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3.5章 平民騎士の困惑の日々
5. 仲間
聖女様と聖女様のお母さんことマサコ様がアクティの沼の浄化に出かける。
本物の護衛騎士に交ざっての初めての仕事だ。俺たちは第二からの出張組は護衛騎士見習いみたいな立場なので、護衛対象の近くには配置されないが、オレとアッシュだけはマサコ様の近くに配置されている。聖女様とマサコ様の近くにいる護衛を頻繁に変えないための体制らしい。
「あら、君は第二騎士団よね?」
「はい。自分は臨時の護衛騎士であります」
「そんな硬くならなくて平気よ。私はマサコ。好きに呼んで」
前回も思ったが、マサコ様は気さくな人だ。そばにいると挨拶など話しかけられることが多い。
この感じ、幼馴染のお母さんにちょっと似ている。うちの母親は、本人には言えないがもっとがさつだ。
アッシュに助けを求めようと思ったら、本物の護衛騎士と交代して離れたところにいた。置いて行くなよ。
「私はシーダであります」
「シーダ君ね。私には敬語使わなくていいから。苦手なんでしょ」
「自分は平民であります」
「だからいいって。私も平民よ。気にしないで」
横にいる団長の奥さんも頷いているからいいんだろうけど、近所のおばちゃんたちに話すようには話せないし、どうしたらいいんだよ。
団長の奥さんは、聖女様の浄化に付き合って一緒に移動するらしい。そのためジェン君こと団長も一緒だ。
でもマサコ様が平民と言うことは聖女様も平民なんだろうか。天上の国のことはよく分からないな。
今回、聖女様の目に見えるところに魔物を近寄らせないように事前にお達しがあった。今までそんな命令はなかったし、魔物が目に入るところにいたこともないと思うが、あの後で何かあったのだろうか。
聖女様のために、第二騎士団の仲間たちは3日前からここの魔物を徹底的に討伐している。
聖女様は周りを警戒しながらも準備されたところへ跪いて、いつものように祈りを捧げて光った。
けれど、王都へと向かう途中で浄化していた時だと1回だけなのに、今回は3回も光った。
このあたりの瘴気はクインス側に比べれば薄いと思っていたのに、俺のなんとなくはやっぱりただの思い込みだったんだろうか。
「理沙、浄化が入念すぎるわ」
「本当にカエルがダメなんですね」
魔物が怖いからいつもより入念に行っていると言うことだろうか。俺の疑問が顔に出ていたようだ。
「シーダ君、どうしたの?」
「あ、いえ」
「そんな緊張しなくていいから。どしたの?」
すごく失礼だと分かっているが、マサコ様が俺を見る目は近所のおばちゃんと同じ感じがする。誤解は解けたはずなのに、マサコ様の中で俺は新人の騎士なのかもしれない。
「この辺りはクインスほど瘴気が濃い感じがしないのに、3度も浄化するのは不思議だと思いました」
「貴方、もしかして瘴気の濃さが分かるのですか?」
「……なんとなくまとわりつくような感じがするのですが、同僚には感じないと言われました」
いきなり団長の奥さんが話に入ってきたんだけど、なんなの。誰も信じてくれないのに言わなきゃいけないとか、何の罰ゲームだよ。
「どうした。シーダ、何があった」
「何もありません!」
そんな俺たちを見て少し離れたところにいた団長が近づいてきた。俺何もしてないから。団長の奥さんに手を出したりしないから。
奥さんが団長に、俺がなんとなく瘴気の濃さが分かると言っていると説明し、第二騎士団の中で他にも同じように感じる者がいないか調べるべきだと主張している。
瘴気は見えないので、魔物が多く出てくるところは瘴気が濃いと言われているが、実際は分からない。団長も俺の言葉を疑っているようだ。分かるよ。隊の誰も信じてくれなかったし。
そこに聖女様が護衛と一緒に近寄ってきたので、俺は聖女様から離れようと一歩を踏み出したら、団長に捕まってしまった。
「シーダ、聖女様を護衛している間に、一番瘴気が濃いと思ったところはどこだ」
「デシウの草原です」
「聖女様、瘴気の濃さがお分かりになると以前伺いましたが、トルゴード国内で一番濃かったのはどこでしょうか?」
「そうですねえ、2回目に行ったところかな」
2回目に行ったのはデシウの草原だ。あそこは日当たりもいいのに、なぜか空気が重い不思議なところだ。その奥の森から魔物が出てくるが、聖女様の安全を考えて草原までしか行かなかった。
「お母さん、何かあったの?」
「シーダ君が瘴気を感じるんだって」
「え、どんな感じで分かりますか?」
聖女様に話しかけられたんだけど逃げたい。団長、手を放して。
「シーダ、答えろ」
「空気がまとわりつくような感じがするであります!」
「わあ、仲間がいた。私も粘っこい感じがするんです」
いやいや、俺はただの庶民なんで、聖女様の仲間じゃないです。だから団長、手を放して。
団長が、他にも同じように感じる騎士がいないか調べてみると言っているので、ぜひ他の人も見つかって、お願い。
「シーダ、空き時間は護衛騎士たちに敬語の特訓してもらえ。おそらくこれからも聖女様やマサコ殿と関わることになるだろう」
「拒否は……?」
「特別手当をはずんでやるから諦めろ」
嘘だろ。俺は平凡に騎士を勤め上げて引退したら家に帰るつもりだったのに。そうしたら幼馴染の家の宿で用心棒を兼ねた従業員として雇ってもらうことになっているのに。
こんなの、クビになる可能性が上がるじゃないか。妹の官吏養成学校の学費は出してやりたいのに。
ごめんよ妹、無理かもしれない。
本物の護衛騎士に交ざっての初めての仕事だ。俺たちは第二からの出張組は護衛騎士見習いみたいな立場なので、護衛対象の近くには配置されないが、オレとアッシュだけはマサコ様の近くに配置されている。聖女様とマサコ様の近くにいる護衛を頻繁に変えないための体制らしい。
「あら、君は第二騎士団よね?」
「はい。自分は臨時の護衛騎士であります」
「そんな硬くならなくて平気よ。私はマサコ。好きに呼んで」
前回も思ったが、マサコ様は気さくな人だ。そばにいると挨拶など話しかけられることが多い。
この感じ、幼馴染のお母さんにちょっと似ている。うちの母親は、本人には言えないがもっとがさつだ。
アッシュに助けを求めようと思ったら、本物の護衛騎士と交代して離れたところにいた。置いて行くなよ。
「私はシーダであります」
「シーダ君ね。私には敬語使わなくていいから。苦手なんでしょ」
「自分は平民であります」
「だからいいって。私も平民よ。気にしないで」
横にいる団長の奥さんも頷いているからいいんだろうけど、近所のおばちゃんたちに話すようには話せないし、どうしたらいいんだよ。
団長の奥さんは、聖女様の浄化に付き合って一緒に移動するらしい。そのためジェン君こと団長も一緒だ。
でもマサコ様が平民と言うことは聖女様も平民なんだろうか。天上の国のことはよく分からないな。
今回、聖女様の目に見えるところに魔物を近寄らせないように事前にお達しがあった。今までそんな命令はなかったし、魔物が目に入るところにいたこともないと思うが、あの後で何かあったのだろうか。
聖女様のために、第二騎士団の仲間たちは3日前からここの魔物を徹底的に討伐している。
聖女様は周りを警戒しながらも準備されたところへ跪いて、いつものように祈りを捧げて光った。
けれど、王都へと向かう途中で浄化していた時だと1回だけなのに、今回は3回も光った。
このあたりの瘴気はクインス側に比べれば薄いと思っていたのに、俺のなんとなくはやっぱりただの思い込みだったんだろうか。
「理沙、浄化が入念すぎるわ」
「本当にカエルがダメなんですね」
魔物が怖いからいつもより入念に行っていると言うことだろうか。俺の疑問が顔に出ていたようだ。
「シーダ君、どうしたの?」
「あ、いえ」
「そんな緊張しなくていいから。どしたの?」
すごく失礼だと分かっているが、マサコ様が俺を見る目は近所のおばちゃんと同じ感じがする。誤解は解けたはずなのに、マサコ様の中で俺は新人の騎士なのかもしれない。
「この辺りはクインスほど瘴気が濃い感じがしないのに、3度も浄化するのは不思議だと思いました」
「貴方、もしかして瘴気の濃さが分かるのですか?」
「……なんとなくまとわりつくような感じがするのですが、同僚には感じないと言われました」
いきなり団長の奥さんが話に入ってきたんだけど、なんなの。誰も信じてくれないのに言わなきゃいけないとか、何の罰ゲームだよ。
「どうした。シーダ、何があった」
「何もありません!」
そんな俺たちを見て少し離れたところにいた団長が近づいてきた。俺何もしてないから。団長の奥さんに手を出したりしないから。
奥さんが団長に、俺がなんとなく瘴気の濃さが分かると言っていると説明し、第二騎士団の中で他にも同じように感じる者がいないか調べるべきだと主張している。
瘴気は見えないので、魔物が多く出てくるところは瘴気が濃いと言われているが、実際は分からない。団長も俺の言葉を疑っているようだ。分かるよ。隊の誰も信じてくれなかったし。
そこに聖女様が護衛と一緒に近寄ってきたので、俺は聖女様から離れようと一歩を踏み出したら、団長に捕まってしまった。
「シーダ、聖女様を護衛している間に、一番瘴気が濃いと思ったところはどこだ」
「デシウの草原です」
「聖女様、瘴気の濃さがお分かりになると以前伺いましたが、トルゴード国内で一番濃かったのはどこでしょうか?」
「そうですねえ、2回目に行ったところかな」
2回目に行ったのはデシウの草原だ。あそこは日当たりもいいのに、なぜか空気が重い不思議なところだ。その奥の森から魔物が出てくるが、聖女様の安全を考えて草原までしか行かなかった。
「お母さん、何かあったの?」
「シーダ君が瘴気を感じるんだって」
「え、どんな感じで分かりますか?」
聖女様に話しかけられたんだけど逃げたい。団長、手を放して。
「シーダ、答えろ」
「空気がまとわりつくような感じがするであります!」
「わあ、仲間がいた。私も粘っこい感じがするんです」
いやいや、俺はただの庶民なんで、聖女様の仲間じゃないです。だから団長、手を放して。
団長が、他にも同じように感じる騎士がいないか調べてみると言っているので、ぜひ他の人も見つかって、お願い。
「シーダ、空き時間は護衛騎士たちに敬語の特訓してもらえ。おそらくこれからも聖女様やマサコ殿と関わることになるだろう」
「拒否は……?」
「特別手当をはずんでやるから諦めろ」
嘘だろ。俺は平凡に騎士を勤め上げて引退したら家に帰るつもりだったのに。そうしたら幼馴染の家の宿で用心棒を兼ねた従業員として雇ってもらうことになっているのに。
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