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第6章:灼炎の祠と銀狼獣人編
第25話:泥火魔マグマッド
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第一階層を進むこと三十分、フレイムリザードとの戦闘を何度か繰り返し、奥に進んでいく。
爪で傷つけられると火傷を負うということだったから、努めて遠距離で仕留めるている。
時折、不意打ちをされて接近戦になったりするが、ロウナの俊敏性や、キアラの強化付与の前では敵ではない。
怪我も擦り傷程度で済んでいる。その傷も、ポーションをかけるだけで完治するのでどうということは無かった。
ダンジョンそのものも複雑な構造はしておらず、迷うことなく先に進める。
結果、一時間ほどで次の階層への下り階段が現れた。
「お、階段だ。この階層はこれで終わりかな?」
「そうだねー、マッピングで見たところ、間違いないかな。未踏破部分も少しあるけど、その道は行き止まりっぽいし」
「ふふふ、運がよかったということですわね」
キアラ、リズ、セーラが言う。
「よし、第二階層も進んでしまおうか。時間的にまだ活動しても平気だろう」
俺の提案に五人は首肯する。
階段を下りて第二階層に着くと、その異様さに目を疑う。
真っ赤なマグマの川が流れている。
「な、何あれ!? 火山でもないのに、ダンジョンの中にマグマ!?」
「おそらく、魔法で作られた人工のマグマだと思いますわ。魔道具か何かで祠に循環させているのでしょう」
リズの驚きにセーラが答える。
俺も思わず言葉を失ってしまった。
人生で初めて見る溶岩、マグマだ。
「なるほどな、これが暑さの原因か」
「……ご主人様、シレイド暑い……」
「あたしも……これは堪えるな」
暑さに弱いシレイドとロウナはへたり気味だ。
これは短期突破するしかないな。
ここで寝泊まりするなんてなったら、皆の疲労がMAXになりそうだ。
「リズ、マッピングの感じだと、このダンジョンの広さはどれくらいだ? ここに宿泊は避けたい」
「うん。幸い、広さはそんなにないよ。マグマの川にダンジョンの大部分が覆われてるみたいだし、道も限られてる。次の階層が最下層みたいだし、夜まで頑張れば今日中に踏破できるかも」
「分かった。それが分かれば十分だ。みんな、できるだけ早く踏破しよう」
みんなの顔色を注意深く見ながら、ダンジョンを進んでいく。
疲労度も考えれば戦闘はできるだけ避けたいが……。
とは言えど、そうはいかないのが冒険者稼業。
初見の魔物が現れる。
マグマの中から、ドロドロとした塊が何体も上がってくる。
泥のようなソレには、埴輪のような顔が浮かび上がっている。
「あれは……魔物か?」
ロウナが臨戦態勢を取る。
俺もすかさず、剣を抜き鑑定を行う。
名前:マグマッド
危険度:B
説明:灼熱のマグマの中に棲む泥状の魔物。体全体がマグマのような高温のため、触れたら最後、骨まで溶かされてしまう。遠距離で倒す必要があるが、防御力は低いので簡単に倒せる。
素材:『泥火魔石』
レア素材:『灼熱の粘液』
「みんな、接近戦はするな! 遠距離で倒すぞ!」
俺の号令と共に、リズがクロスボウを発射する。
もちろん、スキル『ヘビーショット』を使って。
ズバァアアン!!
矢が当たると同時に泥火魔が弾け飛ぶ。
どうやら物理遠距離もある程度効くようだ。
ロウナの『ブレットパンチ』やシレイドの投げナイフも炸裂して、マグマッドが斃れていく。
だが、なにぶん数が多い。
次から次へとマグマの川から這い上がってくる。
普通に戦っていたらキリが無いな。
MPはあまり消費したくなかったが、俺は魔法で一掃することにした。
「エルウェーブ!!」
横一列にぞろぞろと蠢く泥火魔に、水の波動がぶち当たって弾ける。
バジュジュジュジュゥ!
蒸発するような音を立てて、マグマッドたちは全滅した。
「一撃なんて、すごいな……ご主人様……」
初見のロウナが感嘆の声を漏らす。
「レオは魔法適正もSSSだからね! これくらい余裕だよ!」
なぜか得意げなリズがブイサインしている。
「ああ。だが、あまり乱発したくはないな……MP消費が心配だ」
今日中に踏破するということは今日中にサラマンダーを倒さなければいけないということ。
サラマンダーがどれくらいの敵なのか、また、隠しレア素材がどれくらいのレアポップか分からないが、MPはできるだけ温存しておきたい。
極力、最適化された攻撃魔法だが、普通の武技スキルよりはMP消費は激しいのだ。
なるべく無駄遣いを避けて、注意深く進まなければいけないな。
第二階層の出現モンスターはフレイムリザードとマグマッドで固定化されているので、戦い方は自ずと定まっていく。
フレイムリザードなら、精霊強化を施したキアラが前線に立ち、残りのメンバーは距離を取りつつ仕留める。
マグマッドなら俺が水魔法で一掃する。
どちらも出てきたら、まず俺が魔法でマグマッドを削った後でフレイムリザードを叩くといった形だ。
接近戦は少ないので、動きが少なくて助かる。
この暑さで動き回ったりしたら、あっという間に体力が無くなってしまいそうだからな。
戦い方が決まっていれば、戦闘回数が多くてもどうということはない。
せいぜい、MPの心配をするくらいだ。
そうこうしているうちに下層への階段が現れる。
「みんな、平気か?」
「うん、大丈夫」
「シレイドも……暑いけど頑張る」
「私も大丈夫だ」
「平気ですわ」
「あまり動いていないからな。問題ない」
俺の問いに五人が答える。
余力はまだまだありそうだ。
俺たちは最下層・第三階層へ進んだ。
爪で傷つけられると火傷を負うということだったから、努めて遠距離で仕留めるている。
時折、不意打ちをされて接近戦になったりするが、ロウナの俊敏性や、キアラの強化付与の前では敵ではない。
怪我も擦り傷程度で済んでいる。その傷も、ポーションをかけるだけで完治するのでどうということは無かった。
ダンジョンそのものも複雑な構造はしておらず、迷うことなく先に進める。
結果、一時間ほどで次の階層への下り階段が現れた。
「お、階段だ。この階層はこれで終わりかな?」
「そうだねー、マッピングで見たところ、間違いないかな。未踏破部分も少しあるけど、その道は行き止まりっぽいし」
「ふふふ、運がよかったということですわね」
キアラ、リズ、セーラが言う。
「よし、第二階層も進んでしまおうか。時間的にまだ活動しても平気だろう」
俺の提案に五人は首肯する。
階段を下りて第二階層に着くと、その異様さに目を疑う。
真っ赤なマグマの川が流れている。
「な、何あれ!? 火山でもないのに、ダンジョンの中にマグマ!?」
「おそらく、魔法で作られた人工のマグマだと思いますわ。魔道具か何かで祠に循環させているのでしょう」
リズの驚きにセーラが答える。
俺も思わず言葉を失ってしまった。
人生で初めて見る溶岩、マグマだ。
「なるほどな、これが暑さの原因か」
「……ご主人様、シレイド暑い……」
「あたしも……これは堪えるな」
暑さに弱いシレイドとロウナはへたり気味だ。
これは短期突破するしかないな。
ここで寝泊まりするなんてなったら、皆の疲労がMAXになりそうだ。
「リズ、マッピングの感じだと、このダンジョンの広さはどれくらいだ? ここに宿泊は避けたい」
「うん。幸い、広さはそんなにないよ。マグマの川にダンジョンの大部分が覆われてるみたいだし、道も限られてる。次の階層が最下層みたいだし、夜まで頑張れば今日中に踏破できるかも」
「分かった。それが分かれば十分だ。みんな、できるだけ早く踏破しよう」
みんなの顔色を注意深く見ながら、ダンジョンを進んでいく。
疲労度も考えれば戦闘はできるだけ避けたいが……。
とは言えど、そうはいかないのが冒険者稼業。
初見の魔物が現れる。
マグマの中から、ドロドロとした塊が何体も上がってくる。
泥のようなソレには、埴輪のような顔が浮かび上がっている。
「あれは……魔物か?」
ロウナが臨戦態勢を取る。
俺もすかさず、剣を抜き鑑定を行う。
名前:マグマッド
危険度:B
説明:灼熱のマグマの中に棲む泥状の魔物。体全体がマグマのような高温のため、触れたら最後、骨まで溶かされてしまう。遠距離で倒す必要があるが、防御力は低いので簡単に倒せる。
素材:『泥火魔石』
レア素材:『灼熱の粘液』
「みんな、接近戦はするな! 遠距離で倒すぞ!」
俺の号令と共に、リズがクロスボウを発射する。
もちろん、スキル『ヘビーショット』を使って。
ズバァアアン!!
矢が当たると同時に泥火魔が弾け飛ぶ。
どうやら物理遠距離もある程度効くようだ。
ロウナの『ブレットパンチ』やシレイドの投げナイフも炸裂して、マグマッドが斃れていく。
だが、なにぶん数が多い。
次から次へとマグマの川から這い上がってくる。
普通に戦っていたらキリが無いな。
MPはあまり消費したくなかったが、俺は魔法で一掃することにした。
「エルウェーブ!!」
横一列にぞろぞろと蠢く泥火魔に、水の波動がぶち当たって弾ける。
バジュジュジュジュゥ!
蒸発するような音を立てて、マグマッドたちは全滅した。
「一撃なんて、すごいな……ご主人様……」
初見のロウナが感嘆の声を漏らす。
「レオは魔法適正もSSSだからね! これくらい余裕だよ!」
なぜか得意げなリズがブイサインしている。
「ああ。だが、あまり乱発したくはないな……MP消費が心配だ」
今日中に踏破するということは今日中にサラマンダーを倒さなければいけないということ。
サラマンダーがどれくらいの敵なのか、また、隠しレア素材がどれくらいのレアポップか分からないが、MPはできるだけ温存しておきたい。
極力、最適化された攻撃魔法だが、普通の武技スキルよりはMP消費は激しいのだ。
なるべく無駄遣いを避けて、注意深く進まなければいけないな。
第二階層の出現モンスターはフレイムリザードとマグマッドで固定化されているので、戦い方は自ずと定まっていく。
フレイムリザードなら、精霊強化を施したキアラが前線に立ち、残りのメンバーは距離を取りつつ仕留める。
マグマッドなら俺が水魔法で一掃する。
どちらも出てきたら、まず俺が魔法でマグマッドを削った後でフレイムリザードを叩くといった形だ。
接近戦は少ないので、動きが少なくて助かる。
この暑さで動き回ったりしたら、あっという間に体力が無くなってしまいそうだからな。
戦い方が決まっていれば、戦闘回数が多くてもどうということはない。
せいぜい、MPの心配をするくらいだ。
そうこうしているうちに下層への階段が現れる。
「みんな、平気か?」
「うん、大丈夫」
「シレイドも……暑いけど頑張る」
「私も大丈夫だ」
「平気ですわ」
「あまり動いていないからな。問題ない」
俺の問いに五人が答える。
余力はまだまだありそうだ。
俺たちは最下層・第三階層へ進んだ。
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