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反省させる
しおりを挟む魔法で遠距離から攻撃していれば勝てるだろ、と思っていた自分を殴りたい。
魔法は使用者の精神の状態で威力が変わるもので、精神が乱れているときは威力が弱かったり、出したかった技と違うものが出たり。場合によっては暴発したりして危険な目に遭うことだってある。
そう、とにかく精神が不安定なときに魔法を使うのは危険だ。それをまさかここで実感するとは思わなかったが。
「なんか言い訳はあるか? おまえら。」
「あそこまで燃えると思わなかった。」
そう、事の発端はリーナの火魔法が暴発したことだった。
巨大蜘蛛を倒そうとしたはいいが、全員蜘蛛がダメ、というまさかの弱点が被っていたことが判明し、仕方なく遠距離から攻撃することになった俺たち。
しかしこれが悪かったらしく、全員巨大蜘蛛を目の前にして動揺しており、まともに魔法が当たらないわ仲間を巻き込みそうになるわの大苦戦。
巨大蜘蛛から見たらただ目の前で自滅しそうになっているだけである。そんな様子に痺れを切らしたのかわからないが、狙いをリーナに定めて糸を吐いた。それにさらに動揺したリーナは急いで魔法を出そうと叫んだ。メテオブレイズ、と。
この広いとは言えない洞窟の中、しかも敵も味方もそんなに距離が離れているわけでもないところでまさかの選択がメテオブレイズ。動揺しているから当然だが、正気の沙汰じゃない。
そこからは当然のように暴発したメテオブレイズが繰り出され、その名の通り炎を纏った流星が降り注ぎ、辺り一面は火の海になった。このままでは俺たちも焼死体になる、と慌てて火を消すために水魔法を唱えようとしたとき、さらに事件が起きた。
「消えるかな~って。」
そう、ソフィアのまさかの風魔法である。普通に考えたら火の海に風を送るとさらに燃え広がることはわかるだろう。しかし混乱していたソフィアは何故か堂々と叫んだ。吹き荒べ、サイクロン、と。
いやなに吹き荒ばそうとしてんのこの人、と慌ててソフィアを止めようとするも時すでに遅し。リーナによって作られた火の海は、ソフィアによって火の大海原にまで成長した。
これはマジでまずい、誰も何もするなよと俺は必死に水魔法ストームを叫んだ。もうここまできたら俺たちもろともベッタベタになるしかなかった。
俺の必死のストームはなんとか火を消し、あたりは一面水浸しになった。さっきよりマシだろ、と思っていると一体彼女の中で何があったのか、今度はシンティアがやらかした。
「人生には刺激が必要だと思った。」
シンティアの魔法は雷魔法である。地面、そして身体が濡れているときには絶対に唱えてはいけない属性だろう。そもそもすでに巨大蜘蛛は焼け死んでおり、もうこれ以上魔法を使う必要さえなかった。
それなのに錯乱していたのか、轟け、雷鳴、と声高らかに叫んだ。なぜこのタイミングで轟かそうと思ったのか、本当に理解ができない。
シンティアの謎の行動により地面に雷が落ち、当然のように俺たちの身体もビリビリした。実際はビリビリなんて可愛いもんじゃなかったが、刺激が強すぎて表現できる言葉が見つからない。
そんな感電死待ったなしの状況を好転させたのは意外にもルキだった。
「オレ的には氷だったが岩だったし何故か裂けた。」
水を凍らせたら感電も止まるか? と苦しみながら言ったルキはものは試しと氷魔法を唱えた。そう、そのはずだった。ただ実際に唱えた言葉はティアーズロック。裂けろ岩、である。氷要素は皆無だ。
ルキの言葉に呼応して空中に現れた大きな岩が地面へとぶつかり、地面が裂けた。あ、裂けるのそっちなんだ、と冷静に思っていると、地面が裂けたおかげで水が流れ、それとともに身体に走っていた雷も消えていった。
結果的に助かったので別にルキは悪いわけではないのだが、氷と岩を間違えたことに反省をしているようだ。
「まぁ巨大蜘蛛をよくわからないうちに倒せたからよかったけど。今後は動揺しているときの魔法は全員禁止な。」
そう言うと少し不服そうにしながらもリーナたちは頷いた。不服そうにする意味がわからない。
「それよりフィン、あのデカいのがいたところにまたチップみたいなの落ちてたぜ。」
よっと裂けた部分を飛び越えながらチップを持ってくるルキ。それはでかい鳥のモンスターと戦ったときに手に入れたものと似ていた。
「なんなのかしら、それ。」
「なんかの機械で読み取れるんだろうが、そんなもの持ってないしな。」
「気になるしこれも持っていきましょ。この先増えていっても持ち運べる大きさだし。」
とりあえずまたそれをリュックに入れ、再び洞窟内を歩き出す。まだ出口は先なのか、光が見えてこなかった。
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