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第四章 元カレと再会!?
9
「さっきの男、本当に実咲の元カノ?」
あのやりとりを見られていて誤魔化すことはできないと観念した私は小さく頷く。
「はい。大学一年のとき、三か月間だけ付き合いました」
「三か月?ずいぶん短いね」
「実際に付き合ったといえる期間は一か月くらいです。別れるのに二か月くらいかかったので」
「本当だったんだ。あの男が元カレ……か」
彼は面白くなさそうな顔で呟き、ぐっとビールを一気に飲み干す。
「彼とは合わないことが多すぎたんです」
性格だけでなく、体の相性も。もちろん、そんなことまで彼に言えるはずもなく、私は曖昧に濁した。
俊介とは体の関係を持ったけど、気持ちがいいとか心地がいいとか幸せとかそんな感覚に浸れたことは一度もない。
当時は『不感症』だと私を罵った彼の言葉に傷付きそれを大人になった今もずっと引きずっていた。
新しい恋に踏み出せなかったのもきっとわずかながらその影響があったに違いない。
けれど、伍代さんに抱かれて自分が不感症ではないと実感することができた。
大人になってまで燻っていた心の中のコンプレックスを彼はあっさりと払拭してしまったのだ。
「そうか。でも、よかった。もう元カレに未練がなさそうで」
「あるわけないじゃないですか。ホント、思い出したくもない過去ですから」
「ちゃんと別れられてよかったね。あんな男に実咲はもったいないよ」
彼の言葉が心の中に染み渡る。
俊介と別れた後、なにも知らないテニスサークルの女子たちからは俊介を一方的に振ったことを非難された。
あんないい人をどうして振ったのかわからないとか、高望みしすぎとか、俊介にあんな女は不釣り合いと散々陰口を叩かれたのだ。
「俊介、私と付き合ってるとき違う子と浮気してたんですよ?私に気付かれてないって思ってたみたいですけど。最低ですよね」
お酒が進むにつれ、酔いが回り始める。
「さっきも俊介に言われたんですよ、強くて可愛くない女だって。そんなの自分でもよく分かってるんですよ。でも、これが私なんです。強い女ってそんなにダメですかね?正直ね、私だって、誰かに愛されたいし、甘やかされたいんですよ。それに、俊介が――」
その瞬間、向かい合って座る伍代さんの人差し指が私の唇に触れた。
驚いて瞬きを繰り返す私の顔を彼は不服気に覗き込む。
「俺以外の男の名前を連呼されると、たまらないんだけど」
「え……?」
「正直、妬いてる。俺のことは伍代さんって呼ぶくせに、あの男のことは下の名前で呼ぶんだ?」
射貫くように真っすぐな瞳を向けられて心臓がトクンッと音を立てた。
不思議だ……。
やっぱりこうやって彼に見つめられると、胸の中が熱くなって喉の奥がきゅっと詰まったように苦しくなる。
「あのね、前にも言ったけど、俺が実咲を愛して甘やかせるよ。だから、俺のことをちゃんと男としてみて」
私の唇から離れた伍代さんの指がそっと私の手のひらに重なった。
すらりと長くしなやかな指。綺麗に切りそろえられ、清潔感のある爪。
伍代さんは私の反応を見ながら親指で手の甲をなぞる。
あのやりとりを見られていて誤魔化すことはできないと観念した私は小さく頷く。
「はい。大学一年のとき、三か月間だけ付き合いました」
「三か月?ずいぶん短いね」
「実際に付き合ったといえる期間は一か月くらいです。別れるのに二か月くらいかかったので」
「本当だったんだ。あの男が元カレ……か」
彼は面白くなさそうな顔で呟き、ぐっとビールを一気に飲み干す。
「彼とは合わないことが多すぎたんです」
性格だけでなく、体の相性も。もちろん、そんなことまで彼に言えるはずもなく、私は曖昧に濁した。
俊介とは体の関係を持ったけど、気持ちがいいとか心地がいいとか幸せとかそんな感覚に浸れたことは一度もない。
当時は『不感症』だと私を罵った彼の言葉に傷付きそれを大人になった今もずっと引きずっていた。
新しい恋に踏み出せなかったのもきっとわずかながらその影響があったに違いない。
けれど、伍代さんに抱かれて自分が不感症ではないと実感することができた。
大人になってまで燻っていた心の中のコンプレックスを彼はあっさりと払拭してしまったのだ。
「そうか。でも、よかった。もう元カレに未練がなさそうで」
「あるわけないじゃないですか。ホント、思い出したくもない過去ですから」
「ちゃんと別れられてよかったね。あんな男に実咲はもったいないよ」
彼の言葉が心の中に染み渡る。
俊介と別れた後、なにも知らないテニスサークルの女子たちからは俊介を一方的に振ったことを非難された。
あんないい人をどうして振ったのかわからないとか、高望みしすぎとか、俊介にあんな女は不釣り合いと散々陰口を叩かれたのだ。
「俊介、私と付き合ってるとき違う子と浮気してたんですよ?私に気付かれてないって思ってたみたいですけど。最低ですよね」
お酒が進むにつれ、酔いが回り始める。
「さっきも俊介に言われたんですよ、強くて可愛くない女だって。そんなの自分でもよく分かってるんですよ。でも、これが私なんです。強い女ってそんなにダメですかね?正直ね、私だって、誰かに愛されたいし、甘やかされたいんですよ。それに、俊介が――」
その瞬間、向かい合って座る伍代さんの人差し指が私の唇に触れた。
驚いて瞬きを繰り返す私の顔を彼は不服気に覗き込む。
「俺以外の男の名前を連呼されると、たまらないんだけど」
「え……?」
「正直、妬いてる。俺のことは伍代さんって呼ぶくせに、あの男のことは下の名前で呼ぶんだ?」
射貫くように真っすぐな瞳を向けられて心臓がトクンッと音を立てた。
不思議だ……。
やっぱりこうやって彼に見つめられると、胸の中が熱くなって喉の奥がきゅっと詰まったように苦しくなる。
「あのね、前にも言ったけど、俺が実咲を愛して甘やかせるよ。だから、俺のことをちゃんと男としてみて」
私の唇から離れた伍代さんの指がそっと私の手のひらに重なった。
すらりと長くしなやかな指。綺麗に切りそろえられ、清潔感のある爪。
伍代さんは私の反応を見ながら親指で手の甲をなぞる。
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