追われる身にもなってくれ!

文月つらら

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探検する

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「アゲートへ行くにはこの道を真っ直ぐだよ! 検問所があるけど……。」

 国と国の境にある検問所。軍が管轄するそれは犯罪者が逃げたり入ったり簡単にできないようになっている。当然そんなところを俺が通れるわけがない。
 それなら抜け道を行けばとも思うが、リンドブルムとアゲートは海を跨ぐ大きな橋で繋がっているため、抜け道なんてものはない。

「船ってわけにもいかないわよね~。」

「転移魔法も私たち使えないからダメだし。」

「検問所を破壊とかもできねえしな。」

 どうしたものか、と頭を悩ませていると視界の隅に洞穴のようなものが見えた。

「なんだ、あれは。」

 気になって近づいてみると、中はかなり奥まで続いているのか、ライトなしではとても進むことができなさそうだ。
 何処かに繋がっているのか、それとも行き止まりなのか、この穴についての看板などもなく手がかりは何もない。

「なんつーか、かなり古そうだな。一体どこに繋がってるやら。」

「シンティア洞窟探検したいなー!」

「確かにたまには刺激が必要よね。」

「アゲートに行く方法を考えながら探検も悪くないわね~。」

 絶対ただ探検したいだけのコイツらは俺の意見を聞かずにどんどん中へと入って行った。こういうときの女性陣の団結と行動力は一体なんなのか。
 各自ライトを照らしながら洞窟内を進んでいく。こういうところは何が出てくるかわからないし、下手したら犯罪者の隠れ家かもしれない。何があってもいいように常に気を張っておくべきだ。

「しかしなんもねえな。コケと食えそうにないキノコ、あと水しか見えないぜ。」

「ただひたすら道が続いてるだけで特に面白いことも起きないわね。」

「モンスターさえいないってのも不思議なものだが……。」

 洞窟と言ったら中には謎解きや仕掛けがあって、なかなか先に進めなかったり宝箱があったりするイメージだったのだが。
 現実はほとんど変わり映えのしない景色をただ歩き進めているだけであり、洞窟内のジメジメした感じもあって少し気が滅入りそうになってくる。
 入り口からここまで一匹もモンスターに出会っていないし、ただひたすら目に入るのはコケとキノコと水のみ。
 そんな状況にさすがにテンションが下がってきたのか、シンティアたちはしりとりをし始めている。

「オレからな。キノコ。」

「コケ!」

「穢れ。」

「……冷水~。」

 びっくりするくらい盛り上がっていなかった。



 結局しりとりも続かず、今はまたひたすら歩くだけになっている。単調がここまで苦痛だとは思わなかったし、終わりが見えないというのもキツイものがある。かといってここで引き返すのも、先が気になりはするので嫌だし耐えるしかない。

「そういえばオレ洞窟ってあちこちに分かれ道があるもんだと思ってたんだけど、一本道なのな。」

 そういえば確かに一回も道を選択していない。ここまで見事に一本道で、ただ少しずつ地下へと入っていってるような気がするだけだ。

「もしかしたら人工的に作られた道だったのかもしれないわね~。」

 道、それなら何処かへ繋がっているはず。できればそれがとんでもない場所ではないことを願うが。
 そう願いながらもう何時間歩いたのか、そろそろ何か刺激がないと腐ってしまいそうだ。

「ねぇあそこ、人がいたあとじゃない?」

 そう言ってリーナが指をさした先には、焚き火のあととメモが残されていた。

「討伐……ク……大……?」

 メモを頑張って読んでみようとするも、文字は掠れており破れている箇所もあって何と書いてあるかわからなかった。
 とりあえず何かを討伐するのか、討伐したのか、その報告をするためのメモだったのかもしれない。

「昔はこの洞窟みたいな道にもモンスターがいたのかもしれないわね~。」

 そう言うソフィアに同意しようと視線を向けると、ソフィアのすぐ後ろに上から巨大な蜘蛛のモンスターがぶら下がって降りてきた。

「おいおいマジかよ、オレ蜘蛛系ダメなんだよな~。」

「わ、私も無理よ! しかもデカすぎるわよ!」

「シンティア怖くてまっすぐ見れない。」

「お姉さんちょっと後ろ見れないわね~。」

 ダメな奴しかいないじゃないか! と怒りそうになったが、この大きさは俺も厳しい。
 目の前にいるそいつは人より大きく、倒すのであればかなりの苦戦を強いられるだろう。正直言えば逃げたい気持ちでいっぱいだが、倒さずに逃げ切れる自信もない。
 鳥といいなんでこうもでかいのばかり対峙してしまうのか。もっと普通サイズのモンスターでいいじゃないか。
 とりあえずここで引き返すわけにもいかないので戦うしかない。

「みんな、魔法と遠距離武器で倒そう。俺もそうする。」

 これは長い戦いになりそうだな、と俺は心の中で少し絶望した。
 生き残れるのだろうか。
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