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3章 僕の正義
56話.転生者の未練『暁翔』
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憤怒の転生者の未練
*
すれ違った30代くらい男性に顔をしかめる。はぁ、くっせぇな。
何週間も風呂に入っていないのだろう。
一人だったらボコってやろうかと思ったが、今はデート中だ。
無闇に他人を殴って嫌われてもしょうがねぇ。
まぁ、敵対するっていうなら彼女を守る為にぶちのめしてやるんだけどな。
ふん、気分が悪いぜ。休憩がてらコーヒーでも飲むかな。匂い消しにちょうどいい。
「なぁ奈緒。この辺でーー」
ドスッ!! 背中に何かがぶつかったのを感じる。いってぇ!
振り返るとさっきの臭い男が血塗れのナイフを持っている。
血……俺のか?
「オマエバカにしてただろぉ! 女連れだからって調子に乗るなよぉ!」
一体なんだよコレはっ!
「逃げろ奈緒っ!」
「誰か助けてっ!」
「いいから逃げろぉー!」
「あぁぁっ、うるさいよ、うるさいんだよ!!」
がっ! 男が俺にナイフを突き立てる。くそっ、なんで力がでねぇ。1、2回刺されただけで何でだよ!
俺の気持ちはこの程度なのか!
「そこの女もぶっ殺してやる! 早く死ねよオマエ!!」
誰が死んでやるものか。臭いのを我慢して男にしがみつく。
「やらせねぇよ!」
辺りを見渡すが誰も助けてはくれない。せめて彼女だけでも遠ざけろよ、このカス共っ!
更にナイフを突き立てられる。俺はもうダメだ。ダメだ、ダメだ、ダメだ……
「やめて、下さい……お願いします……私が悪かったです……だから彼女は……見逃して……」
自分を殺す相手に許しを請う、自分を殺す相手に謝罪する。自分のプライドの全てをへし折ってでも……彼女だけは!
「やぁーだねっ!」
くそっ、ゲームの世界では敵無しなのに……あの力があればっ俺はっ!
最後に自分がハマっていたオンラインゲームを思い浮かべて……俺の意識は途絶えたーー
*
目を覚ましたら不気味なくらい白い空間にいた。
「我が名はナブエル。暁翔よ、貴様の願いを聞き入れよう」
いつの間にか現れた天使風の男に突如話しかけられる。
俺の願いだって? 力が得られるのか? 奈緒が危ないんだよ。
話しを聞いてる時間も、考えている時間もねぇ。
「どうでもいいから早く俺に力を授けろぉー!」
「ふんっ」
目の前の天使が不機嫌そうに手をかざすと光につつまれた。
目を開けるとゲームで使い慣れたバトルスーツに身を包んでいた。ゲームで愛用していた粒子剣に粒子銃もある。コレならあの通り魔を軽く片づけられる……だけど……ここは何処なんだ!
見渡す限りの草原。見たことが無い草花。こんな風景は日本には存在しない。
あのクソ天使ぃ。ア”ア”ア”ア”ア”ッ!
何も無い空に向かって粒子銃を連射する。
これは何の為の力だ! こんな力に何の意味がある!
あの場所に……あの時に……あいつに届かない力なんか望んじゃいねぇよ!
空に向かって伸びる光の筋だけが、俺の未練を無様に刻んでいった。
*
すれ違った30代くらい男性に顔をしかめる。はぁ、くっせぇな。
何週間も風呂に入っていないのだろう。
一人だったらボコってやろうかと思ったが、今はデート中だ。
無闇に他人を殴って嫌われてもしょうがねぇ。
まぁ、敵対するっていうなら彼女を守る為にぶちのめしてやるんだけどな。
ふん、気分が悪いぜ。休憩がてらコーヒーでも飲むかな。匂い消しにちょうどいい。
「なぁ奈緒。この辺でーー」
ドスッ!! 背中に何かがぶつかったのを感じる。いってぇ!
振り返るとさっきの臭い男が血塗れのナイフを持っている。
血……俺のか?
「オマエバカにしてただろぉ! 女連れだからって調子に乗るなよぉ!」
一体なんだよコレはっ!
「逃げろ奈緒っ!」
「誰か助けてっ!」
「いいから逃げろぉー!」
「あぁぁっ、うるさいよ、うるさいんだよ!!」
がっ! 男が俺にナイフを突き立てる。くそっ、なんで力がでねぇ。1、2回刺されただけで何でだよ!
俺の気持ちはこの程度なのか!
「そこの女もぶっ殺してやる! 早く死ねよオマエ!!」
誰が死んでやるものか。臭いのを我慢して男にしがみつく。
「やらせねぇよ!」
辺りを見渡すが誰も助けてはくれない。せめて彼女だけでも遠ざけろよ、このカス共っ!
更にナイフを突き立てられる。俺はもうダメだ。ダメだ、ダメだ、ダメだ……
「やめて、下さい……お願いします……私が悪かったです……だから彼女は……見逃して……」
自分を殺す相手に許しを請う、自分を殺す相手に謝罪する。自分のプライドの全てをへし折ってでも……彼女だけは!
「やぁーだねっ!」
くそっ、ゲームの世界では敵無しなのに……あの力があればっ俺はっ!
最後に自分がハマっていたオンラインゲームを思い浮かべて……俺の意識は途絶えたーー
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目を覚ましたら不気味なくらい白い空間にいた。
「我が名はナブエル。暁翔よ、貴様の願いを聞き入れよう」
いつの間にか現れた天使風の男に突如話しかけられる。
俺の願いだって? 力が得られるのか? 奈緒が危ないんだよ。
話しを聞いてる時間も、考えている時間もねぇ。
「どうでもいいから早く俺に力を授けろぉー!」
「ふんっ」
目の前の天使が不機嫌そうに手をかざすと光につつまれた。
目を開けるとゲームで使い慣れたバトルスーツに身を包んでいた。ゲームで愛用していた粒子剣に粒子銃もある。コレならあの通り魔を軽く片づけられる……だけど……ここは何処なんだ!
見渡す限りの草原。見たことが無い草花。こんな風景は日本には存在しない。
あのクソ天使ぃ。ア”ア”ア”ア”ア”ッ!
何も無い空に向かって粒子銃を連射する。
これは何の為の力だ! こんな力に何の意味がある!
あの場所に……あの時に……あいつに届かない力なんか望んじゃいねぇよ!
空に向かって伸びる光の筋だけが、俺の未練を無様に刻んでいった。
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