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第7章:海竜の洞窟と美人漁師編
閑話:オルガと一日デートその2
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「お、おぉ……こ、ここが有名なラビット・ハート……」
俺が連れてきたのは、リズやセーラがいつも服を買いに来ているという高級ブランド店『ラビット・ハート』のエルゼリア支店だ。
とにかく、可愛さをコンセプトにした若者のファッション店だ。
ちなみに、シレイドやキアラ、ロウナは姉妹ブランド『ウルフ・ハート』の常連。
こっちはどちらかというと、カッコよさを歯軸にしたシックなデザインのものが多い。
オルガもどちらかというと『ウルフ・ハート』寄りだが、どちらも似合いそうだし、今日は彼女をとことん可愛くしてやると思ったので『ラビット・ハート』の方に連れてきた。
「こ、こんな可愛いの、着たことないよ……似合うかなぁ」
本人は、少し心配そうだが。
「とにかく、気になったものを試着してみなよ」
「う、うん」
俺の言葉に、期待半分、不安半分といった感じで服を選びだすオルガ。
ファッションは謂わば、自己満足の世界だ。
他人からどう思われるかは結局、分からない。
だが、自分がお洒落だと思うものを身に着けて自信を持つのがファッションの肝だ。
他人のセンスに振り回されるのは、苦痛でしかないからな。
オルガは何着か服を選んで、試着室に入っていく。
まずは一着目。
ラビット・ハートにしてはシックな黒いドレス。
「ど、どうかな」
「似合う。可愛いぞ」
試着室から出てきた彼女に答えてやる。
「オルガ自身はどうだ?」
「うーん、よく分かんないな……レオが好きなの着たい」
む、そうか。普段おしゃれをしない彼女にとっては、何がおしゃれかも分からないようだ。
「そうか。じゃあ、俺が一番気に入ったものを選んであげるから、次の服を着てきな」
「うん!」
そう言って、服を次々に着ていくオルガ。
彼女が感想を聞いてくる度に「可愛い」「綺麗だ」と言ってやると、彼女も段々自信がついてきたようで、より自分好みの服を選びだす。
そうして、選んだのが白いフリルのドレス。
彼女は意気揚々と試着室に入ったものの、なかなか出てこない。
どうしたのだろうと思っていたら、おずおずと姿を現す。
「あ、あはは……。これは……似合わないよね……レオに褒められていい気になっちゃったけど……冷静に見たら、ガサツなあたしが、こんなに可愛いのなんて」
バツが悪そうに頭を掻くオルガ。
俺は思わず息を飲む。
「すっごく可愛いぞ! オルガ!」
「コレだ!」と俺の直感が叫ぶ。
普段のオルガとのギャップもあってか、より魅力的に見える。
「ほ、ホント?」
「ああ、本当だ。こんな時に、俺は嘘なんか絶対言わない」
俺がそう言うと、パァッと顔を明るくするオルガ。
そして、満面の笑みで言う。
「じゃあ、これにする!」
そうして、白いフリルのドレスをオルガに買ってやることになった。
お金は自分で払うと言っていたが、今回のデートに関しては俺が全てお金を出したかったので「彼氏のメンツを立たせてくれ」と言って、俺が払った。
彼女は、少し戸惑いながらも嬉しそうに頷いた。
そしてやってきたのが、レストラン『ヤンミー・クワトロ』。
肉料理では右に出る者はいない超高級店だ。
こちらは、食の鉄人シレイドお気に入りの店の一つ。
俺は、少し前までファッションも食も疎かったが、彼女たちの影響で、今ではそこそこに詳しくなっていた。
肉料理が好きだと聞いていたオルガのために、選んだ店だ。
「『ヤンミー・クワトロ』……こんな高級店、入ったことないよ……」
またもや、少し気後れしているオルガ。
まあ、そんな彼女も可愛いのだが。
「いらっしゃいませ。二名様でございますか?」
「ああ。予約していたアオミネだ」
「お待ちしておりました。さあ、こちらへ」
店に入ると店員さんがすぐに対応してくれる。
「よ、予約してたのか?」
「ああ。高級店だし、一応な」
「あたしが今日、都合悪かったらどうしたの?」
「その時は、俺一人で来ようと思っていた」
「くすっ、なかなかチャレンジャーだね、レオは」
俺の言葉にオルガの緊張は少し溶けてきたようだ。
そうして、個室に通される。
「好きなもの、頼みなよ」
「うん。じゃあ『肥牛のタンステーキ』と『雪豆のビシソワーズ』を」
「俺は『黄金鳥の丸焼き』と『太鼓貝のクラムチャウダー』を」
二人とも、注文してすぐに料理が届く。
「うわー♡ 美味しそう♡」
「早速、いただこうか」
高級料理を前に目を輝かせるオルガ。
自分のテリトリーに入ったかのようにイキイキしている。
やっぱり、彼女にとっては花より団子、オシャレより肉料理なのだろう。
フリフリのドレスを着て、タンステーキを頬張るオルガはなかなかアンマッチで面白い。
「んー、美味しい♡ ……ん? レオ、何笑ってんのさ?」
「いや。幸せそうなオルガを見て微笑ましくなってな。自分が惚れた女性が喜んでくれるのは嬉しいもんだ」
俺がそういうと顔をポッと赤らめて「そ、そうか」と言葉少なに答える。
それでも、食の魔力には敵わなかったようで、豪快にタンステーキを平らげていた。
「ふー、食べた食べたー。超美味しかったよー♡ こんなに美味しい料理、生まれて初めてかも♡」
至極満足そうなオルガ。
「オルガが喜んでくれてよかったよ」
俺がそう言うと、オルガは急にモジモジしだした。
「あの、さ……この後なんだけど……その、少し休まない?」
窓を見ると、ちょうど日が暮れだすころだ。
オルガを誘ったのが昼過ぎだから、ずいぶんとデートを堪能していたようだ。
「ああ。じゃあ、俺の宿に……」
「そ、そのさ……休憩するのにいい場所知ってるんだ……行こ? ね?」
顔を赤くしながら上目遣いで俺を見つめるオルガ。
彼女の言葉に押されて「分かった」と答える。
休憩するのに良い場所とはどんな所だ? と疑問に思いながら。
俺が連れてきたのは、リズやセーラがいつも服を買いに来ているという高級ブランド店『ラビット・ハート』のエルゼリア支店だ。
とにかく、可愛さをコンセプトにした若者のファッション店だ。
ちなみに、シレイドやキアラ、ロウナは姉妹ブランド『ウルフ・ハート』の常連。
こっちはどちらかというと、カッコよさを歯軸にしたシックなデザインのものが多い。
オルガもどちらかというと『ウルフ・ハート』寄りだが、どちらも似合いそうだし、今日は彼女をとことん可愛くしてやると思ったので『ラビット・ハート』の方に連れてきた。
「こ、こんな可愛いの、着たことないよ……似合うかなぁ」
本人は、少し心配そうだが。
「とにかく、気になったものを試着してみなよ」
「う、うん」
俺の言葉に、期待半分、不安半分といった感じで服を選びだすオルガ。
ファッションは謂わば、自己満足の世界だ。
他人からどう思われるかは結局、分からない。
だが、自分がお洒落だと思うものを身に着けて自信を持つのがファッションの肝だ。
他人のセンスに振り回されるのは、苦痛でしかないからな。
オルガは何着か服を選んで、試着室に入っていく。
まずは一着目。
ラビット・ハートにしてはシックな黒いドレス。
「ど、どうかな」
「似合う。可愛いぞ」
試着室から出てきた彼女に答えてやる。
「オルガ自身はどうだ?」
「うーん、よく分かんないな……レオが好きなの着たい」
む、そうか。普段おしゃれをしない彼女にとっては、何がおしゃれかも分からないようだ。
「そうか。じゃあ、俺が一番気に入ったものを選んであげるから、次の服を着てきな」
「うん!」
そう言って、服を次々に着ていくオルガ。
彼女が感想を聞いてくる度に「可愛い」「綺麗だ」と言ってやると、彼女も段々自信がついてきたようで、より自分好みの服を選びだす。
そうして、選んだのが白いフリルのドレス。
彼女は意気揚々と試着室に入ったものの、なかなか出てこない。
どうしたのだろうと思っていたら、おずおずと姿を現す。
「あ、あはは……。これは……似合わないよね……レオに褒められていい気になっちゃったけど……冷静に見たら、ガサツなあたしが、こんなに可愛いのなんて」
バツが悪そうに頭を掻くオルガ。
俺は思わず息を飲む。
「すっごく可愛いぞ! オルガ!」
「コレだ!」と俺の直感が叫ぶ。
普段のオルガとのギャップもあってか、より魅力的に見える。
「ほ、ホント?」
「ああ、本当だ。こんな時に、俺は嘘なんか絶対言わない」
俺がそう言うと、パァッと顔を明るくするオルガ。
そして、満面の笑みで言う。
「じゃあ、これにする!」
そうして、白いフリルのドレスをオルガに買ってやることになった。
お金は自分で払うと言っていたが、今回のデートに関しては俺が全てお金を出したかったので「彼氏のメンツを立たせてくれ」と言って、俺が払った。
彼女は、少し戸惑いながらも嬉しそうに頷いた。
そしてやってきたのが、レストラン『ヤンミー・クワトロ』。
肉料理では右に出る者はいない超高級店だ。
こちらは、食の鉄人シレイドお気に入りの店の一つ。
俺は、少し前までファッションも食も疎かったが、彼女たちの影響で、今ではそこそこに詳しくなっていた。
肉料理が好きだと聞いていたオルガのために、選んだ店だ。
「『ヤンミー・クワトロ』……こんな高級店、入ったことないよ……」
またもや、少し気後れしているオルガ。
まあ、そんな彼女も可愛いのだが。
「いらっしゃいませ。二名様でございますか?」
「ああ。予約していたアオミネだ」
「お待ちしておりました。さあ、こちらへ」
店に入ると店員さんがすぐに対応してくれる。
「よ、予約してたのか?」
「ああ。高級店だし、一応な」
「あたしが今日、都合悪かったらどうしたの?」
「その時は、俺一人で来ようと思っていた」
「くすっ、なかなかチャレンジャーだね、レオは」
俺の言葉にオルガの緊張は少し溶けてきたようだ。
そうして、個室に通される。
「好きなもの、頼みなよ」
「うん。じゃあ『肥牛のタンステーキ』と『雪豆のビシソワーズ』を」
「俺は『黄金鳥の丸焼き』と『太鼓貝のクラムチャウダー』を」
二人とも、注文してすぐに料理が届く。
「うわー♡ 美味しそう♡」
「早速、いただこうか」
高級料理を前に目を輝かせるオルガ。
自分のテリトリーに入ったかのようにイキイキしている。
やっぱり、彼女にとっては花より団子、オシャレより肉料理なのだろう。
フリフリのドレスを着て、タンステーキを頬張るオルガはなかなかアンマッチで面白い。
「んー、美味しい♡ ……ん? レオ、何笑ってんのさ?」
「いや。幸せそうなオルガを見て微笑ましくなってな。自分が惚れた女性が喜んでくれるのは嬉しいもんだ」
俺がそういうと顔をポッと赤らめて「そ、そうか」と言葉少なに答える。
それでも、食の魔力には敵わなかったようで、豪快にタンステーキを平らげていた。
「ふー、食べた食べたー。超美味しかったよー♡ こんなに美味しい料理、生まれて初めてかも♡」
至極満足そうなオルガ。
「オルガが喜んでくれてよかったよ」
俺がそう言うと、オルガは急にモジモジしだした。
「あの、さ……この後なんだけど……その、少し休まない?」
窓を見ると、ちょうど日が暮れだすころだ。
オルガを誘ったのが昼過ぎだから、ずいぶんとデートを堪能していたようだ。
「ああ。じゃあ、俺の宿に……」
「そ、そのさ……休憩するのにいい場所知ってるんだ……行こ? ね?」
顔を赤くしながら上目遣いで俺を見つめるオルガ。
彼女の言葉に押されて「分かった」と答える。
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