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第8章:マッサ鉱山と謎のダークエルフ編
第15話:女神との交信・ロザリア編
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——翌朝。
俺の隣では、昨日できた可愛いダークエルフの彼女がすやすやと眠っている。
「遂に12人目の彼女か……1ダース彼女ってとこだな……」
『なにアホなこと言ってるんですか……?』
俺のつぶやきに、女神メルヴィーナが呆れたように返してくる。
「このやり取りも、すっかり慣れてきたな」
『毎回、情事の後にしか交信できないので不便なんですけどねー。まぁ、レオさんが元気でヤッとるようでなによりです♪』
今日も、女神は平常運転らしい。
うむ、メルヴィーナも元気そうで何よりだ。
『それにしても、またまた貴族の賊を懲らしめちゃうとは! すごいですねぇ、レオさん!』
「悪人に縁があるみたいでな。自分でも無意識にいつの間にか懲らしめる羽目になっている」
『女神としては嬉しい限りですよ! うんうん!』
「『魔王の開花』周りのことか」
『はい!』
俺の言葉に、女神は元気よく答える。
『あ、レオさん、そのこと誰にも話してませんよね?』
「ああ、話してない。パーティメンバーにもな。同じ転生者のハルカって子もいるが、その子にも話してない」
『あー、あの子ですねー。今のところ、私の母親である天界の長からも『失楽園』を命じられていませんし、とりあえずセーフってところですかね』
「まぁ、ハルカは薄々何か感づいてそうだけどな」
この間、話した感じだと『王魔種』について、正体は分からずとも何かしらの疑問を持ってるみたいだったし。
俺と同じように、それが『魔王の開花』に関係するのではという考えも、あるにはあるみたいだったしな。
考えが繋がるのも、時間の問題ではと思う。
『それでもです! 天界の事情は各世界の住人には直接関係ありませんし、なにより、世界に生じた困難はその世界の住人が解決しなければいけませんしね』
「ああ……神に頼ってばかりじゃ、成長できなくなる……だったもんな」
『そういうことです!』
女神の言葉に俺は答える。
「じゃあ、天界が各世界に意図的に干渉するときって、どんな時なんだ?」
『うーん。まあ、それは天界の者によって、直接世界に悪影響が及ぼされる場合……ですかねー。女神や男神の力は言わずもがな強大です。その力を用いて、わざと世界を壊そうとかした場合は、流石に天界側も黙って見ているわけにはいかなくなりますから、何か策は講じるでしょうね』
「なるほどな」
メルヴィーナの言葉に納得する。
「メルヴィーナが別の世界のものをこのアルティナに転生させているのは、天界的にはどうなんだ?」
『うぐっ……痛いところを突きますねー……』
俺の言葉にメルヴィーナの声色が渋くなる。
『転生作業自体は各世界に悪影響をもたらさないとされているため、ギリギリセーフですねー。それでも、やっぱり意図的に女神の力を世界に干渉させるってことで、非推奨行為とされてますけど』
「つまり、メルヴィーナの行動はあまり誉められたものじゃないが、黙認されていると」
『うぐぐ……おっしゃる通りです』
なるほどな。最初会った時から、じゃじゃ馬女神だとは思っていたが。
「大体、事情は解ったよ。とにかく、俺が事情を知ったことで、メルヴィーナに何か罰が下されていないかって不安だったんだ。何も無いようで良かったよ」
『はい。そこは大丈夫そうです。『王魔種』と『開花』との関係に気づいたのはレオさん自身ですし、私はレオさんの疑問に答えただけ……ですから!』
俺の言葉に、女神はケロッとした感じで答える。
『おおっと……隣のダークエルフの彼女が起きちゃいそうです! この辺で、今日は退散しますねー! それでは、ハブ・ア・ナイスライフ!』
女神との交信が切れた。
「ん……ふぁあぁ……あ、んふふ……れーお、起きてたのぉ?」
愛しいダークエルフ彼女ロザリアが甘えるように抱き着いてくる。
背中で潰れている彼女の大きな二つの果実が気持ちよく、俺の愚息が反応してしまう。
昨日の情事もあってか、以前の彼女に比べて言動が甘く感じる。
「おはよう。ロザリア」
「うん……♡ おはよう、レオ♡ ……んちゅ♡」
朝一番のキスをもらう。
「これからロザリアはどうするんだ?」
「一度、アイスウッドの森に戻るよ。被害者を連れてきたり、女王様への報告もしなくちゃいけないからね。……本当なら、レオも一緒に連れて帰りたいところだけど……誘拐事件のせいで、アイスウッドのエルフたちは人間たちをよく思ってないから……ちょっと準備が必要さ」
「仕方ないな。人間たちへの印象が和らいだ頃に、出向かせてもらおう」
「うん……必ず招待するよ」
俺の背中に頬ずりしながら、ロザリアは囁く。
俺もまだ、冒険の途中だしな。
まずは、マッサ鉱山の踏破を完了させなければ。
彼女のぬくもりに触れながら、決意を新たにするのだった。
◇
——天界、メルヴィーナ宅。
「ふぃー……終わりましたぁー」
今日の交信作業が終了し、メルヴィーナは息を吐く。
毎度のことながら、交信には女神の力をフルで使う必要があり、一苦労だ。
休憩に、紅茶でも入れようとしたその時……。
コンコンコン!
玄関の扉がノックされる。
「はいはーい、今出まーす」
ドアを開けると、そこには女神ディアナミーアと女神ウルラウール、そして、全ての女神の母エルディーテが、厳しい顔つきで立っていた。
「な、な、な、なんでしょうか? そ、そんなに怖い顔をして……」
「……メルヴィーナ」
「ひゃ、ひゃい!? あ、あの、もしかして『王魔種』のことが、転生者の一人にバレてしまったことでしょうか!? も、もしかして、私『失楽園』でしょうか!?」
あたふたと慌てるメルヴィーナに、ウルラウールが答える。
「落ち着け。『王魔種』のことには違いないが、お前に罰を与えるということではない。むしろ、お前が被害者かもしれないということだ」
「え? それって、ど、どういう事でしょう?」
事態の把握ができないメルヴィーナに、ディアナミーアが言葉を引き取り続ける。
「あなたの世界『アルティナ』に湧いている『王魔種』が、実は故意に蒔かれたものである可能性が出てきたということです」
その言葉に、メルヴィーナはポカンとしてしまう。
「そ、そんなはずは……わ、私、そんな酷いこと絶対しません!」
「メルヴィーナの仕業じゃないのは分かっているさ」
「じゃ、じゃあ、誰がそんなことを!」
「それを炙り出すために、今から罠を仕掛ける」
「……わ、罠?」
ウルラウールの言葉に、メルヴィーナは再び呆気にとられる。
天界に蠢く悪の正体が、今、ゆっくりと解き明かされようとしているのだった。
◇
俺の隣では、昨日できた可愛いダークエルフの彼女がすやすやと眠っている。
「遂に12人目の彼女か……1ダース彼女ってとこだな……」
『なにアホなこと言ってるんですか……?』
俺のつぶやきに、女神メルヴィーナが呆れたように返してくる。
「このやり取りも、すっかり慣れてきたな」
『毎回、情事の後にしか交信できないので不便なんですけどねー。まぁ、レオさんが元気でヤッとるようでなによりです♪』
今日も、女神は平常運転らしい。
うむ、メルヴィーナも元気そうで何よりだ。
『それにしても、またまた貴族の賊を懲らしめちゃうとは! すごいですねぇ、レオさん!』
「悪人に縁があるみたいでな。自分でも無意識にいつの間にか懲らしめる羽目になっている」
『女神としては嬉しい限りですよ! うんうん!』
「『魔王の開花』周りのことか」
『はい!』
俺の言葉に、女神は元気よく答える。
『あ、レオさん、そのこと誰にも話してませんよね?』
「ああ、話してない。パーティメンバーにもな。同じ転生者のハルカって子もいるが、その子にも話してない」
『あー、あの子ですねー。今のところ、私の母親である天界の長からも『失楽園』を命じられていませんし、とりあえずセーフってところですかね』
「まぁ、ハルカは薄々何か感づいてそうだけどな」
この間、話した感じだと『王魔種』について、正体は分からずとも何かしらの疑問を持ってるみたいだったし。
俺と同じように、それが『魔王の開花』に関係するのではという考えも、あるにはあるみたいだったしな。
考えが繋がるのも、時間の問題ではと思う。
『それでもです! 天界の事情は各世界の住人には直接関係ありませんし、なにより、世界に生じた困難はその世界の住人が解決しなければいけませんしね』
「ああ……神に頼ってばかりじゃ、成長できなくなる……だったもんな」
『そういうことです!』
女神の言葉に俺は答える。
「じゃあ、天界が各世界に意図的に干渉するときって、どんな時なんだ?」
『うーん。まあ、それは天界の者によって、直接世界に悪影響が及ぼされる場合……ですかねー。女神や男神の力は言わずもがな強大です。その力を用いて、わざと世界を壊そうとかした場合は、流石に天界側も黙って見ているわけにはいかなくなりますから、何か策は講じるでしょうね』
「なるほどな」
メルヴィーナの言葉に納得する。
「メルヴィーナが別の世界のものをこのアルティナに転生させているのは、天界的にはどうなんだ?」
『うぐっ……痛いところを突きますねー……』
俺の言葉にメルヴィーナの声色が渋くなる。
『転生作業自体は各世界に悪影響をもたらさないとされているため、ギリギリセーフですねー。それでも、やっぱり意図的に女神の力を世界に干渉させるってことで、非推奨行為とされてますけど』
「つまり、メルヴィーナの行動はあまり誉められたものじゃないが、黙認されていると」
『うぐぐ……おっしゃる通りです』
なるほどな。最初会った時から、じゃじゃ馬女神だとは思っていたが。
「大体、事情は解ったよ。とにかく、俺が事情を知ったことで、メルヴィーナに何か罰が下されていないかって不安だったんだ。何も無いようで良かったよ」
『はい。そこは大丈夫そうです。『王魔種』と『開花』との関係に気づいたのはレオさん自身ですし、私はレオさんの疑問に答えただけ……ですから!』
俺の言葉に、女神はケロッとした感じで答える。
『おおっと……隣のダークエルフの彼女が起きちゃいそうです! この辺で、今日は退散しますねー! それでは、ハブ・ア・ナイスライフ!』
女神との交信が切れた。
「ん……ふぁあぁ……あ、んふふ……れーお、起きてたのぉ?」
愛しいダークエルフ彼女ロザリアが甘えるように抱き着いてくる。
背中で潰れている彼女の大きな二つの果実が気持ちよく、俺の愚息が反応してしまう。
昨日の情事もあってか、以前の彼女に比べて言動が甘く感じる。
「おはよう。ロザリア」
「うん……♡ おはよう、レオ♡ ……んちゅ♡」
朝一番のキスをもらう。
「これからロザリアはどうするんだ?」
「一度、アイスウッドの森に戻るよ。被害者を連れてきたり、女王様への報告もしなくちゃいけないからね。……本当なら、レオも一緒に連れて帰りたいところだけど……誘拐事件のせいで、アイスウッドのエルフたちは人間たちをよく思ってないから……ちょっと準備が必要さ」
「仕方ないな。人間たちへの印象が和らいだ頃に、出向かせてもらおう」
「うん……必ず招待するよ」
俺の背中に頬ずりしながら、ロザリアは囁く。
俺もまだ、冒険の途中だしな。
まずは、マッサ鉱山の踏破を完了させなければ。
彼女のぬくもりに触れながら、決意を新たにするのだった。
◇
——天界、メルヴィーナ宅。
「ふぃー……終わりましたぁー」
今日の交信作業が終了し、メルヴィーナは息を吐く。
毎度のことながら、交信には女神の力をフルで使う必要があり、一苦労だ。
休憩に、紅茶でも入れようとしたその時……。
コンコンコン!
玄関の扉がノックされる。
「はいはーい、今出まーす」
ドアを開けると、そこには女神ディアナミーアと女神ウルラウール、そして、全ての女神の母エルディーテが、厳しい顔つきで立っていた。
「な、な、な、なんでしょうか? そ、そんなに怖い顔をして……」
「……メルヴィーナ」
「ひゃ、ひゃい!? あ、あの、もしかして『王魔種』のことが、転生者の一人にバレてしまったことでしょうか!? も、もしかして、私『失楽園』でしょうか!?」
あたふたと慌てるメルヴィーナに、ウルラウールが答える。
「落ち着け。『王魔種』のことには違いないが、お前に罰を与えるということではない。むしろ、お前が被害者かもしれないということだ」
「え? それって、ど、どういう事でしょう?」
事態の把握ができないメルヴィーナに、ディアナミーアが言葉を引き取り続ける。
「あなたの世界『アルティナ』に湧いている『王魔種』が、実は故意に蒔かれたものである可能性が出てきたということです」
その言葉に、メルヴィーナはポカンとしてしまう。
「そ、そんなはずは……わ、私、そんな酷いこと絶対しません!」
「メルヴィーナの仕業じゃないのは分かっているさ」
「じゃ、じゃあ、誰がそんなことを!」
「それを炙り出すために、今から罠を仕掛ける」
「……わ、罠?」
ウルラウールの言葉に、メルヴィーナは再び呆気にとられる。
天界に蠢く悪の正体が、今、ゆっくりと解き明かされようとしているのだった。
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