【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第4章:エルゼリアと無骨なエルフ騎士編

第26話:いざないの洞窟へ

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 ——深夜、ルクシアから戻った俺は『バー・ラック・ステラ』で飲んでいた。
 眠れない夜は、こうしてここに来てお酒を嗜むのが習慣になっていた。
 俺の隣にはドレス姿のボニーが座って相手をしてくれている。
「ふーん♪ じゃあ、いよいよ『いざないの洞窟』に挑戦するんだ♪」
「ああ。エルゼリア平原での戦闘経験はかなり積めたからな。これ以上、くすぶっていても意味が無いと思うし……」
「お兄さんなら大丈夫だよー♪ 頑張ってくるんだよ?」
「ああ」
 お墨付きをもらった俺は、少し心が軽くなる。
 正直、ジュリアやボニーの反応も見たかった。
 今までの言動を見るに、彼女たちも冒険に対して少なからず知識はあるようだし、エルゼリアでの冒険というのが手探りな以上、安心材料は多い方がいい。
 ジュリアの方も、俺の言葉に表情を変えずにグラスを拭いているし大丈夫だろう。
「にしても、お兄さん……やっぱり有望株だねぇ……♡ あたしも彼女に立候補しようかなぁ……♡」
「はいはい、ありがとな」
 腕を絡め、肩に頭を乗せてくるボニー。
 たわわな感触と、甘い香水の匂いに一瞬クラリとするも、飲み屋のお姉ちゃんの甘い言葉に騙されるほど、馬鹿ではない。
 ましてや、相手は常に軽いノリのボニーだ。
 食いついて「そんなつもりじゃなかったのー、その場のノリなのー」とかいう手のひらコロコロは御免だ。
 女の子を落とすなら、ちゃんと本心を見定めてからじゃないとな。
「あん♪ お兄さん、つめたーい! ひどーい!」
 ボニーが、ニコニコしながら口を尖らせる。
 やはり冗談だったか。油断も隙もないな。
 今日はこのくらいにしよう、明後日には初のダンジョンだ。
 コンディションは余裕をもって整えたい。
 そんな俺たちを見て、ジュリアが思い出したように言う。
「そうだ。『いざないの洞窟』に行くなら、リザードマンから採れるレア素材『リザードマンの尻尾』を採ってきてくれないかい?」
「別に構わないがどうしてだ?」
「ボニーが、とある貴族様からのお願いを受けちゃったのよ……断ればいいものを」
 ため息交じりで言うジュリアに、ボニーがくいつく。
「だって、あいつ、しつこいんだもん! 会った時から『ワシの第十二夫人してやるー』って……断ったら『代わりにワシの好物のリザードマンのテールステーキを食わせろー、聞けないなら不敬の罪で夫人になってもらうー』ってワケの分かんないこと言ってきて……この酒場のメニューには無いのに……」
 ボニーが苦い顔で言う。というか、なんか前にもこんな話あったような……。
「俺なんかじゃなく、ギルドに納品依頼を出したら誰か受けてくれるんじゃないか?」
「それが、そいつギルドの上位クランの団長らしくて……根回しされて、受理してもらえなかったの……」
「貴族で上位クラン団長と言ったら、結構な権力を持てるからねぇ。大方、ギルドに金でも握らせたんでしょうね」
 俺の言葉にボニーとジュリアが答える。
「分かった、狙ってみる。ただし、レア素材らしいし、手に入るか分からんぞ?」
「ええ。最悪、私が顔を利かせて何とかするし、平気さ……できるだけ、使いたくない手だけどね」
 俺の言葉に、少し暗い表情でジュリアが言う。
 深くは突っ込まないが、気の進まない方法なら取らせない方がいいだろう。
 俺が頑張ればいいだけだしな。
 グラスを傾け、酒を飲み干し、代金をカウンターに置いて、俺は部屋に戻った。

 ——二日後。
「ここが『いざないの洞窟』か」
 俺たちは町の南東にある洞窟の外にいた。
「なんだか、思ってたより小さくてショボいね」
「ん……この洞窟、弱そう……」
 リズとシレイドが示し合わせるように呟く。
 まあ、二人の感想の通り、でかい穴倉! 鬱蒼とした森! 巨大な城! といういかにもダンジョンという感じはない。
 子供が秘密基地に使いそうな小さな洞穴だ。
 ぶっちゃけ、ルクシアの森に初めて入った時の方が「未知なるものに挑むぞ!」という気持ちが大きかった。
「まだ入り口を見ただけだろう? このダンジョンは地下へ広がっている。見てくれに騙されるな」
 キアラの忠告に、俺たちは気持ちを引き締めなおす。
 魔法の袋に手を入れて、昨日買った野営用の道具を確認する。
 うむ。買い忘れた物は無いだろう。
 俺は早速、携帯用のランタンを取り出す。
「よし、進むぞ」
 俺が先導して『いざないの洞窟』に入っていく。

 中は、薄暗いが見えないほどではなく、広い空間が続いているようで、時折、魔物の呻き声が反響してくる。
 注意を払いながら進むと、小さな角と尻尾の生えた悪魔が三匹現れる。
「あれが『いざないの洞窟』一階層の魔物『インプ』ね……」
 リズが確認するように呟く。
 昨日、四人でギルドのダンジョン攻略冊子を見た時に載っていた魔物だ。
 シレイドは攻略冊子反対派だったが、三人で見ていたら、いじけたように俺の膝の上に座ってきて、しぶしぶ見ていた。
 一応鑑定も行おう。

名前:インプ
危険度:D+
説明:いたずら好きの小さな悪魔。ランクとしては下の方の悪魔だが、高位の悪魔の使い魔としてよく動いている。時折、魔法を放ってくるため注意。
素材:『小悪魔の尻尾』

 こちらの明かりに気づいたようで『キーッ』という鳴き声を上げながら、小走りで寄って来る。
 キアラが槍を構えて前に出る。
 俺は、すぐさま魔法を放った。
「エルウインド!!」
「ギーーーッ!!」
 放たれた風の弾丸が、一匹の腹を抉り、仕留める。
「はぁああ!!」
 キアラが槍を払うと、飛びかかって来た残り二匹は成す術もなく真っ二つになった。
「弱いな……」
 手応えのなさに呟くキアラ。
「俺たちが経験を積み過ぎたのかもな。まあ、苦戦しないに越したことはないだろう」
 俺の言葉に「それもそうだな」と軽く息を吐く。
 その後も、順調に進みながら、インプを狩り続けた。
 冒険者はダンジョンで迷うことあるそうだが、俺たちには探索の強い味方、リズのスキル『マッピング』があるので、一度通った場所かどうかは瞬時に分かる。
 その上で、まだ足を踏み入れていない場所も感覚的にリズが感じ取るので、詰まることなく進むことができる。
 そうして進んでいくと二階層への下り階段が見つかる。
「おっ、順調だな。もう二階層だぞ……」
「おそらく、今、夕方ぐらいだ。もう少し進んでも良いだろう」
 俺の言葉にキアラが応える。
「リズとシレイドは平気か?」
「うん! 歩いて、たまにクロスボウを射ってるだけだし」
「シレイドも平気……いつも通り……」
 リズたちも大丈夫そうなので、もう少し進むことにする。
 二階層に降りて、しばらく進むと新たな魔物が現れる。
 埴輪のような土の塊が地面を擦るように動いている。
「ん……二階層の魔物『マッドドール』……重い体でのしかかってくるから注意……!」
 シレイドが褒めてくれと言わんばかりに輝く瞳で俺を見てくる。
 お前、攻略冊子反対派じゃなかったか?
 俺が「偉いぞ」と言って頭を撫でてやると「むふー♪」と満足げな声を漏らすシレイドであった。
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