【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

文字の大きさ
352 / 354
第12章:砂の国オラシア王国と砂漠の女王編

第9話:オラシアでの夕食

しおりを挟む
「わー♪ 美味しそうー♪」
 リズがテーブルの上の料理を見ながら、歓声を上げる。
 刺激的な入浴タイムを終えた俺たちを待っていたのは、豪勢な砂漠料理の数々だった。
『三人で食べたい』とメイドさんに言ったら、俺の部屋まで三人分の夕食を持ってきてくれたのだ。
 備え付けられたテーブルは少々手狭になったが、並べられないことはなかった。
「不思議な料理もたくさんあるな。エルフの里でもエルゼリアでも見たことのないものばかりだ」
 キアラが興味深そうに料理を眺めている。
 机の上に並べられている料理で目を引くのは、大きな鍋に入った煮込み料理。
 魚や野菜などをスパイスで味付けて煮込んだものだ。
 水の少ない砂漠だからこそ、素材から出る水分というものを大事にしているのだろう。
 魚は俺たちが船を止めた港の海まで漁師が毎日出かけて釣り上げてくるらしい。
 ハードな仕事だが、民の大事な食糧源にもなっているため、みんな頑張ってくれているらしい。
 豆のコロッケなんかもある。
 メイドさんの料理説明によると、豆は栄養価が高いわりに少ない水で栽培することができるらしく、この地域では重宝されているのだとか。
 乾燥や高温に強いのも理由の一つらしい。
 このオラシア王国は川が少なく、飲み水は偶に降る雨を魔法で殺菌消毒して使っているようだ。
 それでも雨の頻度が少なく、どうしようもない時は砂漠に点々とある『オアシス』を巡回して飲み水を確保するのだとか。
 なんとも暮らすのが大変な土地だなと思うが、住民たちはここでの暮らしに不満はないらしい。
 というのも、暴君であった前国王の時に比べれば、今のパトラ女王の下の生活は天国のようだという。
 前国王の時の生活は、税金が高く、食料も配給制で僅かしかもらえず、そのくせ、王周辺の者たちは構わずに散財し、生活は豪勢だったようだ。
 対外的にも、鉱石資源を盾に高圧的で、あまり良い印象を抱かれなかったらしい。
 そのため、オラシア王国自体が世界から孤立していたのだとか。
 そこで現れたのがパトラ女王。
 武力ではなく、あくまでも政治的に前国王を追い詰め、その座から引きずり下ろしたらしい。
 パトラ女王が王の座に就いてからは、外国との貿易も盛んになり、食糧難や水不足が随分とマシになったのだとか。
 メイドさんは料理説明と共に、その事を自分の事のように自慢げに話してくれた。
 ふむ。パトラ女王は民衆からの信頼も厚いようだ。
 俺たちはメイドさんにこの国の色々な話を聴きながら、食事を進めていった。
「んー♪ このスープも美味しいー♪」
「ああ。砂漠で歩き疲れた身体に染み渡るようだな」
 二人が飲んでいるのは、真っ赤なスープ。
 あれは……間違いない。
 以前、ラズベリーが作ってくれた『砂漠王のスープ』だ。
 確か、『砂漠猿の睾丸粉』とかいう恐ろしい調味料が入っているものだが……二人には黙っておいてあげよう。
 俺も『砂漠王のスープ』を一口飲む。
 うむ。ラズベリーが作ってくれたものよりもトマトの塩味や、スパイスのピリピリした刺激が強い気がする。
 これが本場の味というやつか……。
 大陸に渡った時に、幾分か味付けがマイルドになったのだろう。
 こうして、あれやこれやと色々な楽しみを見つけながら、砂漠の国の賑やかな夕食を三人で楽しんだのだった。

 ——夜。
 俺は部屋の窓辺の椅子に腰かけて、夜空を見ていた。
 果てなく広がる砂漠に浮かぶ青い月というのも、なんともオツなものである。
 明かりが少ないからか、星も数えきれないくらい散りばめられており、とても綺麗だ。
 これから始まる魔物との戦い……相手はランク『S』ということだ、一筋縄ではいかないだろう。
 リズやキアラ、そして共に遠征に来た冒険者たち。
 精一杯守れるよう、役に立てるように頑張ろう。
 転生前の無力な自分が脳裏にチラつく。
 これも、もう慣れたものだ。
 記憶を持って転生した弊害というものだろう。
 時々こうして、自分の力に対する信頼がぼやけそうになる。
 だが、その度に信じる気持ちを強めてくれるのは、俺が今まで歩んできた冒険の日々。
 数多くの出会いと絆。そして、なによりも愛しい彼女たちから貰った愛情だ。
 自分でもクサいと思うが、金でも地位でもない目に見えない心が、一番の味方になってくれる。
 そして、その心に報いるために、自分の信じる『真っ直ぐな道』を歩もうと思わせてくれるのだ。
「こうして見ると……あの病弱だった日々も、意味のあるものだったのかもな……」
 そう独り言ちて、俺はもうしばらく砂漠の夜空を眺めるのだった。



 ——反乱軍・アジト。
「サルベ様!! 次の戦いの準備ができました!! 指示をもらえますでしょうか!?」
 一人の兵士が反乱軍の頭領の部屋に入る。
「やーん。サルべ様のエッチー♪」
「いいじゃねえかよ! ケツくらい好きに揉ませてもらっても」
 そこには、両脇に美女を侍らしたずんぐりむっくりした小太りの大男がいた。
「さ、サルベ様……?」
「ん? なんだ、てめえか。何の用だ?」
「王国軍との次の戦いの準備が……」
「ああん? そんな下らねえことでノックもなしに元国王である俺様の部屋に入ってきたのか?」
「す、すみません!!」
 サルべの言葉に兵士が縮こまる。
「指示は追って出す!! さっさと部屋から出ていけ!! 俺様は忙しいんだ!!」
「あぁん♪」
 兵士に怒鳴りつけながら、サルベは美女の大きな胸を揉む。
 兵士は、わずかな憤りを感じつつ、部屋から出て行った。
「いい御身分ですねぇ。サルベ様?」
「あぁ……!? あぁ……なんだ、てめえか」
 兵士が出て行って間もなく、何もない空間から白い羽が現れ、浮かび上がるようにフードの男が現れた。
「役に立っていますか? 魔物たちは……?」
「まあまあだな。王国軍の数を減らす事には成功しているが、奴ら、知能が足りねえ奴も多くて、こっちまで被害が出てやがる。あの隼頭は『カモフラージュのため』とかぬかしてやがったが、あれは確信犯だぜ?」
「それはそれは……申し訳ありませんねぇ。あくまでも魔物……人に対して悪の存在なので。まあ、魔物たちの立場を有耶無耶にして相手を混乱させる一環ということで」
「……だな」
 サルべの返答に、うやうやしく頭を下げるフードの男。
「それで、何の用だ?」
「ええ。ジェネラルファルコンがお知らせしていた『例のモノ』を持ってきました。王国側の予定も判明しましたよ」
「おおっ!! ギャハハハ!! なら、いよいよ、例の作戦に移るとするか!!」
 男の言葉に上機嫌で身を乗り出すサルべ。
「ええ。ですが、いいのですか? 次回の戦いでは魔物たちの援軍は使えません。劣勢の戦いで、あなたに従う兵士たちを犠牲にする形ですが?」
「なーに、構いやしねえよ!! あんな雑兵、王に返り咲いた後にいくらでも補充できる」
 怪しい笑みを浮かべるサルべ。
 そんなサルべに「悪い人ですねぇ」と笑みを返すフードの男。
 砂漠の国の情勢が大きく変わろうとしていた。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

処理中です...