初心者女子

nim

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第一章  吸収期女子編

第四話  女子の家の日常?

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なれた手付きでステアリングをさばくお父さん
自宅の敷地の駐車場に一発でご自慢のワンボックスをバックで停める

車を降りて、荷物を持ち、連なって自宅に入っていく

「母さーん、千秋帰ったぞー、智秋!千秋の荷物持ってやれー!」

威勢のいい言葉に、ボクの家族が玄関に集まる

「まぁ千秋!お帰り!疲れたでしょ?早く上がって!」

「姉ちゃんの荷物これか?部屋運んどくからリビングでくつろいどいて」

・・・こんなんだったか?

やけに優しくないかみんな・・?
しかも姉ちゃんだと?

険しい顔で玄関に立ち尽くすボク
そんなボクを見てなのか、紗良が耳を引っ張ってきた

「考えてないでサッサと入って?またくだらない事を考えてたでしょ?」

くっ・・最近紗良も当たりが強い・・
ボクを完全体の女子にしようと意気込むのはいいが、少しはボクに気を遣って欲しいものだ


リビングに移動すると、ダイニングテーブルにホールのケーキ、ピザやお寿司など所狭しと並んでいた

病み上がりで準備をしてもらったのはありがたいが・・・
量・・多くない?

病院食を食べるのが板に付いて、僕の胃は男子だった頃に比べたらかなり少食になっていた

こんなにあっても食べるのはケーキくらいでいいか?


食卓に呆気にとられ、することもないからダイニングの椅子に座り込む

暫くしてみんなが集まり、お祝いが始まる

「じゃあ皆で、千秋の退院を祝してカンパ~イ!」

お父さんの号令でそれぞれカップを合わせて乾杯する
ボクも定番のバァンタオレンジで乾杯


目当てのケーキをナイフで食べる分だけボクは切る
ふと、残りのケーキも小分けにしたほうが皆が食べやすいんじゃないか?と昔なら思わないことを思い付く

そう思ったらやらないと気持ち悪いから、ボクは仕方なく立ち上がり、大きなホールケーキを小分けにして、これまた仕方なくそれぞれのお皿にわけて皆の前に配っていく

「千秋!ありがとう!いやー!お父さん嬉しいな!こんなキレイな娘にお世話されるとは!」

満面の笑みでボクに言う

キレイな娘ね・・それで車の中で上機嫌だったのか
心のなかで苦笑いをして、苦し紛れにしぶしぶ笑顔を向けてやる
それを見て更に上機嫌になったお父さんはスマホでボクとのツーショットを撮ろうとせがんでくる

男の時はそんな事言わなかったのに
お父さんじゃなかったらココはキャバクラか何かと勘違いしてしまう

仕方なく引きつった笑顔で写真に写ってやることにする

だが引きつった笑顔がお父さんの心に深くささったのか、鼻の下を伸ばしている

・・・お父さんってこんなんだったか?

そうこうしてるうちに皆が変わり替わり写真をボクにせがんできた

め・・面倒くせぇ・・

でもそこは紳士なボク、さっきよりも悪い気はしなくなったから、仕方なくそれぞれと写真に写ってやった

後からお父さんが自分の撮った写真と笑顔が違うと騒ぎ出し、何度も撮り直しをさせられた時は少し引いた

食事が終わり、ひと息ついていると、おかあさんが口を開いた

「そうそう!千秋の名前はそのままで性別だけ役所に変更届出したからね、安心して今まで通り今の名前使いなさい」

そう言って、ニコッと微笑む

変更の意味を直ぐには理解出来なかったが、お父さんの一言で事態を飲み込む

「これで晴れてうちには娘が出来たってわけだな!いやー!これで問題なく嫁にも出せるし、孫の顔が楽しみだ!」

なんだと・・?!
ボクが嫁?何を言ってるんだお父さん?
孫の顔ってそんなの智秋に任せればいいじゃないか?

そうだ・・・

「智秋?お前紗良と付き合ってるんだよね?頼むからそのまま付き合って結婚までいってくれ、ボクからみて君達はとてもお似合いのカップルだと思う!頼んだ!」

ボクが孫など産めると思ってるのか?ボクは元男子だ、見た目も中身も書類的にも完全に女子のようだが、このプライドだけはくずせんぞ・・・

そう思って無意識にニヤけて、軽く握った右手を口元に添えていると、紗良が余計な一言を放つ

「私達結婚前提だもんね!ともちゃん!
千秋から祝福されるなんて嬉しいな!将来の義理のお姉さんかぁ
そう言えば義理のお姉さん?さっき病院前でなかなか男に色目使ってたけど、もしかしたらお姉さんの方が結婚早かったりして?」

おい・・言うんじゃねぇ・・
傷口が広がるじゃないか・・

すかさずお父さんが反応する

「なんだと?!それは千秋に色目を使わせたって事か!?どこの馬の骨の奴だ!?そんな訳の分からんやつには娘はやれんぞ?」

意味がわからない・・

それに乗じてお母さんも一言

「千秋の容姿じゃ寄ってきても不思議じゃないわね!今度はちゃんと捕まえてきなさい!わかった?千秋?あなたくらいの女の子なら彼氏の一人や二人すぐ出来るわ!」

こっちも駄目だ・・
完全に女子の親御さんになっちまってる

く・・余計な事言わなきゃよかった・・
紗良に話し振っとけば上手くいくと思ったのに・・
大ブーメラン返しじゃないか・・

そう思った所でボクは智秋に目を向ける

「なぁ?皆にちょっと話が飛躍しすぎじゃない?智秋もそう思うだろう?お前からも皆に言ってやってくれ」

よし!今度は大丈夫だ、この場で一番まともな弟だからな

「そうだな、姉ちゃんの言うとおりだ、皆落ち着け、いいか?姉ちゃんは女になって日が浅いんだ!だからな、色目とわからず使っちまったのも仕方がない!彼氏とかもな、姉ちゃんは可愛いから心配しなくたって直ぐに出来るぞ!」

おいっ・・違うだろ・・

傷口をこれ以上広げないでください・・

プライドがズタズタです・・

もう泣きたいの・・・

そう思うと、自然に一筋の涙が頬を伝う

あれ・・?

なんでボク泣いてるんだ?

それを見た皆は焦りに焦った表情をしている

ほう・・女の涙は武器になるのか・・

ボクはニヤッと小さくほくそ笑んでやった
何故かニヤけると、右手は相変わらず無意識に口元に来てしまう

変な仕草が身に付いたもんだ・・

それを見逃さなかった紗良が横で言う

「千秋ね・・なんか、あざとい子になりそうだね・・はぁ、何しても絵になる千秋が羨ましいねぇ、ま、そんなんでも多分皆は喜んで寄ってくると思うけど?」

あざとい??ボクが?
そんな悪知恵が働くボクではないぞ?
甘く見るのはやめていただきたい
と満面の笑みを贈ってやった

天使の笑みで紗良の動向を探っていると、もう一言、力強い口調で言ってきた

「ちゃんとあざといの使えるように教育しなきゃね・・?明日から気合い入れてね?義理のお姉さん?」

目の奥がメラメラしてる・・
ヤバい・・

その後場を鎮め、ボクは紗良に部屋に連れて行かれた

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