【完結】一夜限りのはずが、ハイスぺ御曹司に熱烈求愛されて一途な愛を刻み込まれました

中山紡希

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第四章 元カレと再会!?

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それから二週間が経ち、私たちはチームとしての打ち合わせを重ねていった。
業務量が多くなることを懸念した伍代さんの計らいもあり、チームメンバーはコンペまでJJTの案件にだけ全力を注くことを許された。

この日、私は再び伍代さんとともにJJTの本社へ向かった。
1度のオリエンだけでは情報が足りず何度もクライアントの元へ足を運ぶことはよくあることだ。
顔を合わせる回数が多くなれば、クライアントとのコミュニケーションも取りやすくなる。
営業部長はあいにく不在だったものの、宣伝部長と会うことができた。
一時間みっちりと打ち合わせを終えると、宣伝部長は何かを思い出したかのように言った。

「そういえばさ、この間もらったマドレーヌ、すごく美味しかったって家族が喜んでてさ」

私は心の中でガッツポーズした。
流行に敏感な黒川さんが少し前に社内の男性に配っていたのを思い出したのだ。

「よかったです。お子さんが小学生だとおっしゃっていたので、喜んでもらえたらと思って買っていきました。あそこのお店、若い子に特に人気らしいです。包装紙や紙袋も凝っていて可愛いですよね」

その店の可愛らしい動物の包装紙が、今若者の間で流行っているらしい。
今や味がいいだけでは消費者は気軽に手を出そうとしない。
特に若い世代はSNSに写真や動画をアップして周りの人に共有することが多い。
いわゆる『映え』は必要不可欠なのだ。

「そうそう。うちの子、ショート動画を観るのにハマってるんだけど、推しの女の子がその洋菓子店のマドレーヌの紹介動画をアップしてたらしくて」

ショート動画とは最近流行っているアプリのことだろう。
流行りの音楽をつけた数十秒ほどの短い動画を不特定多数のユーザーにシェアすることができる。気軽に投稿していいね、やコメントをもらうことができることもあり若者たちの間で大流行してユーザー数を増やしている。

「ちなみに、娘さんの推しの女の子の名前教えてもらえますか?」
「えっと……なんだっけな。素人の女の子らしいんだけどね。美味しそうな名前で……苺とかみかんとか、桃とかそういう系の……。ごめん、今度娘に聞いておくね」
「突然お聞きしてすみません。ありがとうございます」

丁寧に頭を下げてからミーティングルームを後にする。

「さっきなんで宣伝部長の娘さんの推しを聞いたの?」

エレベーターのボタンを押すと、伍代さんが不思議そうに尋ねた。

「なんとなく気になったんですよね。私はあまり詳しくないんですけど、今の若い子って芸能人よりも身近な人に憧れを抱いたりする子もいるみたいです。だから、素人の子があげた動画を観て気に入った子を推しにして応援したりするらしくて」
「なるほどね」

エレベーターの扉が開き、私たちは揃って乗り込む。
1Fのボタンを押すと扉は閉まり、エレベーターはゆっくりと降下する。

「それで爆発的に人気がでると、影響力を与えられる人……いわゆるインフルエンサーになれるってわけです」

私の言葉に、彼は何やら考えを巡らせていた。

「そういえば、CMに起用しようとしていた芸能人のアポはとれましたか?」
「それが、人気のある芸能人はスケジュールが埋まっていて立て続けに断られてる。CMは拘束時間も短いし芸能人には美味しい仕事だと思うけど、ドラマの撮影と重なっている分余裕がないんだろう」

1Fに到着してエレベーターを降りると、伍代さんは建物の奥にあるトイレへ向かった。
私はJJTを出てすぐの場所で彼を待つことにした。

外はもうすっかり日が落ちて暗くなっている。
腕時計を確認すると、すでに十九時を回っていた。
ぐうぅっと盛大に鳴るお腹をさすっていると、「あれ?」と前方から声がした。

何気なく顔を持ち上げると、そこにいたのは見覚えのある男の顔だった。
心臓がドクンと不快な音を立てる。

「……俊介?」
「やっぱ実咲じゃん!やべぇ、超久しぶり。つーか、うちの会社の前でなにしてんの?」

あの頃と変わらない笑顔で俊介は私の前まで歩み寄った。
私は彼を拒絶するように、両腕を胸の前で組む。

目の前にいる彼、上島俊介は私の元カレだ。
大学の1つ上の先輩で、同じテニスサークルに入っていたことから親しくなり、彼に告白されて付き合い始めた。
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