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第8章:マッサ鉱山と謎のダークエルフ編
第1話:鉱山クエスト
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ポートルートからエルゼリアに戻ってすぐに、宿の談話室でこれからの予定を立てる。
「『灼炎の祠』『水竜の洞窟』と攻略したから、残るは二つ『マッサ鉱山』と『風神の谷』だな」
「順調に攻略できているな。やはり、私たちの力は、同じランクの冒険者に比べて相当高いのだろう」
俺の言葉に、キアラがフフンと鼻を鳴らす。
普段、調子に乗らない彼女だから、こういう態度は新鮮だ。
「そうなると『マッサ鉱山』を目指すのがよいかと思います。『風神の谷』は他の三つに比べて少し難易度が高いはずです。いわば、一流冒険者への最後の難関といったところですから」
セーラが真面目な顔で進言する。
「なるほど。じゃあ次の踏破予定ダンジョンは『マッサ鉱山』ということにしようか。みんな、異論は?」
俺が五人に聞くと皆、首を横に振る。
どうやら、異論はないようだ。
「ご主人様。今回はダンジョン踏破に並行してクエストを受けてみないか?」
「ん……今の実力なら、多少仕事を増やしても大丈夫だと思う……」
ロウナとシレイドが言う。
『灼炎の祠』『水竜の洞窟』を踏破するときは、余分なクエストは同時に受けないようにしてきた。
ヴィヴィの『小火竜涎香』はクエストと言えなくもないが、あれは踏破のついでという形で達成できるものだったしな。
ダンジョンを踏破した後で手に入れたアイテムを納品することはあったが、言わずもがな、ダンジョン攻略自体には全く影響はなかった。
「よし。じゃあ、今回はマッサ鉱山の攻略だけじゃなく、クエストの達成もやってみるか。多少時間はかかるかもしれないが、その方が実力もつくだろうしな」
俺たちの目的は冒険者として名を馳せて、思うがままに贅沢な暮らしをすることなのだから。
今でも十分に生活は充実しているが、満足してしまっては成長はない。
惰性で生きるほどつまらない事はないと、転生前の病弱生活で嫌というほど解ってる。
「じゃあ、早速クエストを見に行くか」
そうして、俺たちは、エルゼリア冒険者ギルドへ向かった。
「ふむふむ、特定の魔物退治や採集アイテムを取ってくるのが無難かなぁ……」
「うむ、やはりそれが妥当だろう。採集アイテムは鮮度を求めるものもあるな」
リズとキアラがクエスト掲示板とにらめっこしている。
シレイドはお腹がすいたようで、併設されている酒場でサイコロステーキを美味そうに食べている。
『一緒に何を受けるか決めないのか』と言ったところ『自分は何があっても、ご主人様に従うだけだから任せる』と言われてしまった。
「さて、あの二人はどんなクエストを持ってくるかな」
「まずは見てから判断しましょう」
俺の言葉に、セーラが言う。
クエスト掲示板はどうしても混む。
なるべく少人数で見に行くのがマナーだ。
「にしても、マッサ鉱山かぁ」
「ん? 何かあるのか?」
「んー、まぁな」
ロウナの呟きが気になり聞いてみると、少し言いにくそうな顔で答えてくれる。
「マッサ鉱山は、奴隷たちが働かされる場所らしい。あそこは良質な鉱石がわんさか掘れるみたいだからな。奴隷商のローガンの所にいた時に、色んな地域の奴隷知識を勉強させられてさ、その時に知った」
なるほど、奴隷を働かせる場所か。
「同じ奴隷だし、あたしとしては色々思うところがあってな……。いや、今の暮らしに不満は全くないというか、こんな幸せでいいのかって思うほどなんだけど……同時に、不幸な目にあっている奴隷もいると考えたら、何とも言えない気分になってな」
ブルーな気分になっているのだろう。
俺は、そんなロウナを元気づけるためにそっと撫でてやる。
「ロウナは優しいな。だけど、気に病んでしまわないようにな」
「ちょ、ちょっと……ご主人様……♪ う……うう……分かったよ……で、でも、恥ずかしい……」
言葉こそ困惑していたが、嬉しかったのだろう、尻尾が激しく揺れている。
おまけに、撫でられた後、俺の手に自分の頬を擦りつけている。
「みんなー、クエスト取ってきたよー」
「とりあえず、二つに絞ったぞ」
リズとキアラが帰ってくる。
持ってきたクエストは次のものだ。
まず、一つ目。
『マッサ鉱山中層に棲むモンスター『メテオバード』の討伐』
マッサ鉱山にはロックバードと言われる鳥の魔物がいるらしい。
そのロックバードが最近、進化した個体が出現したらしく、困っているというもの。
もしかしたら『王魔種』の影響かもしれない。
そして、二つ目。
『マッサ鉱山上層にて『ゴルゴッド鉱石』十個の採集』
これは、フィールドアイテムの採集のようだ。
アクセサリーなどに使われる宝石の一種らしく、貴族が依頼主らしい。
「メテオバードの危険度はAらしい。少々高めだが、まあ、全力で行けば倒せるだろう」
キアラが補足説明してくれる。
「いいんじゃないか?」
「ええ。異議はありませんわ」
「あたしもだ」
俺に続いて、セーラとロウナも乗り気で賛成する。
「よかったよ! じゃあ、早速受付してくるね!」
リズが元気よく駆け出していく。
さて、次はどんな冒険が待っているのだろうか。
俺たちは、この二つを今回のマッサ鉱山攻略の際のクエストとして受注した。
「『灼炎の祠』『水竜の洞窟』と攻略したから、残るは二つ『マッサ鉱山』と『風神の谷』だな」
「順調に攻略できているな。やはり、私たちの力は、同じランクの冒険者に比べて相当高いのだろう」
俺の言葉に、キアラがフフンと鼻を鳴らす。
普段、調子に乗らない彼女だから、こういう態度は新鮮だ。
「そうなると『マッサ鉱山』を目指すのがよいかと思います。『風神の谷』は他の三つに比べて少し難易度が高いはずです。いわば、一流冒険者への最後の難関といったところですから」
セーラが真面目な顔で進言する。
「なるほど。じゃあ次の踏破予定ダンジョンは『マッサ鉱山』ということにしようか。みんな、異論は?」
俺が五人に聞くと皆、首を横に振る。
どうやら、異論はないようだ。
「ご主人様。今回はダンジョン踏破に並行してクエストを受けてみないか?」
「ん……今の実力なら、多少仕事を増やしても大丈夫だと思う……」
ロウナとシレイドが言う。
『灼炎の祠』『水竜の洞窟』を踏破するときは、余分なクエストは同時に受けないようにしてきた。
ヴィヴィの『小火竜涎香』はクエストと言えなくもないが、あれは踏破のついでという形で達成できるものだったしな。
ダンジョンを踏破した後で手に入れたアイテムを納品することはあったが、言わずもがな、ダンジョン攻略自体には全く影響はなかった。
「よし。じゃあ、今回はマッサ鉱山の攻略だけじゃなく、クエストの達成もやってみるか。多少時間はかかるかもしれないが、その方が実力もつくだろうしな」
俺たちの目的は冒険者として名を馳せて、思うがままに贅沢な暮らしをすることなのだから。
今でも十分に生活は充実しているが、満足してしまっては成長はない。
惰性で生きるほどつまらない事はないと、転生前の病弱生活で嫌というほど解ってる。
「じゃあ、早速クエストを見に行くか」
そうして、俺たちは、エルゼリア冒険者ギルドへ向かった。
「ふむふむ、特定の魔物退治や採集アイテムを取ってくるのが無難かなぁ……」
「うむ、やはりそれが妥当だろう。採集アイテムは鮮度を求めるものもあるな」
リズとキアラがクエスト掲示板とにらめっこしている。
シレイドはお腹がすいたようで、併設されている酒場でサイコロステーキを美味そうに食べている。
『一緒に何を受けるか決めないのか』と言ったところ『自分は何があっても、ご主人様に従うだけだから任せる』と言われてしまった。
「さて、あの二人はどんなクエストを持ってくるかな」
「まずは見てから判断しましょう」
俺の言葉に、セーラが言う。
クエスト掲示板はどうしても混む。
なるべく少人数で見に行くのがマナーだ。
「にしても、マッサ鉱山かぁ」
「ん? 何かあるのか?」
「んー、まぁな」
ロウナの呟きが気になり聞いてみると、少し言いにくそうな顔で答えてくれる。
「マッサ鉱山は、奴隷たちが働かされる場所らしい。あそこは良質な鉱石がわんさか掘れるみたいだからな。奴隷商のローガンの所にいた時に、色んな地域の奴隷知識を勉強させられてさ、その時に知った」
なるほど、奴隷を働かせる場所か。
「同じ奴隷だし、あたしとしては色々思うところがあってな……。いや、今の暮らしに不満は全くないというか、こんな幸せでいいのかって思うほどなんだけど……同時に、不幸な目にあっている奴隷もいると考えたら、何とも言えない気分になってな」
ブルーな気分になっているのだろう。
俺は、そんなロウナを元気づけるためにそっと撫でてやる。
「ロウナは優しいな。だけど、気に病んでしまわないようにな」
「ちょ、ちょっと……ご主人様……♪ う……うう……分かったよ……で、でも、恥ずかしい……」
言葉こそ困惑していたが、嬉しかったのだろう、尻尾が激しく揺れている。
おまけに、撫でられた後、俺の手に自分の頬を擦りつけている。
「みんなー、クエスト取ってきたよー」
「とりあえず、二つに絞ったぞ」
リズとキアラが帰ってくる。
持ってきたクエストは次のものだ。
まず、一つ目。
『マッサ鉱山中層に棲むモンスター『メテオバード』の討伐』
マッサ鉱山にはロックバードと言われる鳥の魔物がいるらしい。
そのロックバードが最近、進化した個体が出現したらしく、困っているというもの。
もしかしたら『王魔種』の影響かもしれない。
そして、二つ目。
『マッサ鉱山上層にて『ゴルゴッド鉱石』十個の採集』
これは、フィールドアイテムの採集のようだ。
アクセサリーなどに使われる宝石の一種らしく、貴族が依頼主らしい。
「メテオバードの危険度はAらしい。少々高めだが、まあ、全力で行けば倒せるだろう」
キアラが補足説明してくれる。
「いいんじゃないか?」
「ええ。異議はありませんわ」
「あたしもだ」
俺に続いて、セーラとロウナも乗り気で賛成する。
「よかったよ! じゃあ、早速受付してくるね!」
リズが元気よく駆け出していく。
さて、次はどんな冒険が待っているのだろうか。
俺たちは、この二つを今回のマッサ鉱山攻略の際のクエストとして受注した。
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