【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第9章:風神の谷と宿の看板娘編

第14話:ジャイアント

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 扉を開くと、前方にボスモンスターらしき巨人が待ち構えていた。
 ベージュの肌に、白く簾のように下がった髪の毛、黄色く鋭い目に、黒い爪。
 何より、5mほどの筋骨隆々の大きな巨体が目を引く魔物だ。
「鑑定……!」

名前:ジャイアント
危険度:A
説明:ダンジョンに住む巨人の魔物。高い攻撃力を持ち、一つ一つの攻撃が重い。力任せの行動が多い。
素材:『巨人の爪』

「みんな……! ボスのようだ……。気を引き締めろ」
 俺の言葉に、五人が首肯する。
 ジャイアントはこちらをじっと見つめ……そして。
「ガアアアアアアアアアアッ!!」
 大きな咆哮を上げて突っ込んできた。
「キアラ、ロウナ! 後衛に攻撃が向かないように前に出て注意を引くぞ!」
「了解だ!!」
「ああ、分かった!!」
 二人と共に、俺も前に出る。
「グガアアアッ!!」
 ジャイアントが大きく拳を振り上げ、ロウナに向かって振り下ろす。
「遅い!!」
 ロウナはそれを横に避ける。
 ——直後!!
 ドガアアアアアン!!
 地面に叩きつけられた拳の周囲が、クレーターのように凹む。
「ひ、ひええええ……!!」
 あまりの威力にロウナが驚いている。
 あれは防御でもして、まともに受けていたらペシャンコだ。
 チェリーが言っていた『攻撃をくらわないように』というのはこういう事か。
「みんな!! 絶対に攻撃を受けるな! 必ず避けるんだ!」
「「「「「了解!!」」」」」
 俺は、声を張り上げ注意喚起を行う。
「今度はこちらからだ!! 『精霊砲突』————!!」
 キアラが槍から青白い光線を発射する。
 光線は敵の横っ腹に当たる。
 バチバチバチッ!!
「グ……グガアアアッ……!!」
 苦しそうな呻き声を上げるジャイアント。
 当たった部分から、だらりと血が流れる。
 よし……効いている!
 少なくとも、アイアンゴーレムのように物理攻撃が効かないわけではないみたいだ。
 ならば、前衛である程度ダメージを与えられる!
「そこだ!! 『マグナムブレイド』!!」
 俺は、すぐに追加の攻撃を行う。
 バアアアァァン!!
 突きの弾丸がジャイアントの肩にあたり弾ける!
「ガアアアアアッ……!!」
 貫通まではいかないが、弾丸は深く突き刺さったようだ。
 ダラダラと血が流れている。
「グ……ガアアアアアアアアアアッ!!」
 俺たちの攻撃に怒ったのか、バンバンともぐら叩きの要領で拳を叩きつけまくってくる。
 ドガアアン!! ドガアアン!! ドガアアン!!
 拳が地面にぶち当たる度に、クレーターがどんどんできる。
 俺たちも隙を見て攻撃に転じるが、一撃食らえばおしまいという状況で、あまり決定打は与えられない。
 リズも後ろから銃を撃っているが、遠いからかダメージは浅い。
 少しずつだが、ダメージは蓄積していると思うのだが……動きが鈍る様子もない。
「くそ……! どうする、レオ。あまり堪えてないぞ?」
「ああ。相当タフなんだろうな」
 キアラが俺に近づいてきて言う。
 仕方ない……多少危険だが、俺が身体を張ろう。
 俺は、風霊の剣に魔力を溜める。
「行くぞぉおおおっ!!」
 そして、ジャイアントに向かって突撃する。
「『エリアルエッジ』!! 連発だ!!」
 近づきながら、攻撃を放つ。
 V字の風の斬撃が、二つ三つとジャイアントを捉える。
 ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
 斬撃は巨人の腕や足に当たるも、両断とまではいかない。
 ちっ……なかなか皮膚も固いようだ。
 だが、効いていないわけではない。
 ジャイアントは大きく体勢を崩し、よろめく。
「くらえええっ!! 『ルーンブレード』ぉぉおおおおっ!!」
 魔力の刃をグンッと伸ばし、頭めがけて振り下ろす。
 ————が!!
「グガアアアアアアアアッ!!」
 バシィイイイン!!
 巨人は、それを白刃取りの要領で受け止めてくる。
「な、なにっ!?」
「ガ、ガガガガガアアアアアッ……!!」
 巨人の掌はボロボロになっていくも、もちろん、本体にはダメージがない。
 ——そして。
「ガッギャアアッ!!」
 巨人は、掴んだ魔力の刃をそのまま横に振り払った!
「うおあああっ!!」
 俺は巨人のその行動により、凄まじい勢いで振り回され、体勢を崩される!
「ガアアアアアッ!!」
 そして、拳を俺に向かって放ってきた。
「くそ! 避けられない……!!」
 大ダメージを覚悟したその瞬間——!!
「『デッドスピード』————!!」
 急に身体を持ち上げられ、寸でのところで拳を回避する。
 攻撃を回避させてくれたのは——。
 シレイドだった。
「ありがとう。助かったよシレイド」
「むふー……♪ 問題ない……! 後で、シレイドの頭……撫でるといい……!!」
 俺にお礼を言われ、嬉しそうなシレイド。
「ガッガアアアアッ!!」
 ジャイアントは俺に攻撃をすることを諦め、後ろに下がる。
「何する気だ……!?」
 警戒していると、巨人は背後の岩肌に手をやり……!!
「ガアアアアッ…………!!」
 力任せに大岩をもぎ取った。
 そして、それをそのまま——。
「グガアアアアアアアアアッ!!」
 後ろにいるリズとセーラに向かって投げつける!!
「ま、まずい!!」
 俺が焦った瞬間——!!
「『精霊砲突』————————!!」
 大岩に光線がぶち当たってバラバラに砕ける。
「後衛はやらせんぞ……!!」
 キアラがニヤリと笑う。
「グ……ガアアッ……ハァ……ハァ……」
 ダメージを受け続け、放つ攻撃が悉く当たらず、動き回っている巨人はとうとう息を切らし始める。
 だが、こちらも決め手に欠けている……。
 どうする……。
 焦る気持ちを抑えながら、必死に頭を回転させる。
 ——その時。
「むふー……♪ ご主人様……安心する……勝負は多分……もう決まる……」
 シレイドが俺の隣でにんまり笑い、上を指さす。
 そこにいたのは——。
 バチバチと拳に魔力の波動を溜めるロウナの姿だった。
「みんなが気を引いてくれたから、めいっぱい魔力を溜められたぜ!」
 その時、ジャイアントがロウナの姿に気づく!
「ガアアアッ……!? ガアアアアアアアアアアッ!!」
 そして、ロウナめがけて拳を打ち込もうとする……が。
「『シャイン』!!」
 後方から光の矢が飛んできて、巨人の目に刺さる。
 セーラだ。
「ガアッ!?」
 大したダメージはないものの、目くらましにはなった。
 巨人が一瞬竦む。
「くらええええっ!! 新技だ!! 『ドラゴニッククラッシュ』!!」
 ひるんだジャイアントの脳天めがけて、ロウナの拳が炸裂する!!
 その直後——!!
 凄まじい衝突音が鳴り響く!!
 大気が大きく揺れ、赤黒い波動と爆風がロウナの拳を中心に部屋中に広がる!!
「ガ……ガガガ……ガアアアアアアアッ!!」
 ジャイアントの顔面が凹み、軋み、潰れだす!
 ——そして!!
 ボキボキボキボキィィ!!
 巨人の骨が折れる鈍い音が響き渡る。
 そして、波動がようやく収まるころ——。
 ドシシイイイイイイイン!!
 ジャイアントは、こと切れて、地面に大の字に倒れた。
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