当たり前なこと

みかん

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二話

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 一ヶ月後、放火、空き巣事件からある程度落ち着いた。
「気を取り直すか……」
 雄斗は一人、部屋で呟く。
 雄斗は自分へのご褒美に高級レストランへ行くことにした。
 初めての丁寧な予約を取る。
 予約当日になった。
 一人ぽつんと席に座る。
 雄斗はコース料理を頼んだ。
 ドラマでしか見たことがない料理が次々出てくる。
 一つ一つ小さく、全くお腹が満たされない。
 自分には向いてないな……
 雄斗は黙々と出される料理を食べながらそう思った。
 少し飽きてきたときだった。
「キャー」
 甲高い悲鳴がレストランに響いた。
 静かに食事を楽しむ客、全員が悲鳴の方を向く。
 雄斗も悲鳴の方を向く。
 そこには床に、仰向けになって倒れている男性の姿があった。
 その後、警察が来た。
 調査が始まる。
 客、全員がまず容疑者になった。
 アリバイがある客から除外されていく。
 男性は毒殺のようだった。
 もちろん、雄斗は何もやっていない。
 容疑者が減っていく。
 残り三人となる。
 その中に雄斗も含まれていた。
 雄斗はコース料理中、なれないレストランで呼吸を整えるため、トイレに行っていた。
 その後事件がおきた。
 防犯カメラでそこが空白だったため、容疑者から外されていないのだ。
 そして雄斗以外のアリバイが確証された。
 容疑者は雄斗だけになった。
「とりあえず、来てもらえるかな?」
 確信的な証拠はない。
 でもこのような状況の場合、警察は留置所に容疑者を置くことができるのだ。
「なんでこんなことに……」
 鉄の棒と鍵がかかった扉に閉じ込められた雄斗は頭を抱える。
「来い!」
 雄斗は看守に呼ばれる。
 ドラマで見たことがある、取調室のようだ。
「本当に、やっていないんだな?」
「はい。もちろんです」
「勘違いしないでくれ。まだ証拠は出ていない。ただ疑いがあるため、勾留しているだけだ」
「はい……」
 それから一日が過ぎた。拘置所での夜は寒かった。
「起きるんだ。犯人の証拠が見つかった。お前は何もやっていないんだな?」
「はい……」
「終わりだ……出ろ……・」
「はい……」
 雄斗は拘置所を出た。
(訴訟されていないとはいえ、無罪なのにこんな扱いなのか……)
 雄斗は思った。
 後から聞いた話だが、犯人は防犯カメラに細工をしていたらしい。
 それからバレて、捕まったそうだ。
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