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第2章 覚醒
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椎名は消耗も激しく、工藤も覚醒したてでまだ不思議な感覚に慣れてはいない。
幸いここは広い空間で見通しもそこまで悪くはないのだ。
再び休憩を挟もうということになった。
工藤は半ば興奮状態にあるようで、覚醒した力を少し試すように地面や壁に手をついたりしては、しばらく一人でぶつぶつ独り言を呟いていた。
椎名は右肩が脱臼してしまっていた。
工藤に垂れ下がった腕を入れてもらい、その後軽く食事を済ませた。
今は眠りについたようで壁にもたれ掛かってすやすやと寝息を立てている。
その姿を見ながら本当によく寝るものだと感心してしまう。
ここまで来ると何か意味があるのかもしれないと思うのだ。
これは予想でしかないが、おそらく覚醒したことにより、少しの睡眠でも超回復や、眠っている間の身体や心のリセットが行えるのではないか。
確証はないが、椎名自身も気づいていそうなとのなので、また後で機会があれば聞いてみようと思う。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
――――一時間程が過ぎ去った。
懐中時計の針は二時二十分を指している。
三時過ぎにはココナの花を見つけて帰り始めなければ、夜までに村に戻ることが難しくなる。
かなり時間的余裕は無くなってきたのではなかろうか。
椎名の体調が心配ではあるが、流石にそろそろ行動を再開するべきだ。
三人のうち二人が覚醒した状態となり、魔物に対する憂いもだいぶなくなったと思う。
ここらで遅れた時間を取り返し、花を見つけてから帰還という流れをスムーズに行いたいものだ。
何よりも今も苦しんでいるであろう美奈のことが心配なのだ。
早く帰れるに越したことはない。
「椎名、そろそろ起きてくれっ」
若干申し訳ないとは思いつつも、椎名の頬をペチペチと叩く。
思っていた以上に彼女の頬は柔らかい。
不意に彼女の長い睫毛がピクリと揺れて「う……ん」と声が漏れた。
「――っ」
こんな時に不謹慎だとは思う。
だが流石に女の子のこんな姿を目の当たりにして一瞬ドキリとしてしまう。
椎名の表情が妙に艶かしく見えて、顔に視線が吸い寄せられる。
そんな矢先、彼女の目がパチリと開いた。
ガバッと起き上がる椎名。
顔がかなり近くにきて思わず仰け反ってしまう。
「私、かなり眠ってた!?」
「――あ、ああ。一時間程な」
「えっ……まじっ!? 何でもっと早く起こしてくんないのよ! 行きましょ!」
椎名はそう言って飛び上がるように起き上がり、荷物を持ちスタスタと歩きだす。
「椎名、腕は大丈夫なのか?」
私は気掛かりだったそのことだけは確認は取っておこうと彼女の背中に声を掛ける。
彼女は立ち止まり、ちらとこちらを振り向いた。
少し首を傾げた後、その場で両方の腕をくるくると回す椎名。
「――ん……え……と、どっちの腕だっけ?」
……椎名は全く以て元気なようだ。
幸いここは広い空間で見通しもそこまで悪くはないのだ。
再び休憩を挟もうということになった。
工藤は半ば興奮状態にあるようで、覚醒した力を少し試すように地面や壁に手をついたりしては、しばらく一人でぶつぶつ独り言を呟いていた。
椎名は右肩が脱臼してしまっていた。
工藤に垂れ下がった腕を入れてもらい、その後軽く食事を済ませた。
今は眠りについたようで壁にもたれ掛かってすやすやと寝息を立てている。
その姿を見ながら本当によく寝るものだと感心してしまう。
ここまで来ると何か意味があるのかもしれないと思うのだ。
これは予想でしかないが、おそらく覚醒したことにより、少しの睡眠でも超回復や、眠っている間の身体や心のリセットが行えるのではないか。
確証はないが、椎名自身も気づいていそうなとのなので、また後で機会があれば聞いてみようと思う。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
――――一時間程が過ぎ去った。
懐中時計の針は二時二十分を指している。
三時過ぎにはココナの花を見つけて帰り始めなければ、夜までに村に戻ることが難しくなる。
かなり時間的余裕は無くなってきたのではなかろうか。
椎名の体調が心配ではあるが、流石にそろそろ行動を再開するべきだ。
三人のうち二人が覚醒した状態となり、魔物に対する憂いもだいぶなくなったと思う。
ここらで遅れた時間を取り返し、花を見つけてから帰還という流れをスムーズに行いたいものだ。
何よりも今も苦しんでいるであろう美奈のことが心配なのだ。
早く帰れるに越したことはない。
「椎名、そろそろ起きてくれっ」
若干申し訳ないとは思いつつも、椎名の頬をペチペチと叩く。
思っていた以上に彼女の頬は柔らかい。
不意に彼女の長い睫毛がピクリと揺れて「う……ん」と声が漏れた。
「――っ」
こんな時に不謹慎だとは思う。
だが流石に女の子のこんな姿を目の当たりにして一瞬ドキリとしてしまう。
椎名の表情が妙に艶かしく見えて、顔に視線が吸い寄せられる。
そんな矢先、彼女の目がパチリと開いた。
ガバッと起き上がる椎名。
顔がかなり近くにきて思わず仰け反ってしまう。
「私、かなり眠ってた!?」
「――あ、ああ。一時間程な」
「えっ……まじっ!? 何でもっと早く起こしてくんないのよ! 行きましょ!」
椎名はそう言って飛び上がるように起き上がり、荷物を持ちスタスタと歩きだす。
「椎名、腕は大丈夫なのか?」
私は気掛かりだったそのことだけは確認は取っておこうと彼女の背中に声を掛ける。
彼女は立ち止まり、ちらとこちらを振り向いた。
少し首を傾げた後、その場で両方の腕をくるくると回す椎名。
「――ん……え……と、どっちの腕だっけ?」
……椎名は全く以て元気なようだ。
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