75 / 89
7章 クインス再訪編
7. 越境
しおりを挟む
「聖女様、ご無沙汰しております。クインスへのご来訪誠にありがとうございます」
「レイさん、お久しぶりです」
「レイ君、元気だった?」
「マサコさんもお元気そうで何よりです」
国境に迎えに来てくれたのはイケメン騎士のレイ君だった。相変わらず爽やかな笑顔で挨拶が様になるわ。
まずはこれからの予定を紹介しますので、とすぐそばの建物に案内された。ここは国境警備の兵士たちの拠点らしい。
私たちのクインスへの不信感もあって、今回はトルゴードの護衛騎士だけでなく、ジェン君率いる第二騎士団が国境を越えてクインスに入っている。これはかなり異例のことらしい。
私たちはトルゴードの護衛騎士、トルゴードの第二騎士団、クインスの騎士団の三段構えで守られている。
会議室に入ると、そこにいたのは会えるかなと期待していた人だった。
「ローズ!」
「リサ様、お久しぶりです」
「ローズ、久しぶりね。元気だった?」
「はい。マサコ様もお久しぶりです。これからはリサ様のおそばでお世話をさせていただきます」
「え、トルゴードでも?」
「はい、これからよろしくお願いいたします」
ローズにできれば理沙のそばにいてほしいと言ったのを聞いてくれたのだ。
クインスに入って少し緊張していた理沙に笑顔が戻ったので、それだけでも有難い。
ローズの所属がどうなっているのかよく分からないけど、その辺りはレイ君がきちんとしてくれているだろう。
ローズとの再会の喜びが落ち着いたところで、地図が置いてある机へと案内された。
会議室にいるのは、護衛騎士の外に、ジェン君とシーダ君、クインス側のレイ君ともう一人騎士の人だ。見たことがある気がするので、理沙の護衛をしていた騎士だろう。
シーダ君が疲れた顔をしているけど大丈夫かしら。瘴気を感じるという特殊能力のせいで忙しいのかもしれない。
「これからの予定ですが、北の森のこの辺りの浄化をお願いしたいと思っています。トルゴードでは、瘴気の濃さで浄化場所を決めていらっしゃるということで、こちらでも同じように場所を決めていただく予定です」
地図を指さしながら、この辺りの浄化はこの街から、この辺りはこちらの街からと、どこを拠点にして向かう予定かを説明してくれる。
ときどき理沙に、これとこれならどっちがよいか、と意見を聞いてくれている。
それを見ながら、なんだかちょっとため息が出てしまった。
最初からクインスがこういう対応をしてくれていれば、クインスを出る必要もなかったのに。
私たちが逃げ出して、宰相がレイ君のお父さんになったからこその対応かもしれないし、私がもっと気づければよかったんだけど。
たらればを言ってもどうにもならないから、今はこれからのことに集中しよう。
「移動には馬を使いますので、聖女様のみお出ましいただいて、マサコさんは街に残っていただく予定です」
「理沙、大丈夫?」
「ローズは同行いたします」
「分かりました。お母さん、大丈夫」
今回は、北の森の近くで兵士の拠点となっている砦に泊ったりはしない。
後からターシャちゃんが教えてくれたけど、砦という逃げ場のない空間に泊まるほどクインスを信用していないから、という理由だった。
元々聖女を召喚したのはクインスなので、今でも聖女はクインスに所属するべきだと思っている人もいる。
もし砦にいる兵士がそう思って理沙を奪いに来た時に、今のトルゴードの戦力では応戦が難しい。さすがにそこまでの戦力を他国に送り込むことは、両国の関係に亀裂を入れかねない。
ましてや周りに魔物がいる場所となれば慎重にならざるを得ない。
今の宰相であるレイ君のお父さんはその辺りを割り切って、トルゴードに頭を下げて聖女様の手を貸してもらえばいいと考えている人だそうだ。自分の失敗じゃないからというのも大きいんだろう。
けれど、失脚した前の宰相の支援者たちは、理沙を自分たちの陣営に引き入れて、返り咲きを狙っているという情報がある。
この国を逃げ出して原因を作った私に言えることじゃないかもいしれないけど、政治的なあれこれに巻き込まないでほしい。
大体の予定を立てて、後は臨機応変に対応することにして、まずは今日泊まる街へと移動した。
クインスでの予定は長くても20日だ。その間何もないことを祈るしかない。
「ロニア、これから理沙の世話をしてくれるローズよ。ローズ、こっちは私の世話係のロニア。世話と言っても、ほとんど話し相手だけど」
「ロニア様、よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いします。ロニアと呼んでいただいて構いませんよ」
クインスにいる間は、理沙と私は同じ部屋だ。これは私が言うよりも先に、理沙が希望した。
「今日のお食事は、リサ様がお好きだったものをご用意いたしました」
「もしかして、料理人も連れてきたの?」
「料理長と数名だけですが」
なんだかものすごく気を遣われている気がする。
そう呟いたら、聖女様でしたら当然の対応ですよ、とロニアに呆れたように言われてしまった。
最近ロニアが私に慣れたからか、ツッコミに容赦がない気がする。
「レイさん、お久しぶりです」
「レイ君、元気だった?」
「マサコさんもお元気そうで何よりです」
国境に迎えに来てくれたのはイケメン騎士のレイ君だった。相変わらず爽やかな笑顔で挨拶が様になるわ。
まずはこれからの予定を紹介しますので、とすぐそばの建物に案内された。ここは国境警備の兵士たちの拠点らしい。
私たちのクインスへの不信感もあって、今回はトルゴードの護衛騎士だけでなく、ジェン君率いる第二騎士団が国境を越えてクインスに入っている。これはかなり異例のことらしい。
私たちはトルゴードの護衛騎士、トルゴードの第二騎士団、クインスの騎士団の三段構えで守られている。
会議室に入ると、そこにいたのは会えるかなと期待していた人だった。
「ローズ!」
「リサ様、お久しぶりです」
「ローズ、久しぶりね。元気だった?」
「はい。マサコ様もお久しぶりです。これからはリサ様のおそばでお世話をさせていただきます」
「え、トルゴードでも?」
「はい、これからよろしくお願いいたします」
ローズにできれば理沙のそばにいてほしいと言ったのを聞いてくれたのだ。
クインスに入って少し緊張していた理沙に笑顔が戻ったので、それだけでも有難い。
ローズの所属がどうなっているのかよく分からないけど、その辺りはレイ君がきちんとしてくれているだろう。
ローズとの再会の喜びが落ち着いたところで、地図が置いてある机へと案内された。
会議室にいるのは、護衛騎士の外に、ジェン君とシーダ君、クインス側のレイ君ともう一人騎士の人だ。見たことがある気がするので、理沙の護衛をしていた騎士だろう。
シーダ君が疲れた顔をしているけど大丈夫かしら。瘴気を感じるという特殊能力のせいで忙しいのかもしれない。
「これからの予定ですが、北の森のこの辺りの浄化をお願いしたいと思っています。トルゴードでは、瘴気の濃さで浄化場所を決めていらっしゃるということで、こちらでも同じように場所を決めていただく予定です」
地図を指さしながら、この辺りの浄化はこの街から、この辺りはこちらの街からと、どこを拠点にして向かう予定かを説明してくれる。
ときどき理沙に、これとこれならどっちがよいか、と意見を聞いてくれている。
それを見ながら、なんだかちょっとため息が出てしまった。
最初からクインスがこういう対応をしてくれていれば、クインスを出る必要もなかったのに。
私たちが逃げ出して、宰相がレイ君のお父さんになったからこその対応かもしれないし、私がもっと気づければよかったんだけど。
たらればを言ってもどうにもならないから、今はこれからのことに集中しよう。
「移動には馬を使いますので、聖女様のみお出ましいただいて、マサコさんは街に残っていただく予定です」
「理沙、大丈夫?」
「ローズは同行いたします」
「分かりました。お母さん、大丈夫」
今回は、北の森の近くで兵士の拠点となっている砦に泊ったりはしない。
後からターシャちゃんが教えてくれたけど、砦という逃げ場のない空間に泊まるほどクインスを信用していないから、という理由だった。
元々聖女を召喚したのはクインスなので、今でも聖女はクインスに所属するべきだと思っている人もいる。
もし砦にいる兵士がそう思って理沙を奪いに来た時に、今のトルゴードの戦力では応戦が難しい。さすがにそこまでの戦力を他国に送り込むことは、両国の関係に亀裂を入れかねない。
ましてや周りに魔物がいる場所となれば慎重にならざるを得ない。
今の宰相であるレイ君のお父さんはその辺りを割り切って、トルゴードに頭を下げて聖女様の手を貸してもらえばいいと考えている人だそうだ。自分の失敗じゃないからというのも大きいんだろう。
けれど、失脚した前の宰相の支援者たちは、理沙を自分たちの陣営に引き入れて、返り咲きを狙っているという情報がある。
この国を逃げ出して原因を作った私に言えることじゃないかもいしれないけど、政治的なあれこれに巻き込まないでほしい。
大体の予定を立てて、後は臨機応変に対応することにして、まずは今日泊まる街へと移動した。
クインスでの予定は長くても20日だ。その間何もないことを祈るしかない。
「ロニア、これから理沙の世話をしてくれるローズよ。ローズ、こっちは私の世話係のロニア。世話と言っても、ほとんど話し相手だけど」
「ロニア様、よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いします。ロニアと呼んでいただいて構いませんよ」
クインスにいる間は、理沙と私は同じ部屋だ。これは私が言うよりも先に、理沙が希望した。
「今日のお食事は、リサ様がお好きだったものをご用意いたしました」
「もしかして、料理人も連れてきたの?」
「料理長と数名だけですが」
なんだかものすごく気を遣われている気がする。
そう呟いたら、聖女様でしたら当然の対応ですよ、とロニアに呆れたように言われてしまった。
最近ロニアが私に慣れたからか、ツッコミに容赦がない気がする。
78
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる