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第6章:灼炎の祠と銀狼獣人編
第17話:銀狼獣人ロウナ
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その後、しばらく恥ずかしがるオルガとイチャイチャと過ごして、朝、ラック・ステラに戻る。
食堂に入ると、リズたちが席に座っていた。
昨日の今日なので、リズとキアラは二日酔いで死んだような表情になっていた。
シレイドはいつも通りで、大口を開けて朝食のサンドイッチを食べていた。
「あら、レオ様。おかえりなさい。朝までなんて大変でしたね。オルガさんは大丈夫そうでしたか?」
眩しい笑顔でセーラが出迎えてくれる。
俺は「実はカーニバルしていました」とは言えず、「ま、まぁ、大丈夫だと思うよ」と濁しながら、同じテーブルにつく。
「ご主人様……今日はどうする?」
シレイドが訊いてくる。
「今日は、冒険は休みだ。ルクシアの奴隷商館に行く。前衛を探してもらっていたんだが、そろそろ見つかった頃だろう。その後、『古本屋』に行ってそれぞれ魔法書や技術書を読んで技を増やそう」
「古本屋なんてあるのね……知らなかったわ……」
「私もしばらくこの町にいますけど、聞いたことなかったですね」
「そうか。聞いた話では、このエルゼリアくらい大きな街にはそういう店もあるそうだ。色々聞いて場所を探してみよう」
死んだ魚のような目をして話に乗ってくるリズに応える。
俺たちより住んでいる歴が長いセーラも知らないとは、よほど穴場なのか。
いや、単に町が大きすぎるからだろう。
前も、ヴィヴィの店を知らなかったみたいだしな。
「レオ……私の槍はどうする? 粉々に砕けてしまったから、冒険には行けないが……」
「それに関しては大丈夫だ。朝、オルガと別れる前に槍を作ってもらえるように依頼した。もちろん素材も渡してな。昨日迷惑かけたお詫びってことで、タダで請け負ってくれるそうだ。気にしていた槍のフィット感も、エルフの細く長い指にしっかり馴染むように作るから安心してくれだそうだ」
「そうかぁ……なら、任せよう……」
リズと同じく、ぐったりしたキアラにも応える。
連れまわすのは少し可哀そうだが、酒の方は次第に抜けていくだろう。
こうして、食事を取った後、俺たち五人はルクシアの奴隷商館に向かった。
「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました、レオ様」
ドアマンの開く扉をくぐると、館主のローガンがお辞儀をして出迎えてくる。
以前は俺たちに対して、少し雑な扱いだった気もするが、今の装備を見て金を持っていると判断したのだろう。
今は、すこぶる丁寧に対応してくれている。
「ああ。以前依頼していた戦闘奴隷はどうなっているかな? そろそろ、仲間を増やしたいんだが」
「はい。ちょうど昨日、仕入れさせてもらったところです。『戦闘能力の高さ』がご希望とのことでしたので、ぴったりの奴隷をご用意致しました」
俺の言葉にローガンが答える。
リズとキアラ、セーラは商館に慣れないようで豪奢な内装をきょろきょろと見まわしている。
「久しぶりですね、シレイドさん。レオ様はよくしてくれてますか?」
「ん……久しぶり、ローガン。ご主人様……最高」
ローガンがシレイドに声をかけると、シレイドはサムズアップして答える。
俺の奴隷になったから、シレイドに対してローガンは敬語だ。
対して、シレイドは普通に返している。
相変わらずの彼女に、ローガンは若干苦笑いしている。
「それでは、レオ様たち……こちらへどうぞ。……そうそう、ちゃんと美しい女性を見繕ってきましたからそちらの方もご心配なく……」
最後、小声で俺に言ってくるローガン。
ムムム、やはり解っている。商売上手だ。
応接室に通されて、待つこと十分。
「どんな子が来るんだろうねー♪」などとリズたちが楽しそうに談笑していると、扉が開かれる。
ローガンと数人のメイドに連れられて入ってきたのは、首輪のつけられた銀狼の獣人だった。
多少ボサっとした腰くらいの銀の長髪に金色の瞳、大きな胸にくびれた腰、大きなお尻、そして、目を引くのがピンと立った頭の上の耳と、お尻の上の服の穴からでているふさふさとした尻尾である。
「お、おお……」
「すごっ、綺麗……」
「ん……ふさふさ」
「これは、また……」
「美しい獣人さんですね」
俺たちはそれぞれ声を漏らした。
「ほら。挨拶をしろ」
「……ロウナ……です」
ローガンの言葉に、表情を変えることなく口数少なく応えてお辞儀をするロウナ。
出るところは出ているのだが、なかなかの長身で色気はあるがいやらしさがない。
「あの……レオ様、お気に召しませんでしたか?」
俺たちが固まっていると、ローガンが少し心配そうに訊いてくる。
「い、いや、そんなことはない。少し鑑定させてもらうぞ?」
「はい。どうぞ」
俺は、肝心の戦闘能力を見るため、詳しく鑑定を行った。
名前:ロウナ・デスリッジ
種族:獣人(狼)
年齢:20歳
ジョブ:グラップラーLv20
パッシブ:『超破壊力』『野生の勘』
説明:獣人族の戦士の家系に生まれたが家が跡継ぎ争いに敗北。奴隷として売り飛ばされる。
「このジョブの『グラップラー』というのは?」
「はい。下級職『拳士』から派生する中級職でございます。機動力と破壊力に優れ、前衛としては申し分ないジョブです。しかも、彼女は『超破壊力』という自身の持つ力の強さが常人の三倍というパッシブスキルの持ち主。戦闘となれば、これほど頼りになる奴隷はいないでしょう」
なるほど、なかなかの逸材のようだ。
ジョブのレベルも中級職で20という俺たちよりもかなり上だ。
ロウナは無表情のまま、スンと鼻を鳴らして俺から目を逸らした。
「まだ奴隷になって日が浅いため、躾が行き届いていない点はご了承ください」
「ああ、構わない。その辺は特に拘らないからな」
一緒に冒険する仲間なのだ。
堅苦しいほうが、息が詰まってしまう。
「俺はいいと思うが、みんなはどうだ?」
「うん、綺麗で強いなんて最強だよ♪」
「ん……ご主人様に従う」
「なかなか頼りになりそうではないか」
「うふふ、こんなにたくましい方が仲間になれば百人力ですね」
みんなも乗り気のようだ。
「よし、決めた。この娘をもらおう。価格は?」
「はい。あらかじめ、ご提示いただいていた予算から少し足が出まして150万Gでございます」
俺は魔法の袋から150万Gを取り出し、ローガンに支払った。
食堂に入ると、リズたちが席に座っていた。
昨日の今日なので、リズとキアラは二日酔いで死んだような表情になっていた。
シレイドはいつも通りで、大口を開けて朝食のサンドイッチを食べていた。
「あら、レオ様。おかえりなさい。朝までなんて大変でしたね。オルガさんは大丈夫そうでしたか?」
眩しい笑顔でセーラが出迎えてくれる。
俺は「実はカーニバルしていました」とは言えず、「ま、まぁ、大丈夫だと思うよ」と濁しながら、同じテーブルにつく。
「ご主人様……今日はどうする?」
シレイドが訊いてくる。
「今日は、冒険は休みだ。ルクシアの奴隷商館に行く。前衛を探してもらっていたんだが、そろそろ見つかった頃だろう。その後、『古本屋』に行ってそれぞれ魔法書や技術書を読んで技を増やそう」
「古本屋なんてあるのね……知らなかったわ……」
「私もしばらくこの町にいますけど、聞いたことなかったですね」
「そうか。聞いた話では、このエルゼリアくらい大きな街にはそういう店もあるそうだ。色々聞いて場所を探してみよう」
死んだ魚のような目をして話に乗ってくるリズに応える。
俺たちより住んでいる歴が長いセーラも知らないとは、よほど穴場なのか。
いや、単に町が大きすぎるからだろう。
前も、ヴィヴィの店を知らなかったみたいだしな。
「レオ……私の槍はどうする? 粉々に砕けてしまったから、冒険には行けないが……」
「それに関しては大丈夫だ。朝、オルガと別れる前に槍を作ってもらえるように依頼した。もちろん素材も渡してな。昨日迷惑かけたお詫びってことで、タダで請け負ってくれるそうだ。気にしていた槍のフィット感も、エルフの細く長い指にしっかり馴染むように作るから安心してくれだそうだ」
「そうかぁ……なら、任せよう……」
リズと同じく、ぐったりしたキアラにも応える。
連れまわすのは少し可哀そうだが、酒の方は次第に抜けていくだろう。
こうして、食事を取った後、俺たち五人はルクシアの奴隷商館に向かった。
「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました、レオ様」
ドアマンの開く扉をくぐると、館主のローガンがお辞儀をして出迎えてくる。
以前は俺たちに対して、少し雑な扱いだった気もするが、今の装備を見て金を持っていると判断したのだろう。
今は、すこぶる丁寧に対応してくれている。
「ああ。以前依頼していた戦闘奴隷はどうなっているかな? そろそろ、仲間を増やしたいんだが」
「はい。ちょうど昨日、仕入れさせてもらったところです。『戦闘能力の高さ』がご希望とのことでしたので、ぴったりの奴隷をご用意致しました」
俺の言葉にローガンが答える。
リズとキアラ、セーラは商館に慣れないようで豪奢な内装をきょろきょろと見まわしている。
「久しぶりですね、シレイドさん。レオ様はよくしてくれてますか?」
「ん……久しぶり、ローガン。ご主人様……最高」
ローガンがシレイドに声をかけると、シレイドはサムズアップして答える。
俺の奴隷になったから、シレイドに対してローガンは敬語だ。
対して、シレイドは普通に返している。
相変わらずの彼女に、ローガンは若干苦笑いしている。
「それでは、レオ様たち……こちらへどうぞ。……そうそう、ちゃんと美しい女性を見繕ってきましたからそちらの方もご心配なく……」
最後、小声で俺に言ってくるローガン。
ムムム、やはり解っている。商売上手だ。
応接室に通されて、待つこと十分。
「どんな子が来るんだろうねー♪」などとリズたちが楽しそうに談笑していると、扉が開かれる。
ローガンと数人のメイドに連れられて入ってきたのは、首輪のつけられた銀狼の獣人だった。
多少ボサっとした腰くらいの銀の長髪に金色の瞳、大きな胸にくびれた腰、大きなお尻、そして、目を引くのがピンと立った頭の上の耳と、お尻の上の服の穴からでているふさふさとした尻尾である。
「お、おお……」
「すごっ、綺麗……」
「ん……ふさふさ」
「これは、また……」
「美しい獣人さんですね」
俺たちはそれぞれ声を漏らした。
「ほら。挨拶をしろ」
「……ロウナ……です」
ローガンの言葉に、表情を変えることなく口数少なく応えてお辞儀をするロウナ。
出るところは出ているのだが、なかなかの長身で色気はあるがいやらしさがない。
「あの……レオ様、お気に召しませんでしたか?」
俺たちが固まっていると、ローガンが少し心配そうに訊いてくる。
「い、いや、そんなことはない。少し鑑定させてもらうぞ?」
「はい。どうぞ」
俺は、肝心の戦闘能力を見るため、詳しく鑑定を行った。
名前:ロウナ・デスリッジ
種族:獣人(狼)
年齢:20歳
ジョブ:グラップラーLv20
パッシブ:『超破壊力』『野生の勘』
説明:獣人族の戦士の家系に生まれたが家が跡継ぎ争いに敗北。奴隷として売り飛ばされる。
「このジョブの『グラップラー』というのは?」
「はい。下級職『拳士』から派生する中級職でございます。機動力と破壊力に優れ、前衛としては申し分ないジョブです。しかも、彼女は『超破壊力』という自身の持つ力の強さが常人の三倍というパッシブスキルの持ち主。戦闘となれば、これほど頼りになる奴隷はいないでしょう」
なるほど、なかなかの逸材のようだ。
ジョブのレベルも中級職で20という俺たちよりもかなり上だ。
ロウナは無表情のまま、スンと鼻を鳴らして俺から目を逸らした。
「まだ奴隷になって日が浅いため、躾が行き届いていない点はご了承ください」
「ああ、構わない。その辺は特に拘らないからな」
一緒に冒険する仲間なのだ。
堅苦しいほうが、息が詰まってしまう。
「俺はいいと思うが、みんなはどうだ?」
「うん、綺麗で強いなんて最強だよ♪」
「ん……ご主人様に従う」
「なかなか頼りになりそうではないか」
「うふふ、こんなにたくましい方が仲間になれば百人力ですね」
みんなも乗り気のようだ。
「よし、決めた。この娘をもらおう。価格は?」
「はい。あらかじめ、ご提示いただいていた予算から少し足が出まして150万Gでございます」
俺は魔法の袋から150万Gを取り出し、ローガンに支払った。
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