12 / 74
探検する
しおりを挟む「アゲートへ行くにはこの道を真っ直ぐだよ! 検問所があるけど……。」
国と国の境にある検問所。軍が管轄するそれは犯罪者が逃げたり入ったり簡単にできないようになっている。当然そんなところを俺が通れるわけがない。
それなら抜け道を行けばとも思うが、リンドブルムとアゲートは海を跨ぐ大きな橋で繋がっているため、抜け道なんてものはない。
「船ってわけにもいかないわよね~。」
「転移魔法も私たち使えないからダメだし。」
「検問所を破壊とかもできねえしな。」
どうしたものか、と頭を悩ませていると視界の隅に洞穴のようなものが見えた。
「なんだ、あれは。」
気になって近づいてみると、中はかなり奥まで続いているのか、ライトなしではとても進むことができなさそうだ。
何処かに繋がっているのか、それとも行き止まりなのか、この穴についての看板などもなく手がかりは何もない。
「なんつーか、かなり古そうだな。一体どこに繋がってるやら。」
「シンティア洞窟探検したいなー!」
「確かにたまには刺激が必要よね。」
「アゲートに行く方法を考えながら探検も悪くないわね~。」
絶対ただ探検したいだけのコイツらは俺の意見を聞かずにどんどん中へと入って行った。こういうときの女性陣の団結と行動力は一体なんなのか。
各自ライトを照らしながら洞窟内を進んでいく。こういうところは何が出てくるかわからないし、下手したら犯罪者の隠れ家かもしれない。何があってもいいように常に気を張っておくべきだ。
「しかしなんもねえな。コケと食えそうにないキノコ、あと水しか見えないぜ。」
「ただひたすら道が続いてるだけで特に面白いことも起きないわね。」
「モンスターさえいないってのも不思議なものだが……。」
洞窟と言ったら中には謎解きや仕掛けがあって、なかなか先に進めなかったり宝箱があったりするイメージだったのだが。
現実はほとんど変わり映えのしない景色をただ歩き進めているだけであり、洞窟内のジメジメした感じもあって少し気が滅入りそうになってくる。
入り口からここまで一匹もモンスターに出会っていないし、ただひたすら目に入るのはコケとキノコと水のみ。
そんな状況にさすがにテンションが下がってきたのか、シンティアたちはしりとりをし始めている。
「オレからな。キノコ。」
「コケ!」
「穢れ。」
「……冷水~。」
びっくりするくらい盛り上がっていなかった。
結局しりとりも続かず、今はまたひたすら歩くだけになっている。単調がここまで苦痛だとは思わなかったし、終わりが見えないというのもキツイものがある。かといってここで引き返すのも、先が気になりはするので嫌だし耐えるしかない。
「そういえばオレ洞窟ってあちこちに分かれ道があるもんだと思ってたんだけど、一本道なのな。」
そういえば確かに一回も道を選択していない。ここまで見事に一本道で、ただ少しずつ地下へと入っていってるような気がするだけだ。
「もしかしたら人工的に作られた道だったのかもしれないわね~。」
道、それなら何処かへ繋がっているはず。できればそれがとんでもない場所ではないことを願うが。
そう願いながらもう何時間歩いたのか、そろそろ何か刺激がないと腐ってしまいそうだ。
「ねぇあそこ、人がいたあとじゃない?」
そう言ってリーナが指をさした先には、焚き火のあととメモが残されていた。
「討伐……ク……大……?」
メモを頑張って読んでみようとするも、文字は掠れており破れている箇所もあって何と書いてあるかわからなかった。
とりあえず何かを討伐するのか、討伐したのか、その報告をするためのメモだったのかもしれない。
「昔はこの洞窟みたいな道にもモンスターがいたのかもしれないわね~。」
そう言うソフィアに同意しようと視線を向けると、ソフィアのすぐ後ろに上から巨大な蜘蛛のモンスターがぶら下がって降りてきた。
「おいおいマジかよ、オレ蜘蛛系ダメなんだよな~。」
「わ、私も無理よ! しかもデカすぎるわよ!」
「シンティア怖くてまっすぐ見れない。」
「お姉さんちょっと後ろ見れないわね~。」
ダメな奴しかいないじゃないか! と怒りそうになったが、この大きさは俺も厳しい。
目の前にいるそいつは人より大きく、倒すのであればかなりの苦戦を強いられるだろう。正直言えば逃げたい気持ちでいっぱいだが、倒さずに逃げ切れる自信もない。
鳥といいなんでこうもでかいのばかり対峙してしまうのか。もっと普通サイズのモンスターでいいじゃないか。
とりあえずここで引き返すわけにもいかないので戦うしかない。
「みんな、魔法と遠距離武器で倒そう。俺もそうする。」
これは長い戦いになりそうだな、と俺は心の中で少し絶望した。
生き残れるのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる