【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第1章:病弱青年とある女冒険者編

第5話:換金と宿泊と

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 受付にはフォーマルな服を着た、綺麗なお姉さんが立っていた。
 ギルドの制服なのだろうか。
 対応してくれたのは、俺より年上っぽいスレンダー美女。
 茶色のロングヘアーにキリっとした眼鏡をかけていて、いかにも真面目そうだ。
「換金お願いします! あ、あと依頼完了しました!」
 リズが元気よく、持っていた袋と、藁半紙を二枚差し出す。
 差し出された紙を見ると、アイテムの納品依頼だと解る。
 意識していなかったが、リズとは普通に会話できている。
 日本語……のはずは無いだろうが、俺の言葉も通じる。
 文字も問題なく読めるところを見ると、これも女神が配慮してくれたらしい。
「はい、お疲れ様です。リズさん、いつもありがとうございます。さっそく確認しますね」
 受付嬢のお姉さんは、クールに手際よくアイテムを取り出して、仕分けていく。
「薬師からの『グリーンリーフ十枚の納品依頼』の報奨金300Gと生花店からの『ホワイトリリー二十本の納品依頼』の報奨金300G、確かに納品アイテム確認致しました。あと、『ポルの実』二十個が200Gと『ブルー草』二十本が200G。すべて合わせて1000Gの報酬になります」
「ありがとうございます!」
 リズは受付嬢から1000と書かれた紙幣を受け取った。
「それで、あなたは? お見かけしたことのないお顔ですね……」
 受付嬢が俺を見て、不思議そうに首を傾ける。
「ああ、今さっきこの世界に転生した『異界人』だ。冒険者登録と……これ、魔物の素材の換金をお願いします」
 俺はポケットにつっこんでいた『スライムの粘液』と『スライムの核』を二つずつ『ゴブリンの爪』を三つ『ゴブリンの布』一枚を差し出す。
「なるほど、異界人の方でしたか。分かりました、まず、冒険者登録をしましょう。『スキャン』……」
 受付嬢が俺に向かって手を翳すと、青白い枠が俺の胸から飛び出る。
「うおわあああ!? なんだ、これ!? なんか出た!?」
「簡単な事務魔法で、あなたのプロフィールを表示させました。その方の名前、年齢、ジョブ、適性能力などの項目を任意で表示させることができるのです」
 まるで、パソコンの液晶画面のように浮かび上がるそれに、俺自身、かなりビックリしていた。
 地球にいた時も、こんなものが胸の中にあったのか?
 そうこうしていると、青白い枠に文字が浮かび上がってきた。
 いや……多分、俺の略歴が魔法によって文字として具現化しているだけだろう。

名前:レオ・アオミネ
年齢:19歳
ジョブ:村人Lv2
能力:剣適性SSS、魔法適性SSS
パッシブ:女神の加護

「適性が……と、とととトリプルS!?」
「すっごーい!! レオ!! あんた、これ、すっごいよ!!」
「な、なんだ? 何がそんなにすごいんだ!?」
 若干引き気味の受付嬢と、興奮しているリズに訊いてみる。

「適性というのは、いわば才能・伸びしろです。極端な話、剣適性Eの人がいくら剣術を練習しても、せいぜい危険度の低い魔物しか倒せないでしょう」
「その適性がレオは、めちゃめちゃ高ランクなんだよ!! 『剣』と『魔法』が!!」
「へ、へえ……」
 二人の勢いに押され気味だが、意味が解った。
 SSSというのは所謂ランク付け、『和牛A5ランク』みたいなものだろう。
「レオさんは少なくとも剣と魔法に関して経験を積めば、英雄の域まで到達できるというわけです。もちろん、とてつもない研鑽を積む必要がありますが」
「じゃあ、この『女神の加護』っていうのは?」
「異界人の方が持っているパッシブスキルですね。最初の異界人がこの世界に現れたのは数十年前の出来事なのですが未だに効果の解明はされておりません。まあ、それを持っていれば、間違いなく異界人だと証明できることになります」
「な、なるほど……で、俺の冒険者登録は……」
「文句なしで承認です。初めのジョブは冒険者・採集者・援護者から選べますが、いかがいたしましょう? 冒険者は魔物を倒し、アイテムを入手したり、ダンジョンを攻略するという通常皆さんが選ばれるジョブです。採集者はリズさんのようにアイテム採集に特化したジョブで『鑑定』という便利なスキルを使えます。援護者は別名、サポーターと言い、冒険者や採集者を支援するようなスキルを覚える援護に特化したジョブです。各々のジョブで経験を積めば、さらに上位のジョブに就くこともできます」
 なるほど、述べられた三つのジョブは、謂わば、最初に選ぶ基本職というわけか。
 俺の適性や、さっき戦った経験から鑑みるに、採集者や援護者ではなく、積極的に前に出る冒険者のジョブが合っている気がする。
 危険性を考えれば、冒険者という選択肢は捨てるべきだろう。
 だが、武器適性がこれだけ高いのであれば、魔物と戦うことを選ぶのが合理的だろう。
 最悪、後で変更もできるだろし。

「冒険者でお願いします」
「承知いたしました」
 眼鏡を指で上げながら、キラリと光らせる。
 受付嬢が『ライティング』と唱えると、俺のプロフィールカードのジョブの欄が『村人Lv2』から『冒険者Lv1』に変わった。
「これでレオさんは冒険者となりました」
「やったね!」
 リズが、俺の腕に抱き着いて飛び跳ねる。
「しかし、ジョブが冒険者の人も採集者の人も援護者の人もひとくくりに『冒険者』と言うんですね」
「冒険者でない方からすると、冒険者がどんなジョブに就いてようが見分けようがないので。まあ、上のジョブに就くことができるようになれば、名前の混同は起こりにくくなります。それでも、一般人から見れば『冒険者』ですが」
 苦笑いしながら言うと、淡々と明瞭に返される。
 面倒くさがっているのか、丁寧に教えてくれているのか、この受付嬢の感情が分からん。

「なお、こちらは登録記念品の『魔法の袋』です。腰に下げるほどの小さな袋ですが、容量はほぼ無限。モンスター素材や採集アイテムなどを入れるのに使ってください。物を入れる際は入り口の紐を緩めると大きなものでも入ります。取り出す際は手を入れて取り出したいアイテムを念じれば取り出せます。中に入れたものは腐ったり錆びたりしないので食材などを入れることも可能です」
 容量無限の袋、しかも状態保持機能付き……だと?
 所謂、魔道具というやつか……建物などを見るに生活水準は地球より遅れていると感じたが、優れている物もあるんだな。
 ふと見ると、リズも同じものを腰に下げている。
 なるほど、冒険者登録した者は誰でも貰えるようだ。
「続いて、素材の換金に移りたいと思います。『スライムの粘液』二つ100G、『スライムの核』二つ200G、『ゴブリンの爪』三つ160G、『ゴブリンの布』一つ140G、すべて合わせて600Gとなります」
 そう言うと、受付嬢は金貨一枚と銀貨一枚を差し出してきた。
「リズ、これより価値の低い硬貨はあるのか?」
「10G銅貨と1G鉄貨があるよ」
 なるほど、貨幣の仕組みは地球と同じらしい。
 金貨一枚が500G、銀貨一枚が100G、銅貨一枚が10G、鉄貨一枚が1G、それより大きい額は紙幣があるといったところか。
 文化の進む方向はどの世界も、ある程度似ているのかもしれない。
「というか、あたしが必死にフィールドを駆け回って集めた薬草や果物が1000Gで、魔物の素材が八つで600Gって……はぁ、やっぱり魔物から採れる素材の方が高価なのかぁ……」
 リズは、ショックを受けているようだ。
「……受付嬢さん、この金貨、銀貨に両替してくれないか?」
「かしこまりました」
 俺は、両替した銀貨を三枚、リズに手渡した。
「ほら」
「ふぇ?」
 予想してなかったのだろう、間の抜けた声で俺を見るリズ。
「ははは、なに驚いてんだよ。スライムもゴブリンも、リズが魔法の使い方を教えてくれないと倒せなかったからな。それに、分け前よこせって言ってただろ?」
「あ、あれは勢いというか冗談で言ったというか。そ……その、ホントにもらえると思ってなかったから」
 顔を赤らめながら目を逸らすリズ。
 この子は無自覚に可愛い仕草をすることがあるから、恋愛経験値ゼロの心臓に悪い。
「あの、後ろの方がつかえてますので……」
 少し呆れ顔の受付嬢さんが、良い雰囲気を醸し出す俺たちに言い放つ。
「す、すまない!」
 俺とリズはそそくさとギルドを後にした。

「宿代、これで足りるかな……」
「あの宿は一泊300Gだから、ギリギリ足りるよ。明日の分は明日稼ぎに行こう? 一緒に! ね?」
 腕を絡めて、上目遣いで俺を見てくるリズ。
 なんだか、相当懐かれたようだ。
 身体を押し付けられるのには、慣れないのだが。
「そういえば、リズは家族とか仲間は近くにいないのか?」
「遠い西の国に、育ててくれたおじいちゃんが一人いるよ。冒険者になりたくて一年くらい前にこのルクシアの町に来たんだけど、残念ながら仲間はいないねー、あはは……」
 バツが悪そうに、苦笑いするリズ。
 一年もいるのに仲間がいないのが、恥ずかしいのだろうか。
 初対面であれだけパーティに誘ってきたのも、冒険者として仲間を作れない不甲斐なさを感じていたからだろうか。

 色々と思案している内に、宿に着く。
「あら、お二人さん、おかえり。ははは、今日会ったばかりだってのに、すっかり仲良しだねえ!」
「い、いいでしょ、別に! それより、レオに部屋を用意してあげてよ」
 からかってくる女将さんを、何とかあしらうリズ。
「はいよ、一泊二食付き諸々のサービス込みで300Gだよ」
「ああ、よろしく頼む」
 よかった、本当にギリギリ足りたみたいだ。
 俺は、換金したての300Gを女将さんに渡す。
「はいよ、毎度あり。朝食と夕飯は既定の時間に部屋に運ぶからね。洗面用具は部屋に常備してるから」
「風呂はあるのか?」
「風呂? ははは、こんな田舎の安宿に風呂なんてあるわけないだろ。言ってくれれば、湯を張った桶と洗体用の布を部屋まで運ぶから」
『田舎の安宿に』ということは、風呂は高級品なのだろうか。
 やはり、この町の基本的な生活水準は俺が暮らしていた日本に比べれば低いらしい。
「分かった。じゃあ、すぐにお願いします。けっこう汗かいてるので、身体洗って少し休みます」
「ああ、転生したばっかで疲れたんだろ? 夕飯まで部屋でしっかり休んでおきな。あんたの部屋は二階203号室だ」
 女将さんが俺に203と書かれた部屋の鍵を渡す。
「ふーん……203か……」
 なぜかリズが静かに呟いた。
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