【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

文字の大きさ
87 / 354
第4章:エルゼリアと無骨なエルフ騎士編

第4話:キアラの金銭感覚

しおりを挟む
 換金を終えて、充分な資金が作れたので宿に戻る。
 食堂で、少し早い夕食をみんなで取っていた。
「かなり所持金が潤ったね!」
「だな。こんなに稼げるとは思わなかったよ」
 ホクホク顔のリズに同調する。
 なにせ、俺の方も所持金が約110万Gに膨れ上がったのだ。
 ギルドで納品依頼を受ける手もあったが、残念なことに深淵の魔物素材で大口の納品依頼は無かった。
 なぜなら、ルクシアでそこまで多くの深淵の魔物を狩れる冒険者がいないからだ。
 ここでも、俺たちのレベルがもはやルクシアでは過剰になっていることを示していた。
「良かったな、みんな上手く金策ができて」
「ああ。これで十日後のエルゼリアへの諸々の経費も捻出できただろう」
 キアラがニコニコしながら言う。
 とりあえず、金銭的な心配をしなくてよくなったので、かなり気分的に楽だ。
「えっと……エルゼリアへの交通費が2万G、途中の食費とかエルゼリアに着いた後の宿代とかを考えたら一人10万Gは欲しいよね」
 リズが言うとキアラの目が急に点になる。
「じ、10万……? そ、そんなに要るのか!?」
 キアラが急に慌てたように言う。
「うん。エルゼリアはここより都会だからね。宿代とか食費も高いのよ。旅行ツアーのパンフレット見てても、結構値が張ってたし。なんといっても、ルクシアは辺境のど田舎だからね。多分、行ったらビックリするよ?」
 何も感づいていないリズの言葉に、どんどんと表情が曇りだすキアラ。
 冷や汗までかいている。
 まさかとは思うが……。
「キアラ? キアラの今の所持金はいくらだ?」
 失礼かもしれないが確認のために訊いてみる。
 キアラは目を伏せて、指をモジモジさせながら小さく呟いた。
「ご、5万G……」
 やはりか。
「ええっ!? それじゃあ全然足りないよ!? これから長い旅をするっていうのに、5万Gしか持ってこなかったの!?」
「し、仕方ないだろう!? これが私の全財産なのだ!! そ、それに、前にルクシアに来たときは1万Gもあれば充分足りたぞ!? ど、どうしよう!? い、今からガラテアに戻り、女王様に頼み込むか? いや、それは恰好悪すぎる」
 リズの言葉に、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言い返すキアラ。
 そうか、失念していた。
 エルフは基本的に自給自足をしている、いわば質素倹約な種族。
 お金の面に対してもかなり疎いのだったな。
 リズとキアラがあたふたと慌てているのをむしゃむしゃとミートパイを頬張りながら眺めているシレイド。
 すると、突然シレイドが言い放つ。
「問題ない……キアラもご主人様の奴隷になればいい……!!」
 俺もリズもキアラもその言葉に固まる。
 当の本人は「むふー……♪」と胸を張って得意げだ。
「ど、どういう……ことだ?」
 キアラが耐えきれなくなったのか聞き返す。
「冒険者は基本、自分のことは自分でするのが決まり……だけど、奴隷になれば、ご主人様に養ってもらえる……すごく経済的……」
 呆気に取られる俺たち三人。
 シレイドは言うだけ言うと、またミートパイに夢中になっている。
「き、キアラ……とりあえず、心配するな。当分の間はかかるお金は全部、俺が出すから」
「ほ、本当にいいのか……?」
「ああ、構わない。冒険する間に、きちんとした金銭感覚を身につけていこう」
「あ、ああ。ありがとう、レオ」
 奴隷になればいいというぶっ飛び発言を聴いた後だからか、キアラが俯いたままで申し訳なさそうに言う。
 まあ、仕方ないだろう。
 当面は俺が面倒を見よう。
 食事が終わり、それぞれの部屋に戻る。
 今日の相部屋はシレイドだ。
 と思ったら、シレイドと何かを話していたキアラが俺の元に来る。
「今日は私と相部屋だ……。よろしく頼む……」
「え?」
 頬を染めて目を逸らすキアラ。
 な、なんだ? なんなんだ、この空気……?
 俺が戸惑っていると、キアラが俺の手を引いて部屋の中に入っていく。
「ど、どういうことだ? キアラが相部屋って」
 俺が尋ねると、キアラは少し息を吐いて答える。
「シレイドに変わってもらったのだ……ちょうど、話したいこともあったしな、あ、あと、私も経験は無いが作法も知っているから安心しろ」
 キアラは何か、重大な勘違いをしていると思う。
「さ、作法って、何を言って……むぐっ!?」
 いきなり唇を奪われる。
 いや、顔面を顔面で激突されたと言った方が正しいか。
 少し痛いが、すぐに柔らかくほのかに甘い香りのキアラの唇が感じられた。
 唇をついばむように吸ってくるキアラ。
 そのまま流されていたい気持ちを押し殺し、俺はキアラを離した。
「ど、どういうことだ?」
「はぁっ、はぁっ、こ、こうするのが、人間の作法ではないのか?」
 キアラは荒い息をあげながら、じっと俺を見つめる。
「人間というのは、男が女を助けた時に、その、こういった色事的な施しを受けると本で読んだのだ……それも、女も頬を赤らめて乗り気になって……」
 どんな本だよ、と思いながらキアラに尋ねる。
「な、なんて名前の本だ?」
「『イケメン英雄の世直し道中』という本だ。冒険活劇だ」
 なるほど、話がうっすら読めてきた。
 おそらく、イケメンの英雄が女の子を冒険の途中で助けて惚れられる、もしくは見返りにイチャコラするという本だろう。
「キアラ、残念なお知らせだ。その物語の女は多分、お礼とは関係なく、その英雄に惚れている。何か理由をつけて、そういう行為をしたかっただけだ」
 俺が言うと、キョトンとした表情を浮かべるキアラだったが、すぐに表情を戻して言う。
「な、ならば問題はない。どうやら、本の女と私は同じ気持ちのようだからな」
 え? どういうことだ?
 聞き返す前に、俺はベッドに押し倒される。
「き、キアラ!?」
「冒険を通じて散々強さと誠実さを見せつけられ、レッドオークに襲われそうになっていたのを助けられ、挙げ句、途方に暮れていると『俺が面倒を見る』と言われる。これで、君に惹かれない理由はないだろう?」
 顔を赤く上気させて、覆いかぶさったまま潤んだ瞳で見つめてくるキアラ。
 渾身の勇気を込めた言葉だったのだろう、キアラの肩は少し震えていた。
 俺は、何も言わずにそっとキアラを引き寄せた。 
「無理しなくていい。慣れてないんだろう? こういった事に」
 俺は、キアラをなだめるように頭を撫でる。
 キアラは、俺の腕の中で小さくコクリと頷いた。
「本当は……知識も少ない……だから、レオが教えてくれ……優しく、ゆっくりと」
 俺はキアラの頭を撫でて、優しく抱きしめた。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

処理中です...