45 / 89
3.5章 平民騎士の困惑の日々
5. 仲間
しおりを挟む
聖女様と聖女様のお母さんことマサコ様がアクティの沼の浄化に出かける。
本物の護衛騎士に交ざっての初めての仕事だ。俺たちは第二からの出張組は護衛騎士見習いみたいな立場なので、護衛対象の近くには配置されないが、オレとアッシュだけはマサコ様の近くに配置されている。聖女様とマサコ様の近くにいる護衛を頻繁に変えないための体制らしい。
「あら、君は第二騎士団よね?」
「はい。自分は臨時の護衛騎士であります」
「そんな硬くならなくて平気よ。私はマサコ。好きに呼んで」
前回も思ったが、マサコ様は気さくな人だ。そばにいると挨拶など話しかけられることが多い。
この感じ、幼馴染のお母さんにちょっと似ている。うちの母親は、本人には言えないがもっとがさつだ。
アッシュに助けを求めようと思ったら、本物の護衛騎士と交代して離れたところにいた。置いて行くなよ。
「私はシーダであります」
「シーダ君ね。私には敬語使わなくていいから。苦手なんでしょ」
「自分は平民であります」
「だからいいって。私も平民よ。気にしないで」
横にいる団長の奥さんも頷いているからいいんだろうけど、近所のおばちゃんたちに話すようには話せないし、どうしたらいいんだよ。
団長の奥さんは、聖女様の浄化に付き合って一緒に移動するらしい。そのためジェン君こと団長も一緒だ。
でもマサコ様が平民と言うことは聖女様も平民なんだろうか。天上の国のことはよく分からないな。
今回、聖女様の目に見えるところに魔物を近寄らせないように事前にお達しがあった。今までそんな命令はなかったし、魔物が目に入るところにいたこともないと思うが、あの後で何かあったのだろうか。
聖女様のために、第二騎士団の仲間たちは3日前からここの魔物を徹底的に討伐している。
聖女様は周りを警戒しながらも準備されたところへ跪いて、いつものように祈りを捧げて光った。
けれど、王都へと向かう途中で浄化していた時だと1回だけなのに、今回は3回も光った。
このあたりの瘴気はクインス側に比べれば薄いと思っていたのに、俺のなんとなくはやっぱりただの思い込みだったんだろうか。
「理沙、浄化が入念すぎるわ」
「本当にカエルがダメなんですね」
魔物が怖いからいつもより入念に行っていると言うことだろうか。俺の疑問が顔に出ていたようだ。
「シーダ君、どうしたの?」
「あ、いえ」
「そんな緊張しなくていいから。どしたの?」
すごく失礼だと分かっているが、マサコ様が俺を見る目は近所のおばちゃんと同じ感じがする。誤解は解けたはずなのに、マサコ様の中で俺は新人の騎士なのかもしれない。
「この辺りはクインスほど瘴気が濃い感じがしないのに、3度も浄化するのは不思議だと思いました」
「貴方、もしかして瘴気の濃さが分かるのですか?」
「……なんとなくまとわりつくような感じがするのですが、同僚には感じないと言われました」
いきなり団長の奥さんが話に入ってきたんだけど、なんなの。誰も信じてくれないのに言わなきゃいけないとか、何の罰ゲームだよ。
「どうした。シーダ、何があった」
「何もありません!」
そんな俺たちを見て少し離れたところにいた団長が近づいてきた。俺何もしてないから。団長の奥さんに手を出したりしないから。
奥さんが団長に、俺がなんとなく瘴気の濃さが分かると言っていると説明し、第二騎士団の中で他にも同じように感じる者がいないか調べるべきだと主張している。
瘴気は見えないので、魔物が多く出てくるところは瘴気が濃いと言われているが、実際は分からない。団長も俺の言葉を疑っているようだ。分かるよ。隊の誰も信じてくれなかったし。
そこに聖女様が護衛と一緒に近寄ってきたので、俺は聖女様から離れようと一歩を踏み出したら、団長に捕まってしまった。
「シーダ、聖女様を護衛している間に、一番瘴気が濃いと思ったところはどこだ」
「デシウの草原です」
「聖女様、瘴気の濃さがお分かりになると以前伺いましたが、トルゴード国内で一番濃かったのはどこでしょうか?」
「そうですねえ、2回目に行ったところかな」
2回目に行ったのはデシウの草原だ。あそこは日当たりもいいのに、なぜか空気が重い不思議なところだ。その奥の森から魔物が出てくるが、聖女様の安全を考えて草原までしか行かなかった。
「お母さん、何かあったの?」
「シーダ君が瘴気を感じるんだって」
「え、どんな感じで分かりますか?」
聖女様に話しかけられたんだけど逃げたい。団長、手を放して。
「シーダ、答えろ」
「空気がまとわりつくような感じがするであります!」
「わあ、仲間がいた。私も粘っこい感じがするんです」
いやいや、俺はただの庶民なんで、聖女様の仲間じゃないです。だから団長、手を放して。
団長が、他にも同じように感じる騎士がいないか調べてみると言っているので、ぜひ他の人も見つかって、お願い。
「シーダ、空き時間は護衛騎士たちに敬語の特訓してもらえ。おそらくこれからも聖女様やマサコ殿と関わることになるだろう」
「拒否は……?」
「特別手当をはずんでやるから諦めろ」
嘘だろ。俺は平凡に騎士を勤め上げて引退したら家に帰るつもりだったのに。そうしたら幼馴染の家の宿で用心棒を兼ねた従業員として雇ってもらうことになっているのに。
こんなの、クビになる可能性が上がるじゃないか。妹の官吏養成学校の学費は出してやりたいのに。
ごめんよ妹、無理かもしれない。
本物の護衛騎士に交ざっての初めての仕事だ。俺たちは第二からの出張組は護衛騎士見習いみたいな立場なので、護衛対象の近くには配置されないが、オレとアッシュだけはマサコ様の近くに配置されている。聖女様とマサコ様の近くにいる護衛を頻繁に変えないための体制らしい。
「あら、君は第二騎士団よね?」
「はい。自分は臨時の護衛騎士であります」
「そんな硬くならなくて平気よ。私はマサコ。好きに呼んで」
前回も思ったが、マサコ様は気さくな人だ。そばにいると挨拶など話しかけられることが多い。
この感じ、幼馴染のお母さんにちょっと似ている。うちの母親は、本人には言えないがもっとがさつだ。
アッシュに助けを求めようと思ったら、本物の護衛騎士と交代して離れたところにいた。置いて行くなよ。
「私はシーダであります」
「シーダ君ね。私には敬語使わなくていいから。苦手なんでしょ」
「自分は平民であります」
「だからいいって。私も平民よ。気にしないで」
横にいる団長の奥さんも頷いているからいいんだろうけど、近所のおばちゃんたちに話すようには話せないし、どうしたらいいんだよ。
団長の奥さんは、聖女様の浄化に付き合って一緒に移動するらしい。そのためジェン君こと団長も一緒だ。
でもマサコ様が平民と言うことは聖女様も平民なんだろうか。天上の国のことはよく分からないな。
今回、聖女様の目に見えるところに魔物を近寄らせないように事前にお達しがあった。今までそんな命令はなかったし、魔物が目に入るところにいたこともないと思うが、あの後で何かあったのだろうか。
聖女様のために、第二騎士団の仲間たちは3日前からここの魔物を徹底的に討伐している。
聖女様は周りを警戒しながらも準備されたところへ跪いて、いつものように祈りを捧げて光った。
けれど、王都へと向かう途中で浄化していた時だと1回だけなのに、今回は3回も光った。
このあたりの瘴気はクインス側に比べれば薄いと思っていたのに、俺のなんとなくはやっぱりただの思い込みだったんだろうか。
「理沙、浄化が入念すぎるわ」
「本当にカエルがダメなんですね」
魔物が怖いからいつもより入念に行っていると言うことだろうか。俺の疑問が顔に出ていたようだ。
「シーダ君、どうしたの?」
「あ、いえ」
「そんな緊張しなくていいから。どしたの?」
すごく失礼だと分かっているが、マサコ様が俺を見る目は近所のおばちゃんと同じ感じがする。誤解は解けたはずなのに、マサコ様の中で俺は新人の騎士なのかもしれない。
「この辺りはクインスほど瘴気が濃い感じがしないのに、3度も浄化するのは不思議だと思いました」
「貴方、もしかして瘴気の濃さが分かるのですか?」
「……なんとなくまとわりつくような感じがするのですが、同僚には感じないと言われました」
いきなり団長の奥さんが話に入ってきたんだけど、なんなの。誰も信じてくれないのに言わなきゃいけないとか、何の罰ゲームだよ。
「どうした。シーダ、何があった」
「何もありません!」
そんな俺たちを見て少し離れたところにいた団長が近づいてきた。俺何もしてないから。団長の奥さんに手を出したりしないから。
奥さんが団長に、俺がなんとなく瘴気の濃さが分かると言っていると説明し、第二騎士団の中で他にも同じように感じる者がいないか調べるべきだと主張している。
瘴気は見えないので、魔物が多く出てくるところは瘴気が濃いと言われているが、実際は分からない。団長も俺の言葉を疑っているようだ。分かるよ。隊の誰も信じてくれなかったし。
そこに聖女様が護衛と一緒に近寄ってきたので、俺は聖女様から離れようと一歩を踏み出したら、団長に捕まってしまった。
「シーダ、聖女様を護衛している間に、一番瘴気が濃いと思ったところはどこだ」
「デシウの草原です」
「聖女様、瘴気の濃さがお分かりになると以前伺いましたが、トルゴード国内で一番濃かったのはどこでしょうか?」
「そうですねえ、2回目に行ったところかな」
2回目に行ったのはデシウの草原だ。あそこは日当たりもいいのに、なぜか空気が重い不思議なところだ。その奥の森から魔物が出てくるが、聖女様の安全を考えて草原までしか行かなかった。
「お母さん、何かあったの?」
「シーダ君が瘴気を感じるんだって」
「え、どんな感じで分かりますか?」
聖女様に話しかけられたんだけど逃げたい。団長、手を放して。
「シーダ、答えろ」
「空気がまとわりつくような感じがするであります!」
「わあ、仲間がいた。私も粘っこい感じがするんです」
いやいや、俺はただの庶民なんで、聖女様の仲間じゃないです。だから団長、手を放して。
団長が、他にも同じように感じる騎士がいないか調べてみると言っているので、ぜひ他の人も見つかって、お願い。
「シーダ、空き時間は護衛騎士たちに敬語の特訓してもらえ。おそらくこれからも聖女様やマサコ殿と関わることになるだろう」
「拒否は……?」
「特別手当をはずんでやるから諦めろ」
嘘だろ。俺は平凡に騎士を勤め上げて引退したら家に帰るつもりだったのに。そうしたら幼馴染の家の宿で用心棒を兼ねた従業員として雇ってもらうことになっているのに。
こんなの、クビになる可能性が上がるじゃないか。妹の官吏養成学校の学費は出してやりたいのに。
ごめんよ妹、無理かもしれない。
114
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる