紅の神子

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第十一章 邪恋

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「ん~」

 ランドールの寝台で透は半ば気絶していた。

 明け方になっても謁見は終わらなかったので、さすがに身体に悪いとなって一時中断。

 今は短い休憩時間である。

 透は徹夜をするような不良少年ではなかったので、こんなに夜通し起きていたのは初めてだ。

 しっかり堪えて気絶しそうになっている。

「トール。寝るなら布団に入りなさい。風邪を引くぞ?」

 ランドールが自分も疲れているのに、気絶しそうな透を気にかけてくれる。

「どうでもいいー。起きるの辛いー」

「全く。そなたは……」

 呆れて言いながらランドールが透を抱き上げた。

 腕の中で透はこっくりこっくり舟を漕いでいる。

 そうしてなんとか布団の中に透を寝かせると、もう聞こえないかもしれないとは思ったが、その耳許に囁いた。

「意識のあるときにビクトリアと逢わせてくれてありがとう」

「どう致しましてー」

「起きていたのか?」

「知らない~」

 それだけを答えて今度こそ透は意識を手放した。

 深い眠りの中に落ちていく。

 そんな透をランドールはじっと見詰めていた。

『なにも言わないで。あなたの気持ちはわかっているから』

 そう言ったビクトリア。

 彼女は気付いている。

 ランドールの気持ちが誰に向いているかに。

 気付いていて許してくれている。

 別れを切り出した身だからと。

「トール。トール」

 何度も囁いてその唇を奪う。

「んっ」

 透は起きることができないのか。

 なにをされても目覚めることはなかった。

 暫く触れることができなかったから思う存分味わう。

 エドワードは今夜は両親のところだ。

 これは一時だけの夢。

 だから。

 ランドールはもう限界だとなるまで、ただ無心に透の唇を味わい続けた。

 やがて睡眠不足が祟ったランドールが、透を腕に抱いたまま眠りに落ちる。

 その彼にまといつく視線。

 その意味を透はまだ知らなかった。
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