【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第10章:ルクシアの町と女を忘れたギルド団長編

第17話:会議

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 ギンガ総団長に先導されて、ガラテア城の会議室に入る。
 会議室には、ハルカ、アリスさん、ウルス副団長、カーネル卿、スターク卿、ルーティアの代理であるエルフの女大臣、そして、メルヴィーナを始めとする三人の女神たちが待っていた。
 ゼルフィア団長は毒の治療のため、医務室で休んでいるようだ。
 部屋の中央には怪しげに光る水晶玉が置かれていた。
「彼女たちは無事だったかの? レオ」
「あ、あはは。は、はい」
 からかうように聞いてくるアリス団長に乾いた返答をする。
「はぁ……まさか、レオ君がそんなに女たらしだったとは……なんか、ショック……」
 ハルカからジト目で睨まれる。
「そんなことよりお話を始めましょう。楽観視できる話じゃないですしね。メルヴィーナさんたちだったわね……此度の騒動、知っていることがあるようですし、話していただけますか?」
 キリっとした理知的な眼鏡姿の大臣さんが女神たちに話をするように促す。
「分かりました」
 メルヴィーナが真剣な顔で頷き、話し出す。
 自分たちがこの世界を創造した天界の女神であること。
 件の水色の玉『王魔種』が、魔物に力を与え、進化を促すものであるということ。
 王魔種が意図的にこの世界に撒かれたものであること。
 その犯人が、先ほどのオレンジ髪の男アブランで、彼が自分たちと同じ神であること。
 アブランの目的が、この世界を混沌に陥れて滅ぼすことであること。
 その為に、これから王魔種を使い、様々な策を講じてくるであろうということ。
 今回のルクシアのスタンピードはその一環だと思われるということ。
 俺が知っていることもあれば、知らないこともあった。
 もちろん、他の者たちは知らないことだらけだったのだろう。
 目を見開いたり、鋭くして驚いているようだった。
「そ、そんな馬鹿な話……! 第一、お前たちが神だとか、神界がどうだとか……!!」
「止めなよ、アリスくん。この子達が言ってることは、僕が把握している事態にも概ね一致する。……あの水色の玉……『王魔種』の事とかね。恐らく、嘘は言ってないんだろうさ」
 思わず声を上げるアリスさんを制止するギンガ総団長。
「私も同感だ。スタークやギンガを一撃で吹っ飛ばせる人間など、そうおらんだろうしな」
「……フンッ」
 カーネルもギンガ総団長の意見に同調する。
 スタークも不服そうだが、異論はないようだ。
「女神……となると『女神の加護』を持っているレオ君やハルカ君とメルヴィーナさんたちは、何か接点があるのかな?」
「はい。俺が異世界からこの世界に転生する際に、お世話になりました。面識ももちろんあります」
「私もです。記憶が正しければ、間違いなくこの女神さまだと思います」
 ウルス副団長の問いかけに、俺とハルカが返答する。
「なるほど。一応、裏は取れてしまったようですね」
 ガラテアの女大臣さんが、くいっと眼鏡を上げて言う。
「ついては、今後の対応だねぇ。ここまで話が大きくなっちゃったら、もうこの国だけじゃなく、この世界『アルティナ』全体の問題だろうしねぇ」
「ルクシアやガラテアの問題もある。瘴気は依然として漂っておるし、魔物の凶暴化や進化、近辺の動物たちの魔物化も見られておる。この周辺に住むのは危険じゃ」
 ギンガ総団長とアリス団長が苦い顔で言う。
 ——その時。
「……もうよい、分かった。妾が話をまとめる」
 会議室に鈴の鳴るような声が広がる。
 声の元は、部屋の中央の水晶玉からだ。
「これは一体?」
「こ、こら!! 『これ』とは失礼じゃぞ!! この水晶玉と繋がるは、このアルバイン王国の女王『オルフィア』様じゃぞ!!」
 俺の言葉に、アリス団長が焦ったように言う。
「よい。それより、各々に命を下す」
 水晶玉から再び、凛とした声が響く。
「まずはカーネル、スターク。ルクシア地方の民を全員、別の町に移住させられるよう手配しろ。一人残らずじゃ。妾の方から方々の町や村に話を通しておく」
「承知しました」
 女王の命に、カーネル卿が厳かに答える。
「ガラテアの大臣、そちらもじゃ」
「私たちにこの森を捨てろと?」
「死ぬよりはマシであろう。命あっての物種じゃ。移住先の森には妾が責任を持って話をつける。選択権はない。気に入らぬなら、この国から出ていけ」
「……ルーティア女王に伝えておきます」
 流石に一存では決められないのだろう、大臣はそう言って押し黙った。
「ギンガ。各町のS級の魔物と戦える冒険者たちを、いつでも遠征に出せるように準備させておけ。実は、魔物の大量発生(スタンピード)や魔王族の出現などの怪しい動きが世界各地で起こっておるようでな。援助を求める親書が山のように届いておる。この国からも援軍を派遣する手筈じゃ」
「承知したよ」
 ギンガ総団長も静かに頷く。
「して、レオとハルカ……だったか?」
「は、はい!」
「な、なんでしょうか!?」
 呼ばれると思ってなかったので、俺とハルカは素っ頓狂な声で返事をする。
「そなたらにも遠征に出向いてもらうやもしれん。準備しておけ」
 女王が冷静な声で言う。
「お、お言葉ですが……俺のパーティにはまだ荷が重いかと……。現に、先の戦いでも俺以外のメンバーは戦える状態じゃなくなってしまいましたし」
「わ、私のクランもです! 瘴気に当てられて、メンバーは戦えませんでした」
 俺とハルカが声を上げる。
 ビビっているわけじゃない。
 冒険というのは基本、危険と安全が同居しているものだが、今回のドラゴンゾンビとの戦いにおいては危険しか感じなかったのだ。
 カーネル卿やギンガ総団長たちがいなかったら確実に死んでいた。
 パーティのリーダーとして、死が明確になっている冒険に仲間を連れだすことはできない。
 そう思っていると……。
「そなた等は戦えたではないか」
 ひどく冷静なままで返される。
「それは恐らく、私が授けた『女神の加護』の効果があったから瘴気に飲まれずに動けただけのことです。加護がない状態なら、他の方と同じように戦えなかったでしょう」
 メルヴィーナが入ってきてくれる。
「ふむ。じゃが、その『加護』とやらがレオやハルカにはあるのじゃろう? なら、同時に瘴気を受けても『動ける』ということじゃ。ギルドに所属し、この国に居る以上、我が命を受けてもらう」
 にべもない声色で、淡々と言う女王。
「女王くん。流石に、ギルドの総団長として、団員をそんな風に使われちゃあ黙ってられないよ」
 ギンガ総団長が飄々としつつも、やや鋭い言葉で女王に切り込む。
「案ずるな。なにも、こやつらだけで行かせるとは言ってなかろう。相応の力を持つ者たちに帯同してもらうということじゃ。お前やスターク、その他の力のある者たちとの遠征にな」
 女王がギンガ総団長に答える。
「ただし、動けない者たちの同行は制限させてもらう。妾も『動けぬ』者たちを死地に放り込み、みすみす死なせる気はないしの」
「というと?」
「2人じゃ。レオたちだけではない。S級クラスの魔物の瘴気と対峙して動けぬ者の同行は原則、1組につき2名のみとする」
「なるほどねぇ。S級の圧に耐えられる冒険者を遠征に行かせて、尚且つ、その冒険者の同行者は2名のみ許可すると」
「そういうことじゃ。その数なら世話役としても事足りるじゃろう」
 ギンガ総団長と女王が会話を進める。
 つまり、俺が遠征に駆り出されるときに、俺のパーティから同行させることができるのは2名のみ。例とするならば『俺とリズとシレイド』や『俺とキアラとロウナ』といった具合だろう。
「最後になったが、メルヴィーナとか言ったの」
「はい」
「妾はオカルトの類は信用せん。天界だとか神だとか、正直に言えば信じておらん」
「ええ、国の長として真っ当な答えです」
「じゃが、妾は民たちの言葉は何よりも信じる。確かにルクシアにスタンピードが起こり、王魔種とやらを持つドラゴンゾンビが現れ、オレンジ髪の男が妾の民たちを傷つけた」
「その通りです」
「その落とし前は、同族のそなたたちが取ってくれる……ということでいいのじゃな?」
「ええ。神の不始末は神に任せてほしいです」
「分かった。必ずそのオレンジ髪の男を探し出し仕留めるのじゃ。それまではこの国で自由に過ごしてもらってよい」
「分かりました。協力、感謝します」
 オルフィア女王とメルヴィーナの淡々とした会話が終わる。
「では、皆の者。此度の戦い、各々ご苦労であった。まずはゆっくりと体を休めよ。以上だ」
 水晶玉から放たれている光が消え、声がなくなった。
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