【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第9章:風神の谷と宿の看板娘編

閑話:親子で砂浜ピクニック

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「あ、おにいちゃーん!!」
 休暇期間中の、とある午前中。
 俺はワープでポートルートに移動し、タニスのもとを訪れていた。
 家の前の砂浜で遊んでいたタニスの娘、ルルが駆け寄ってきて飛びついてくる。
 俺は、そんな彼女を抱き上げてやる。
「ははは。久しぶりだな、ルル。元気にしてたか?」
「うん! ルルもママも元気いっぱいだよ! おにいちゃんは元気?」
「ああ、元気だぞー」
 メリーゴーランドのようにくるくる回ってやると、ルルは嬉しそうに笑っている。
「ルルー、誰か来たの? ——って、レオ!?」
 ルルの声に気づいたらしく、家から出てくるタニス。
 俺の姿を見て、驚いているようだ。
「久しぶりだな、タニス」
「うん! 来てくれたんだね♪」
「当たり前だ。可愛い彼女に寂しい思いはして欲しくないからな」
「か、可愛い彼女……だなんて。も、もう、こんなおばさん捕まえて……そんな年じゃないのにさ♪」
 バシッと肩をはたいてくるも、タニスは嬉しそうだ。
 うむ。来てよかったな。
「あ、そうだ。お兄ちゃん、これからルルたち、町はずれの砂浜でピクニックするんだ! 一緒に行こうよ♪」
「そうだったのか。一緒に行ってもいいのか?」
「もちろんだよ♪ ルルとあたしだけじゃ、味気なかったところだしね♪」
「そうか。じゃあ、お供させてもらおうかな」
「わーい! ママとおにいちゃんとピクニックー!」
 二人が了承してくれたので、お言葉に甘えて同伴することにした。
 ルルは久しぶりに俺に会えて嬉しいようで、俺に抱っこされたまま、ものすごく甘えてくる。
「ご、ごめんね。ルルったら、あんたのこと、気に入っちゃってるみたいで」
「構わないさ。惚れた女性の子供は、俺にとっても大切な子供だ」
 俺の言葉に少しきょとんとした後「も、もう……バカ♡」と破顔するタニス。
 そんな彼女を見て、ルルも心底楽しそうに笑うのだった。
 そうして、三人で町はずれの砂浜へと向かった。

「こんなところで、何するんだ?」
 目的地の砂浜に着くも、そこにあるのは白い砂浜とだだっ広い海だけだ。
「ピクニック……というか、お料理だね」
「料理?」
「そうだよ。まあ、説明するより見てもらったほうが早いか」
 彼女は、魔法の袋の中から、組み立て式の屋台のようなものを出した。
「こ、これは……?」
「ああ。移動式の屋台さね。町から離れたところとかに魚を卸に行くときに使うんだ。キッチンも一応付いていて、その場で料理もできるのさ」
 なるほど、道の駅とかによくあったキッチンカーのようなものだろう。
「ママの作った焼きそばを、海を見ながら食べると美味しいんだよー♪」
 俺の腕の中で、ルルが嬉しそうに言う。
「ほう。焼きそば、か。俺がいた世界にもあったな」
「ん? ああ、確かレオは異界人だったね。なら、レオが今まで食べた焼きそばの味を超えなきゃね♪」
 タニスは腕まくりをして、屋台の鉄板に向かい合う。
 生活魔法を使い、指先で火をつけ、ヘラを両手に持ち、カンカンと打ち鳴らす。
 うむ。慣れている手つきである。
 これは期待できそうだ。

 次にタニスは、魔法の袋から、海老や貝、キャベツ、ニンジンなどの野菜を取り出し、油を引いて熱した鉄板で炒めていく。
 ジュウジュウと美味そうな音が鳴っている。
 そこで、革袋から取り出したるは黄色い麺。
「ママが打ったんだよー、この麺ー!」
「へえ、そうなのか。すごいな」
 ルルと一緒にタニスが料理しているのをじっと眺める。
「あはは、わりとこういうの凝っちゃうタイプでさ。作るからには、できるだけ自分でやりたいのさ♪」
 タニスも得意げだ。
 彼女は、もちもちした麺を熱した野菜の上に投入。
 そのまま、一緒に混ぜ合わせる。
「えっと……そろそろいいかなー。胡椒と、塩をパッパッと振りかけて、あとは……タニスさん特製秘伝のタレ~♪」
 タニスが取り出した瓶に入った茶色い液体。
 俺とルルはノリノリで「おぉ~!」と声を上げる。
「というか、何が入ってるんだ? そのタレ」
「あはは、早い話が『魚醬』なんだけどね。使ってる魚や塩、発酵期間なんかを工夫してるのさ♪」
 なるほど。『魚醬』か。地域によっては『しょっつる』とかいうやつだな。
 そうして、タニスは魚醤をササッと振りかけて、また炒める。
 魚醬が熱され、美味そうな香りが立ち込める。
 魚介も野菜もいい具合に焼け、茶色く色づいた麵が鉄板で踊る。
「ゴクリ……美味そうだな」
「あはは、おにいちゃん! よだれ出てるよ~!」
「あはは、もう、レオったら。もうすぐできるから、待ってなよ」
 ルルとタニスが目をキラキラさせる俺を見て笑っている。
 うむ。二人とも楽しそうでよかった。
 そうして、タニスが手早く木皿に焼きそばを盛り付け、俺とルルに差し出してくる。
「はい、出来たよ! タニスさん特製海鮮焼きそば! みんなで食べようね!」
「おぉ~!! 美味そう!! いただきます!!」
「わ~い! いっただきまーす!」
 俺とルルはズズズッと麺をすする。
 新鮮な魚介の風味と、シャキシャキの野菜、そして、タニス特製秘伝のタレの旨味がガツンときて、これは——。
「う、美味い!! 美味すぎるよ!! タニス!!」
「ママ、おいしいよ!!」
「ははは、よかったよ。ずずっ……うん! いい味、出てる! 今日も上手くできたよ!」
 大切な人たちと共に、大海原を見ながら、美味い海鮮焼きそばをすする。
 うーん、最高だ。
「幸せだな」
「ふふっ、レオ、大げさだよ♪」
 俺が言うと、タニスがツンと頬をつついてくる。
「いや、本当にそう思うんだよ。俺は、この世界に来るまで、あまり良い思いはしてこなかったからな」
 転生前の人生を思い出す。
 いつも独りで、満足に動けなくて、悔しかった記憶。
 あの時に比べれば、今は天国だ。
 小難しいことを考えていると、タニスがチュッと唇を重ねてくる。
 甘く柔らかく、優しいキス。
「……タニス」
「ふふふ……タレ、ついてたから」
 タニスが頬を赤くして、すべてを見透かすように微笑む。
 敵わないな。彼女には。
「えへへ~、ママとおにいちゃん、ラブラブだ~!」
 ルルが嬉しそうにひやかしてくる。
「も、もう。ルル。ママたちをからかわないの」
 タニスも少し困ったように笑っている。
 うむ。やはり、幸せだ。
 俺は、じんわり温かい気持ちを抱いて、焼きそばをすするのだった。
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