魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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大罪覚醒

怠惰なる勤勉者

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「ふぁ~…よく寝ましたね…」

私はまだ少しボーッとしている頭でゴーレムを動かす。

「ふぁ~…」

大きなあくびとともに地に降り立つ。

「自分の足で立つのなんて何年ぶりでしょうか…ヒーフーミー…う~ん…わかんないですね…」

私は身体を伸ばして身体を起こす。

「さてと…今の私が能力を使わないでどれほどやれるか…確かめないといけませんね。」

私は手頃なモンスターを探す。



「グルルルル…」

しばらく歩いていると目の前に涎をダラダラと垂らしながら、今にも飛びかかって来そうな巨大な黒い熊が現れる。

「あら…私がご馳走に見えるのでしょうか?」

私は左手を伸ばす。

「さぁ…遊びますよ…」

そして、そこに現れた持ち手部分に青い宝玉のついた剣を宝玉を内側にして握る。

怠惰の魔杖剣ベルフェゴール・フェニース!」

そのまま逆に持った剣の刃で巨大な熊に斬りかかる。

「ガアアアアアア!」

熊は雄叫びをあげて全身の筋肉を膨張させるとそのまま右の爪を右下から左上に勢いよく振り上げて剣を受け止めながら、左の爪で追撃を行う。

「守護よ!魔法盾シールド!」

魔法盾で軽々と防いだ爪はまるで砂で出来ていたかの様に粉々に砕け散る。

「グルルルル?」

熊は不思議そうに左手を見ていた。

「よそ見してる場合ですか?」

私は火、水、土の魔力を高める。

「燃え盛り揺蕩う大地よ…我が敵を討ち滅ぼせ。」

3種の魔力を一点に集中させる。

「ラヴァーグレア!」

私は熊を剣で押して後退しながら、熊の足元からマグマを噴き出させる。

「グルガアアアアアアアアァァァァァァァア!!!!!」

熊の身体は断末魔を上げながら、真っ黒な炭へと変化し、蒸発すると同時に黒い玉が落ちる。

「素の私の実力かはわからないけど、そこそこ戦えそうですね。」

私は落ちている黒い球を手に取る。

「ま、これで下僕も増やせた事ですし、まあいいでしょう。」

私は黒い玉に魔力を注いで、先程の熊に近い見た目のゴーレムを作成する。

「…」

ゴーレムは私の姿を見ると指示を待っているかの様に見つめる。

「今回は貴方に身体を与えたかっただけですよ。だから、今は元に戻ってて良いですよ。」

ゴーレムは「わかった」と言いたげに頭を下げると土に還る。

私はゴーレムを使わずに自分の足で歩き始める。

「能力が目覚めた時からなので…自分の足で歩くのも十数年ぶりくらいでしょうか…」

私はいつもよりリアルに伝わる足の感覚を感じながら索敵する。



「ギャオギャオ!」

蜥蜴のような見た目の二足歩行の魔物…リザードが現れる。

全身が硬い鱗に覆われており、並の攻撃では傷一つつかないとか言われてるモンスターだ。

私は鞘から抜くような動作をしながら剣を亜空間から取り出して構える。

「さて…次は何をして遊びましょうか…」


リザードはその鋭い爪を使った攻撃が得意なモンスターであり、爪と牙に麻痺毒を持っている事も多い。

歯を持っていないので、そうやって麻痺毒で動けなくなった獲物を飲み込んでしまうのだ。

もっとも私には毒は効かないのだが…


「ギャアアアアス!」

リザードは大きく両手を広げながら走ってくる。

私はその場で氷と雷の魔力を高める。

「凍てつくいかずちよ…我が声に轟なさい…」

そして、魔力を剣の宝玉部分に濃縮して、宝玉を標的に向ける。

「フリーズボルテックス!」

宝玉から勢いよく放たれた雷が両手を広げたリザードを貫いて一瞬で氷漬けにするとそのまま崩壊してリザードを跡形もなく粉砕する。

「今回は失敗したようですね。まあ、リザードは弱いので要らないですけど…」

私はどんどんダンジョンの奥へと足を進める。

しばらく歩くと少し開けた場所に出る。

「…おっと」

私は突然真横から飛んで来た斬撃を軽々と避けると尻尾が刃になってるイタチの数匹のカマイタチが悔しそうに地団駄を踏んでいた。

「刃はこう使うんですよ。」

私はお返しに剣を横に振るって無数の斬撃を発生させてカマイタチを一匹残らず全て跡形もなく切り刻む。

「むぅ…今日は調子が悪いですねぇ…下僕が増やせないのは怠惰の名を持つものとしては死活問題なのですが…」

ヴェルドールの身体能力は普段通りなのだが、肝心のゴーレムの元となる魔核まかくを作成する怠惰の能力の調子が上がらない様子で「はぁ…」とため息をつく。

「まあ、今の私は普段よりも動いてますし、その影響もあるのでしょうね…」

私はそう分析しながら、さらに奥へと進む。

しばらく入り組んだ洞窟の中を歩いていると不思議な力を感じる長い部屋に辿り着く。

「む、モンスターハウスですか…めんどくさいですね…」

私がそう言うと同時に大量のゴブリンが現れる。


ゴブリン自体は単独であればF級モンスターで非常に弱いが、群れになった途端にA級に跳ね上がる程の危険度を持つようになる。

一体の力は弱いが集団で統率の取れた動きをするので、並の冒険者では為す術なくゴブリン達に倒されてしまうだろう。

もちろん、相手はゴブリンなので男性なら殺して食料に女性なら命尽きるまでゴブリンの苗床として犯され続ける事になる。

そうして、爆発的に増えるのが恐ろしいところなのだ。


ヴェルドールはかなり嫌そうな顔をしてため息をつく。

「はぁ…めんどくさい…」

私は一瞬で部屋の全域に氷の魔力を展開して、床を氷漬けにしてゴブリンたちの足を止める。

「凍てつけ…スノーフレア!」

全てを氷漬けにするかの様な勢いで吹雪が吹き荒れ、ゴブリンを凍結させる。

私はそのまま凍りついた床に剣を突き刺す。

「破壊せよ。エアロクラッシュ!」

剣を通じて強力な振動が凍りついたものを全て跡形もなく破壊する。

しかし、出られそうな気配はしなかった。

「条件は何かしら…怠惰なる賢者の鑑定物ベルフェグール・ブック

私は探知で周りの安全を確認しながら、能力で呼び出した本で部屋の解析を始める。

「グオオオオオオオオ!」

突然の龍の咆哮が聞こえたかと思った瞬間、上からSS級モンスターの強力な雷を扱う巨大な龍種、爆雷龍フレアボルトドラゴンが現れ、私の前に降り立つ。

「うるさいですね…」

私は剣を構える。

「クックックッ。小さき生命よ。貴様ごときが我に敵うと思うてか?」

爆雷龍は見下した目で私を見て言う。

「残念だけど、貴方程度なら、私の敵じゃないわ。能力を使うまでもない。」

「ほう?この我に向かって、その様なハッタリを言う愚か者だったとはな…そのさ、死を持って償うが良い!」

爆雷龍はそう言うと同時に鋭く強力な雷を纏った爪がついた左足で踏み潰そうと足を持ち上げる。

「いや、私はですけど…」

私は頭上に土魔法で作った土のドーム状の屋根を作って爆雷龍の足を受け止める。

「こんなもの踏み潰してくれるっ!」

爆雷龍がそう言うと同時に勢いよく力を入れるとドーム状の土はぺしゃんこに潰れてしまう。

「ふん。他愛もない。」

爆雷龍がそう言って勝ち誇る。

「やっぱり、その程度なんですね。」

いつの間にか爆雷龍の背中にヴェルドールが乗っていた。

そして、ヴェルドールが剣を鞘に収める。

「貴方の負けです。」

同時に爆雷龍の全身から出血を伴いながら無数の傷が現れ、上下で真っ二つに斬られる。

爆雷龍はそのまま倒れると同時に小さな女の子と男の子になる。

「イタタ…」

女の子が下半身血まみれで立ち上がる。

「いってぇ…」

男の子は逆に上半身が血まみれで立ち上がる。

「はぁ…まだやるつもりですか?」

私がめんどくさいを前面に押し出しながら言うと二人は顔を見合せて私の方を見る。

「お姉ちゃん、すっごく強いのね!私のご主人様になってよ!」

女の子が笑顔でそう言うと男の子も言う。

「さっきは生意気言ってすみませんでした…貴方様の手足になりますので、どうかお許しいただけないでしょうか…」

先程喋っていたのは男の子の方だったようで、凄く丁寧に謝る。

「邪魔しないなら、なんでもいいです。」

私はそのまま能力の本を見る。

「ふむふむ…『空を裂く者に力を示せ』ねぇ…」

私がそう言うと二人が同時に言う。

「「それなら、私(僕)におまかせください!」」

女の子が「が居るんだよ!」と元気よく言う。

「なら、あそこにいるはずだな。俺が案内するよ。」

男の子がそう言うと長い部屋の奥に走って行く。

「お姉ちゃんも行くよ!」

女の子がそう言って私の手を握って走る。

「うわっと?!」

想像以上に力強く引っ張られて少し驚きながらも一緒に走ると…

「キェェェエエエエイ!」

まさにおっきな鳥と言う表現がもっとも似合うだろう龍の前に男の子が居た。


その龍は鳥龍バードラゴンと呼ばれるA級モンスターで特徴的な鳥のような姿をしているが、個体差が大きく出る種であり、時としてSS級以上の能力を持つ個体も出てくる為、非常に危険な種だと言われている。

また扱う属性、龍の吐き出す息ブレスの性質、得意な戦い方も個体ごとに大きく異なる場合が多く、自身の方が力が 格上であっても鑑定をしなければ対処法がわからないと言われるほどの討伐難易度を誇るモンスターだ。


「くらえ!爆炎の爪バーンネイル!」

男の子が触れるもの全てを爆砕するかのような爆風を纏った爪で攻撃する。

「お姉ちゃんはそこで見てて!私たちの力を見せてあげる!」

女の子は私の返事を待たずに走り出して、全身に雷を纏う。

「いっくわよー!電光接華でんこうせっか!」

そのまま雷を纏った身体で龍に体当たりし、激しい火花を撒き散らして爆発する。

黒煙が龍を包み込むと同時にいつの間にかジャンプしてた二人が私の目の前に着地する。

「へへっ!今日も俺たちバッチリだな!」

「ふっふーん!私たちの手にかかればこんなもんよ!」

二人とも勝ち誇っているが、私は部屋の空気が変わらなかったのを察知して、剣を構えながら二人の前に出る。

二人とも不思議そうに私を見ていた。

「あなた達の攻撃では火力不足であるとともに相性が悪いようですね。あの龍には雷と火属性に耐性がある様です。」

私が言うのと同時に「キェェェエエエエイ!」と咆哮を上げながら、黒煙を吹き飛ばしながら大きく翼を広げた龍が現れる。

「鳥は煮付けにするのも良いですが、やはり私はそのまま丸焼きにする方がめんどくさく無いので好きですね。」

私がそう言いながらやつの目を見て、ゆっくりと近寄ると龍は青ざめた顔で後退りする。

「キ、キェェェ…」

壁に追い詰められた龍が小さく鳴く。

「残念ですが、貴方はここで殺します。貴方を殺さなければ私も先に進めませんので…ですが、出来るだけ痛みを感じない様にはしてあげますよ。」

私はそのまま首を狙って剣を振るう。

「ひえっ!」

しかし、それは突然小さな子供の姿になったせいで空振り、そのまま発生した斬撃が壁を破壊する。

「…へ?」

龍だった子供は何が何だかわからないと言いたげな表情で自分と私を交互に見ていた。

私は剣をしまって破壊された壁の方へ歩き始める。

「ふむ。通れるみたいですね。」

私は子供に言う。

「どうやら、貴方の事は殺さなくても良かったみたいです。」

私はそのままモンスターハウスから出て奥に進もうとすると…

「待って!」

2人組の少女の方に止められる。

「私たちと契約して!」

「俺たち、ここから出るには契約しないとダメなんだ。」

二人は「お願いします!」と頭を下げる。

「…はぁ……」

ヴェルドールはため息をついて言う。

「一応言いますけど、私はそこまで魔力が多いわけでは無いんですよ。だから、一人だけしか契約出来ないですよ。」

二人は顔を見合せて同時に言う。

「「私(俺)たちは二人で一人の龍なの(なんだ)。だから、大丈夫!」」

「はぁ…さいですか…」

私は諦めて契約する事にした。

「一応、言っときますけど、私の命令には従ってもらいますよ。それと私の主にあたる原罪アリス様の言う事にも従ってくださいね。」

「「はーい!」」

二人は元気よく手を挙げる。

そして、私の魔力を纏わせた右手と二人の魔力を纏った左手が触れ合い、契約が成立する。

「それじゃ、行きますよ。」

「おー!」「はーい!」

私の右腕には女の子が引っ付いて、私の前を男の子が歩き始める。

後ろには…

「なんで貴方も着いてきてるんですか…」

小さな子供…つまり、先程の鳥みたいな龍が変化した子供がついてきていた。

「えっと…着いて…行く…したい…」

小さな子供はモジモジしながら言う。

「…そうですか。」

私はもうなにも考えない事にした。

「そうだ!」

女の子がポンと手を叩く。

「ご主人様の名前教えてよ!それと私たち、名前が無いから名前をもらえると嬉しいな…とか言ってみたり…」

ヴェルドールが面倒くさそうに前を見ると男の子も目をキラキラさせてこちらを見ていた。

後ろでも期待の眼差しを向けられているのを感じる。

「はぁ…めんどくさいですねぇ…私はヴェルドールです。」

めんどくさいを前面に押し出しながらも自己紹介を済ませて、3人の名前を考える。

「まずは貴方。」

私は女の子を見る。

「貴方はイヴです。」

「イヴ…可愛い名前だね!」

女の子もとい、イヴは嬉しそうに尻尾を振りながら小躍りしている。

「次に貴方。」

男の子の方を見る。

「貴方はディムです。」

「おおー!なんか強そうな名前だな!」

ディムは嬉しそうにガッツポーズをしていた。

「ついでなので貴方も…」

小さな子供の方を見る。

「貴方はルーニです。」

「ルーニ…ルーニ…ルーニ!」

ルーニは嬉しそうに繰り返していた。

それと同時にルーニの姿がほんの少し変わる。

「ふむ…興味深いものを見れましたね。」

龍人となった龍の性別が確定した瞬間だった。

ルーニは女の子で確定したようだ。

「ルーニ、嬉しい…ありがとござます?」

「私も非常に面白いものを見せてもらいました。龍が龍人となるところだけでなく、龍から龍人となった者の性別の確定まで見られたのは私にとっても非常に貴重な経験でした。ありがとうございます。」

私はこの経験をに記す。

「ルーニは女の子になったのね!イヴと同じだね!」

イヴは嬉しそうにルーニに言う。

「ちぇー…男は俺だけかよー!張り合いねぇなぁ…」

ディムが少しつまらなさそうに言う。

「ディム、そういう言い方してはいけませんよ。」

「だって、女って男より弱いんだろ?だから、男は女を護らないとダメってじいちゃんが言ってたし。」

「私も女ですが、自分の身は自分で護りますよ。それに貴方は先程私に負けた事をお忘れになられたのですか?」

「うっ…確かにそうだな…」

ディムはルーニに謝る。

「えっと…大丈夫…ます?」

ルーニがモジモジしながら言う。

「アッハハ!ルーニがディムをぶっ飛ばすから大丈夫だって!」

イヴがそう言うとルーニが目を丸くしながら、両手を前に出して首と一緒に全力で横に振っていた。

「なにぃ!?こ、こうなったら…勝負するしか…」

私はゴーレムを作って寝床を確保する為に近くの壁を掘る。

その後ろではルーニとディムが戦っていた。

「くらえ!爆炎の息フレアブレス!

「うえっ?!か、風よ!エアロ!」

ディムが口からブレスを吐くとルーニが驚いた様に目を丸くしながら魔法で対抗する。

「あれ?お前、ひょっとして…」

ディムがニヤリと笑いながら言う。

「えっと…ルーニ…は…」

ルーニがゴーレムで穴掘りをしていた私を助けを求める様に見る。

「ああ、ルーニはブレスを使えない種族なんですね。同じ龍種でもブレスを使える種族と使えない種族がいるんですよ。ブレスを使える種族は基本的に身体能力は高いですが、魔力に関する能力が劣る傾向にあり、逆にブレスが使えない種族は身体能力が低いかわりに魔力に関する能力が高いんです。もちろん、個人差はありますけどね。」

私が淡々とそう説明するとディムは「なるほどなぁ…」と納得した様子で頷いていた。

「ルーニも魔法使うんだね!私も少しだけ魔法使えるから、今度魔法対決しようよ!」

イヴが嬉しそうにルーニに言う。

「えっと…わかるます?」

ルーニは困り顔だったが、少しだけ嬉しそうに言う。

「やったー!」

私は怠惰なる眼差しベルフェゴール・アイズにかかった敵を感知した。

「なら、ちょうどいい敵がすぐそこまで来ているようですよ。かなり規模が大きい様ですので、討伐数を競ってみてはいかがですか?」

私は自分用のふかふかのソファーを異空間アイテムスペースから取り出す。

「いいね!それなら仲間同士で無駄に消耗する事もないし、強くなれるしで一石二鳥だね!」

「へっ!お前らに俺の力を見せてやるぜ!」

「えっと…頑張る…です?」

3人ともやる気満々で戦闘準備を始める。

私はソファーの上で寝転ぶ。

『ブルァァァァァァァァァ!』『ピギィイイイイイイイ!』

二足歩行の豚、オークの軍勢がこちらに向かって大量に押し寄せて来ていた。

「死なない程度に頑張って来てください。」

私がそう命令すると3人は同時に頷いてオークの軍勢に突撃する。

「くらえ!爆炎の息フレアブレス!」

ディムが真っ先に吐いたブレスで軍勢の半分くらいがこんがり焼き豚になったが、軍勢はまだまだ増え続けていた。

「今度は私の番だよ!ライジングヴィースト!」

イヴは魔法で雷の獣を召喚してディムの倍くらいのオーク達をあっという間に炭に変えていくが、軍勢の勢いはさらに増していた。

「吹き均せ…サイクロン!」

ルーニの魔法で発生した巨大な竜巻がオークを切り刻みながら、勢力を拡大し、ディムとイヴを合わせた倍くらいのオークをスライスに変えていたが、軍勢はまだまだ増え続けながら勢いを増していた。

ディムとイヴが目を合わせる。

「こうなったら、二人でやるよ!」

「任せろ!」

ディムとイヴが手を繋いで互いの魔力を練り合わせる。

「いくよ!」

「おう!」

「天より轟く雷よ…」
「全てを爆ぜよ…」

「「爆雷龍の波動バーンライジングブレイク!」」

凄まじい雷と共に爆炎が解き放たれ、オークの軍勢を焼き豚に変えながら一時的に壊滅状態に追い込むが、軍勢の勢いは留まらずに増していた。

私はソファーから起き上がって一丁の銃を取り出す。

「3人とも、そこを退いてください。後は私が片づけます。」

私がそう言うと3人は私の後ろまで下がる。

「照準固定…チャージ率50%…」

私は軍勢の真ん中を狙う。

「対軍バレット…コード:ICBアイシビ発射!」

私がそう言って引き金を引くと同時に極太の無属性レーザーが発射されて、壁ごとオークの軍勢を消し去る。

ほんの一瞬の出力だったが、3人が倒したオークの軍勢の8倍ほどの規模を一瞬で跡形もなく消し去った威力は溶けた地面がものがたっていた。

「ちょっと出力が強過ぎましたね。せっかくの食料がもったいないことしてしまいました。」

私がそんな事を言っているとイヴから拍手が送られた。

「さっすが、ご主人だね!私なんかじゃ手も足も出ないや!」

イヴが嬉しそうにはしゃぐ。

「ちぇ…結局、ヴェルドールには勝てねぇのかよ…」

少し不満げにディムが言う。

「で、でも…ルーニたちも…頑張る…したです?」

ルーニがディムを励ますように言う。

「ご主人の方が私たちの何百倍も強いから仕方ないよ。もっと強くなったら少しは追いつけると思うよ!」

イヴは楽しそうに笑う。

「へっ!当然だ!いつか俺はヴェルドールを超える予定だしな!」

ディムは自信満々に胸を張って言う。

「はぁ…ディムは面白い事を言ってくれますね。めんどくさいですが、死ぬまで越えられない壁を見せてやりますよ。」

ヴェルドールはめんどくさいと言いたげな顔とは裏腹に少しだけ楽しげに言う。

「おっしゃー!いつかギャフンと言わせてやるぜ!」

ディムは拳を高く上げて気合いを入れる。

「あははっ!じゃあ、皆で特訓だね!」

イヴは楽しそうに後ろで手を組んで言う。

「えっと…ルーニも頑張る…ます?」

ルーニは相変わらずの困り顔で嬉しそうに言う。

そんな4人は騒がしくダンジョンの奥へと進んで行った。
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