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聖女がガチャに狂うまで
025.聖女、公爵と対峙する
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「入れ!」
手錠で腕を拘束されながら王城に到着して目隠しを取られると、謁見の間ではなく、閉ざされた小部屋に投げ入れられました。部屋の中にはマルケス公爵が一人で待っていたようで他の人間はいないようです。
「ここには国王陛下はいらっしゃらないようですね」
気が付いてはいましたが案の定この呼び出しは国王陛下からものではなかったようです。
私が招集の偽造について皮肉って話しかけると、マルケス侯爵はくくくっと笑い出します。
「どうせわしの計画したことは全てばれているのだろう? その程度の罪を犯すくらい何の問題があると言うのかね?」
「そうですか。私を連れてきた目的は何ですか? 私を殺してもあなたの罪は消えませんよ?」
「ああ、そうだろうな。ここの国王とロドリゲス、そして貴様にはすでに知られているのだろう? 今更遅いのだろうな。だがしかし、知っているものがいなくなったらどうなる?」
なるほど。目的は私と国王陛下、そしてロドリゲス様の命ですか。
マルケス公爵は手に持ったいかにも怪しげに光る紫色の玉のようなものを取り出したかと思うと、滔々と語り出します。
「貴様を王城に連れてきたのもまとめて貴様らを消すためよ。この魔道具をつかえば貴様はわしに忠実な僕と化す。それで貴様に国王とロドリゲスを殺させればどうなると思う? スタンピードの真相などに構っている余裕などなくなるであろうな」
「隷属の魔道具ということですか。ペラペラと喋って余裕ですね」
「実際余裕だからな。国王を殺した後は愚昧な王太子を国王に祭り上げて様子を見るのも良し、見切りをつけて帝国に匿うよう手配するも良し、どちらにせよ貴様には国王殺害の罪を着てもらうからな。ついでにスタンピードも貴様が起こしたことにするのも一興か。ガチャなどという蒙昧なスキルを持った者を悪人に仕立て上げるのは簡単であろう?」
「そううまくいくとは思えませんけどね」
「悔し紛れの反論か? どちらにせよ貴様に選択肢などないのだがな。余興はしまいだ。この宝玉を貴様にくれてやる」
そう言い終えると、マルケス公爵は私の胸に向けて紫の玉を押し付けようと差し出してきます。
私はなすすべもなくそれを受け入れ……。
「そこまでにしてもらおうかしら」
リリスが虚空から現れマルケス公爵の腕を掴んでそれを阻止しました。近くを見るとガチャアイテムであるビデオカメラを手に構えたマキアの姿も確認できます。
「! なぜ悪魔がそこにいるのだ!?」
「むしろどうしてわたくしが主さまを一人にすると思ったのかしら?」
二人とも私の意図をきちんと汲んでくれたようです。リリスは幻影魔法で、マキアはガチャアイテムの透明マントで姿を隠しながら私の近くで追跡してくれていたのでしょう。
そもそも国王陛下が私のことを粗雑に扱うとは思っていませんでしたから、私を連れ去ろうとしたのはアレクシス殿下かマルケス公爵のどちらかだろうとは思っていました。そしてどちらにせよ国王陛下に証拠として提出するためにガチャアイテムで撮影をしてもらうようにマキアに意思疎通をしていたのです。彼女は私の思考を読むことができるようですからね。それを活用した形です。
「これで形勢逆転ですね。あなたがペラペラと喋ってくれたおかげで証拠もバッチリです。おとなしく罪を償うなら痛い目をみずに済みますよ?」
「くそが。おとなしくわしの言いなりになっておけばいいものを。どこまでも邪魔しおって。もういい。本当は使いたくなかったがこれを使わせてもらおうか」
公爵はリリスの手を振り解いて後ろへ飛び退ると懐から取り出した鎖で包まれた禍々しい石を取り出し、不敵な笑みを浮かべてそれを叩き割りました。
手錠で腕を拘束されながら王城に到着して目隠しを取られると、謁見の間ではなく、閉ざされた小部屋に投げ入れられました。部屋の中にはマルケス公爵が一人で待っていたようで他の人間はいないようです。
「ここには国王陛下はいらっしゃらないようですね」
気が付いてはいましたが案の定この呼び出しは国王陛下からものではなかったようです。
私が招集の偽造について皮肉って話しかけると、マルケス侯爵はくくくっと笑い出します。
「どうせわしの計画したことは全てばれているのだろう? その程度の罪を犯すくらい何の問題があると言うのかね?」
「そうですか。私を連れてきた目的は何ですか? 私を殺してもあなたの罪は消えませんよ?」
「ああ、そうだろうな。ここの国王とロドリゲス、そして貴様にはすでに知られているのだろう? 今更遅いのだろうな。だがしかし、知っているものがいなくなったらどうなる?」
なるほど。目的は私と国王陛下、そしてロドリゲス様の命ですか。
マルケス公爵は手に持ったいかにも怪しげに光る紫色の玉のようなものを取り出したかと思うと、滔々と語り出します。
「貴様を王城に連れてきたのもまとめて貴様らを消すためよ。この魔道具をつかえば貴様はわしに忠実な僕と化す。それで貴様に国王とロドリゲスを殺させればどうなると思う? スタンピードの真相などに構っている余裕などなくなるであろうな」
「隷属の魔道具ということですか。ペラペラと喋って余裕ですね」
「実際余裕だからな。国王を殺した後は愚昧な王太子を国王に祭り上げて様子を見るのも良し、見切りをつけて帝国に匿うよう手配するも良し、どちらにせよ貴様には国王殺害の罪を着てもらうからな。ついでにスタンピードも貴様が起こしたことにするのも一興か。ガチャなどという蒙昧なスキルを持った者を悪人に仕立て上げるのは簡単であろう?」
「そううまくいくとは思えませんけどね」
「悔し紛れの反論か? どちらにせよ貴様に選択肢などないのだがな。余興はしまいだ。この宝玉を貴様にくれてやる」
そう言い終えると、マルケス公爵は私の胸に向けて紫の玉を押し付けようと差し出してきます。
私はなすすべもなくそれを受け入れ……。
「そこまでにしてもらおうかしら」
リリスが虚空から現れマルケス公爵の腕を掴んでそれを阻止しました。近くを見るとガチャアイテムであるビデオカメラを手に構えたマキアの姿も確認できます。
「! なぜ悪魔がそこにいるのだ!?」
「むしろどうしてわたくしが主さまを一人にすると思ったのかしら?」
二人とも私の意図をきちんと汲んでくれたようです。リリスは幻影魔法で、マキアはガチャアイテムの透明マントで姿を隠しながら私の近くで追跡してくれていたのでしょう。
そもそも国王陛下が私のことを粗雑に扱うとは思っていませんでしたから、私を連れ去ろうとしたのはアレクシス殿下かマルケス公爵のどちらかだろうとは思っていました。そしてどちらにせよ国王陛下に証拠として提出するためにガチャアイテムで撮影をしてもらうようにマキアに意思疎通をしていたのです。彼女は私の思考を読むことができるようですからね。それを活用した形です。
「これで形勢逆転ですね。あなたがペラペラと喋ってくれたおかげで証拠もバッチリです。おとなしく罪を償うなら痛い目をみずに済みますよ?」
「くそが。おとなしくわしの言いなりになっておけばいいものを。どこまでも邪魔しおって。もういい。本当は使いたくなかったがこれを使わせてもらおうか」
公爵はリリスの手を振り解いて後ろへ飛び退ると懐から取り出した鎖で包まれた禍々しい石を取り出し、不敵な笑みを浮かべてそれを叩き割りました。
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