、彼の顔色は一切変わらない。
それどころか、情報を聞き出そうとうまく誘導し始めた。
「そうそう。社長も若くなったしね。ジュージューバーグは家族連れメインのところがあったんだけど、もっと友達同士とか若い層にも来てほしいわけよ。特に今は物価高で主婦の財布の紐も固いからね。その点、若い世代はお金を落としてくれるんだよ」
「若い層、ですか」
彼はこくりこくりと頷きながら考えを巡らせているようだ。
すると、営業部長が空になった私のグラスに目をやった。
「……ん~?おいおいおい、白鳥ちゃん、酒が足りないんじゃないのぉ~?寂しい白鳥ちゃんはもっと吞まなくちゃ」
私がグラスを持ち上げると、瓶ビールをグラスになみなみ注がれる。
「そうですよね。いただきます」
まるでわんこ蕎麦のように息つく暇もないペースでアルコールを摂取しているせいで、上戸の私でもさすがに酔いが回ってきたようだ。グラスと持ち上げた瞬間、スッと私の手の中からグラスが消えた。
驚いて隣に目を向けると、伍代さんが喉を鳴らしてビールを一気飲みした。
「おっ、伍代ちゃんもやるね!白鳥ちゃんも呑みなよ。ねっ」
「あっ……、はい」
さすがに限界だ。でも、ここで断れば場の雰囲気を悪くしてしまう。
営業部長が瓶ビールを構えると、伍代さんがグラスをスッと彼の前に差し出した。
車内で会食場所の店を探す彼。私は近くの洋菓子店に向かい有名パティシエのつくった洋菓子セットを購入した。
日が落ちて辺りが暗くなり始めたころ、約束の時間より早く予約した店に着いた。
私と伍代さんは事前に座席やトイレの場所の確認を済ませ、しかるべき席に案内できるよう入念にシュミレーションを行った。
それを終え席に座ると、彼は真剣な表情で言った。
「約束してくれ。もしも俺がいないときに嫌なことを言われたり、何かされたりしたら一人で対応せず俺を頼ってほしい」
「そんなに過保護にしなくても大丈夫ですよ。私はそこら辺の女子には負けないぐらい強い女なので」
「君だから過保護になるんだよ。頼む、分かってくれ」
「……はい。分かりました」
こうでも言っておかないと彼が引いてくれないという予感があった。
仕方なく頷くと、彼は心底ほっとしたように安堵した表情を浮かべたのだった。
約束の時間になり、宣伝部長と営業部長がやってきた。
店の雰囲気も落ち着いていて半個室となっているため話がしやすい。
二時間ほど経つと、ふたりとも顔を真っ赤にさせてすっかり酔っ払いと化した。
「俺たちは正直、どこの広告代理店に頼んでもいいわけよ。だって、どこも大体同じような企画書持ってくるんだから」
「おっしゃる通りです。でも、今のJJTさんは今までのイメージを一新するCMを目指しているんですよね?」
酔っぱらって焦点の合わない二人よりよっぽど速いペースで吞んでいたというのに、彼の顔色は一切変わらない。
それどころか、情報を聞き出そうとうまく誘導し始めた。
「そうそう。社長も若くなったしね。ジュージューバーグは家族連れメインのところがあったんだけど、もっと友達同士とか若い層にも来てほしいわけよ。特に今は物価高で主婦の財布の紐も固いからね。その点、若い世代はお金を落としてくれるんだよ」
「若い層、ですか」
彼はこくりこくりと頷きながら考えを巡らせているようだ。
すると、営業部長が空になった私のグラスに目をやった。
「……ん~?おいおいおい、白鳥ちゃん、酒が足りないんじゃないのぉ~?寂しい白鳥ちゃんはもっと吞まなくちゃ」
私がグラスを持ち上げると、瓶ビールをグラスになみなみ注がれる。
「そうですよね。いただきます」
まるでわんこ蕎麦のように息つく暇もないペースでアルコールを摂取しているせいで、上戸の私でもさすがに酔いが回ってきたようだ。グラスと持ち上げた瞬間、スッと私の手の中からグラスが消えた。
驚いて隣に目を向けると、伍代さんが喉を鳴らしてビールを一気飲みした。
「おっ、伍代ちゃんもやるね!白鳥ちゃんも呑みなよ。ねっ」
「あっ……、はい」
さすがに限界だ。でも、ここで断れば場の雰囲気を悪くしてしまう。
営業部長が瓶ビールを構えると、伍代さんがグラスをスッと彼の前に差し出した。
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?