魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

文字の大きさ
74 / 108
魔王都市とルネリス

62話

しおりを挟む
私はまずクレアの種族について説明する事にした。

「クレアの属している龍人りゅうじん竜人ドラゴノイドと比べてかなり龍に近い亜人族の種族なんだ。」


~作者のわかりやすい様でわかりにくい種族講座~

亜人族にはパリスやアリスの様なの姿をした獣の力を持った人の獣人族や逆に獣の姿をした人のも含まれており、屈強な身体の男性の魚人の魚勇族ヴォターンや特殊な力を持った歌を歌う女性の魚人の海歌族セイレーンの様な海に住まう特殊な能力を持つ人の魚人族リヴァティール、人間の女性に取り憑く事で生気を吸い取る男性の夢魔の美夢族インキュバスや人間の男性に取り憑く事で生気を吸い取る女性の夢魔の魅魔族サキュバス等の魅了や夢を操る魔物よりの力を持つ人の夢魔族キュルバス、一時的に竜の力を引き出せる人の竜人ドラゴノイド、完全な龍になれるもっともに近い人の龍人りゅうじんが属している。

他にもいろいろあるのだが、今はクレアは龍人であり、竜人とは違う種族だと覚えてくれればいい。
龍人と竜人の違い以外はほとんど読者の皆もよく知るものと思ってくれればいい。
細かい違いは後で出すと思う。

忘れてなければ…ね…

…って、なんで作者が直接解説してるんだよっ!
勝手に登場するんじゃないよう!

…では、作者の種族講座を終わりま


「…とまあ、この辺りは皆も知ってると思うけど、クレアは龍人でありながら特殊な体質をしているんだよね。本来、龍人は食事をしなくても周りの魔素を魔力に変換するだけで生命維持に必要な魔力を補えるから生きていけるんだけど、クレアの場合は生命維持に魔力が不要になったかわりに竜人の様に栄養を取らないと生命維持が出来ない体質なんだ。ちなみに竜人の場合も生命維持に魔力が必要なんだけどね。」

私がそう言ってクレアを見るとクレアが軽く頷く。

「もちろん、クレアが龍人である事は今のクレアの姿を見てもらえばわかると思うけど、それだけじゃなくてちゃんと龍種の尻尾があるし、龍の固有能力も使えるんだ。」

リリアがウトウトし始める。

「…さて。クレアちゃん、君の固有能力を少しだけ見せてあげなさい。」

私がそう言うとクレアはニヤリと笑う。

「ご主人の頼みとあらば、見せてしんぜよう!」

クレアの周囲の空気が変わる。

炎熱えんねつっ!」

クレアを中心として熱い風が吹く。

「アチィ…これが龍の力だってんのかよ…」

「す、凄い風です!」

ウルカとパリスが感嘆の声をあげる。

「…ッ?!」

リリアが突然の熱風に驚いて目を見開く。

「おはようリリア。」

私がニッコリとリリアに微笑むとリリアは顔を赤くしていた。

「お、おはよう…」

リリアが小さな声で返す。

「さて、話を戻すけど、龍人は竜人と違って、今の様に固有能力を扱えるんだ。クレアの場合は力があるのよ。」

私がそう言うとクレアがドヤ顔で言う。

「誇り高き炎龍の一対じゃからな!この程度は簡単なのじゃ!」

「ちなみにクレアは私と契約を結んでいるので、私もクレアの炎熱を使う事が出来るよ。ここは基本的には竜族ドラグン龍族りゅうぞくとの契約でも同じだね。そして、ここからが本題でクレアの特殊な体質とは契約を結んだ状態で進化が出来ると言う点と龍人であるにもかかわらず食事が必要な点だね。」

不思議そうに首を傾げるパリスを見ながらクレアが言う。

「我ら龍人は通常は魂の回路を通じて契約者とほぼ全てが繋がるのじゃ。それ故に契約を結ぶ時は自分より身体の力や精神力、もしくは魂の格が格上の相手とでなければ、契約者が龍人側に取りこまれてしまう事になるのじゃが、契約を結んだ時点で相手は格上であり、魔力補給を含めた己の力の全てを契約者に委ねるから進化による形態変化が出来なくなるのじゃ。この特徴は他の龍族や魔族との契約でも共通している特徴じゃな。」

クレアが私に視線を戻す。

「代わりに説明ありがとね。それでその影響なのかはわからないけど、クレアは龍人にしてはあまり魔力を必要とせず、逆に竜人の様に栄養を必要とするんだ。今はそうは見えないと思うけど、クレアは巨大な龍なんだ。だから、その分本来なら魔力が必要になるんだけど、クレアは栄養が必要になるんだ。まあ、だからと言って少し食べ過ぎな気がしないでは無いけど。」

私はクレアのかなり小さくなったお腹を見ながら言う。

「でも、この辺りだとこのくらいは食べないとエネルギー不足で餓死してしまうのじゃ。前よりも必要なエネルギーが増えてしまったのもあるしのぅ…」

クレアは少しだけ不満げに言う。

「…まあ、これは後々の課題になるわね。」

私がそう言うとパリスが少しだけ食い気味に言う。

「ち、調合とかパリスも何かお手伝い出来る事があれば、遠慮なく言ってくださいね!」

「あはは!じゃあ、パリスちゃんのお言葉に甘えさせてもらおうかな!」

リリアがムスッとした表情になりながら言う。

「リリアも手伝うから…」

「もちろんだよ!リリアの審美眼は的確だからね。私みたいに鑑定を使わなくても上質なものがわかるし、頼りにしてるよ!」

私がそう言ってリリアの頭をポンポンとするとリリアは満足そうにしていた。

ウルカがイタズラっぽくニヤニヤしながらクレアに言う。

「随分と嬉しそうじゃないか!」

「んなっ!?そ、そんな事は無い!…ことも無いけど…」

クレアにしては珍しく後半はかなり小声だった。

そのまま元の姿に戻って、顔を赤くして黙り込んだかと思ったら、突然顔だけ龍に変化させていた。

「…」

私が腕を組んで笑いを堪えながら、クレアの顔を見るとボソッとリリアが言う。

蜥蜴族リザードマンみたい…」

「うっくく…」

パリスが思わず吹き出してしまった。

クレアがリリアとパリスを見る。

実は私もあまりの的確さにニヤけてしまったのはここだけの話である。

ウルカはよくわかってなさそうな顔で首を傾げていた。

「う、うるさいのじゃ!」

クレアが火を吹きながら言う。

「暖かい…」
「ギャー!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

リリアは冷静に氷魔法で良い感じに調節して暖かさを堪能していた。

クレアのブレスにビックリしたパリスが文字通りに悲鳴をあげながら、脱兎の如き勢いで私の背中によじ登る。

背後からガタガタと震える振動が伝わる。

「パリス、お前…戦ってる時はそうでもねぇのに、戦ってねぇ時はすっげぇビビりなんだな。」

ウルカが呆れた様子で言う。

「怖いものはいつだって怖いわよ!戦ってる時は我慢してるだけです!」

目に涙を溜めて瞳が潤んでいるパリスが勢い良くウルカに言う。

私は耳元で大声を出されて、パリスの高めな声も相まって耳がかなり痛かった。

「…ごめんなのじゃ。」

珍しくクレアが頭を下げて謝る。

「だ、大丈夫…です…」

パリスの若干震えた声が私の背中越しに発せられる。

私はパリスを抱き抱える。

「とりあえず、パリスちゃんは落ち着くまでこのままね。はい、そこ!リリアは恨めしそうに見ちゃダメよ。」

私は爪を噛みながら嫉妬心剥き出しにしてパリスを見ているリリアに言う。

「別に…羨ましい…なんて…思ってない…」

リリアはとても不満げに…と言うか不満を全面に押し出した様子で言う。

私はリリアの頭をもう一度撫でて先に進み始める用意をする。


「…実はお前も羨ましいとか思ってるんじゃないのか?」

ウルカがニヤリと笑いながら、クレアの耳元で囁く。

「んななっ!?た、戯けたことを言うでないぞ!私は誇り高き炎龍が一対!その様な感情はな…くはないな。」

クレアは頭だけ龍の姿のまま言う。

「誇りのクソも感じねぇじゃねぇか…」

ウルカが呆れているとリリアが小さな声でウルカに言う。

「リリアたちにとって何よりも大事な人…命だって投げ捨てれるほどに…ね…ウルカもきっと同じ事を言う様になるわ…」

ウルカがいつの間にか元の姿に戻っていたクレアを見ると自慢げに先を歩き始めたアリスの背中を見る。

その左肩からちょこんとはみ出しているパリスの幸せそうな寝顔からはヨダレが垂れそうになるほど安心しきっているのがわかる。

「ふ~ん?俺もいつかああなると…?」

ウルカは目線の先のパリスの寝顔を見ながら言う。

「やっぱり、引きずり下ろすべきかしら…」

嫉妬心剥き出しの表情でリリアが言う。

「それはやめてあげるのじゃ。あんなに幸せそうな顔をしたパリスは初めて見るしのぅ…」

クレアがそう言うとリリアは楽しそうに微笑む。

「ふふっ…クレアにしては…気が利くね…」


私は後ろを振り返って言う。

「おーい!いつまでも喋ってないで先に進むわよ~!」

リリアとクレアとウルカが一瞬顔を見合わせてニヤリと笑うと走って来る。

「お待たせ…」

リリアが私の空いた右手を抱きしめる。

そして、ほぼ同時にクレアとウルカが追いつく。

「へへっ!俺の方が速かったな!」

「いや、ほとんど同じくらいじゃったが…」

ドヤ顔で言うウルカに呆れた様子でクレアが言う。







~作者のおしゃべりのコーナー~

それではやってまいりました。
作者のおしゃべりのコーナーでございます。

本日のおしゃべりは…ん?どうかしました?

ふむふむ…なんかいつもの作者と違って気持ち悪い?

いやぁ、前回、深刻なネタ切れで打ち切りにしちゃうかもしれないとかほざきやがったアホが居るじゃないですか。
まあ、そのアホって私なんですけどね。

今までも結構ネタ切れで投稿が空いてる日があったなぁ…と思いまして…
打ち切りにはしなくても済みそうな感じなんですよね。

私としてはそろそろ設定がカオス化しそうなので早めに終わらせたい…って、もう既にカオス化しとるやんけっ!
草ボール投げられっぞ!

こんな感じで成す事やる事カオスの権化ですけど、どうか最後まで生暖かい目で見てやってくださいねっ♪

以上、皆のアイドル…じゃなかった…
キャピキャピルンルンな謎の観察者でしたっ!

…見切り発車って怖いよね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

処理中です...