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第11章:落星の森と紫煙の魔術師編
第12話:混合獅子キマイラ
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——翌日。
俺たちはボスモンスターであるキマイラを倒すため、落星の森のボス部屋前にワープした。
「よし……行くぞ、みんな。気合い入れろ」
「うん!」
「ん……」
「ああ」
「はい!」
「やってやるぜ」
五人も気合十分だ。
俺たちはボス部屋へと足を踏み入れた。
鬱蒼とした木々が周りを取り囲むエリア。
その奥に、件の魔物はいた。
獅子と山羊の頭に、悪魔のような羽、蛇の尻尾を持っている。
体長は3mほど。
鑑定をかける。
名前:キマイラ
危険度:A+
説明:複数の動物と魔物が瘴気を浴びて合体し、魔物化した姿。火を吐き、空を飛び、毒を持つ強力な魔物。
素材:『混合獅子の毛皮』
レア素材:『混合獅子の爪』
どうやら当たりのようだ。
やはり『混合獅子の血』の表記はない。
相手はこちらをジロリと睨みながら、一歩二歩と足を動かし様子を見ている。
俺たちも武器を構えて戦闘態勢を取り、相手に隙ができるのを待つ。
膠着状態の中、先に動いたのはキマイラだった。
「ガアアアアアアアアアッ!!」
凄まじい迫力で飛びかかってくるキマイラ。
「おらあああああああっ!!」
かち合ったのはロウナだった。
混合獅子の振り上げられた両腕を掴み、動きを封じる。
「『マグナムブレイド』!!」
「『精霊強化(スピリットエンチャント)』!! 『精霊砲突』!!」
その隙に、俺とキアラがキマイラに攻撃を加えた。
バチバチ!! バチィイイイイン!!
その攻撃は混合獅子の腹部にヒットし、バックリと傷をつける。
よし、効かないわけじゃない……!
ロウナが動きを封じてくれている内に、俺とキアラは次の攻撃を構える。
——だが。
「ぐわあああああっ!!」
直後、ロウナの叫び声が聞こえる。
見ると、キマイラの山羊の頭がグッと伸びて、彼女の左腕に嚙みついている。
「まずい……!! リズ!!」
「はい!! 『ヘビーショット』!!」
俺の呼びかけにリズがすぐさま弾丸を発射。
山羊の頭を打ち抜く。
「グガアアアアッ!!」
噛みつくのをやめて仰け反るキマイラ。
「ロウナ!! 下がれ!!」
「こっちだ!! 化け物!!」
俺はロウナに後退の指示を出し、直後、キアラが注意を引く。
「はあああっ!!」
キアラの槍がキマイラの右前足を貫く。
「ガアアアアッ!?」
怯んだかと思った——その瞬間!!
「グガアッ!!」
相手は鋭い爪をキアラに振り下ろす!!
ザクッ!!
「ぐぅううっ……!?」
その爪は、突き出している彼女の右手を捉えた。
ダラダラと手から血を流すキアラ。
だが、それだけじゃない。
どんどん彼女の顔色が悪くなっている。
あれは……毒をくらったのか!?
「はああああああああっ!!」
俺はキアラを救うべく、風神剣で相手を薙ぎ払う!!
「ギャウウウウウッ!!」
斬撃はキマイラの左腕を捉えて……。
ザクン!!
見事に切り落とした。
「シレイド!! キアラを回収してくれ!!」
「ん……!! 『デッドスピード』……!!」
キマイラが悶えている隙に、目にも止まらぬ速さでキアラを担ぎ上げて、後ろに下がるシレイド。
すぐさま、セーラが状態異常回復魔法をかけている。
キマイラの大きな隙を、俺も逃さない。
「おらああああああっ!!」
風神剣を振り下ろし、奴の山羊の頭を切り落とす!!
「グギャオオオオッ!!」
悲鳴にも似た大きな鳴き声を上げるキマイラ。
蛇の尾が、俺に嚙みつこうと伸びてくる……が!!
「『隕石鼠弾』……『ウィークショット』!!」
リズの弾丸が、その尾を捉えて爆発する。
満身創痍となったキマイラ。
……俺たちの勝ちだ。
勝利を確信し、俺は空を見上げる。
そこには、はち切れんばかりの波動を放つロウナの姿があった。
「さっきは、よくもやってくれたな!! 覚悟しな……『ドラゴニッククラッシュ』!!」
ロウナの拳がキマイラの獅子の頭に直撃し……!!
バキバキバキバキ……!!
周囲に波動と爆風が生まれ、その頭を叩き潰す。
キマイラは地面に押しつぶされてピクピクと痙攣した後、動かなくなる。
「反応消滅!! 倒せたよ!!」
リズが嬉しそうにアナウンスしてくれる。
キアラを見ると、セーラに支えられながらサムズアップしてくれる。
良かった。どうやら無事のようだ。
「よし!! 俺たちの勝ちだ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
俺は高らかに宣言し、五人が応えてくれる。
少しの間、休んだ後でキマイラの素材を剥ぎ取る。
素材を確認しつつ解体する。
奴の血を瓶一杯に入れて鑑定を行う。
名前:混合獅子の血
素材ランク:S+
説明:キマイラの隠し素材。様々な動物や魔物の遺伝子を持った血液。古くは『不老不死』の力があるとされていた。使い方によっては危険な素材のため、取り扱い注意。
ふむ。どうやら上手く回収できたようだ。
「それにしてもシャロンは、なんでこんな物を欲しがったんだろうか」
「うーん……不老不死になろうとしているとか? あはははは、まさか……ね?」
「うーむ、あながち否定はできんな」
俺の言葉に、リズが少しおどけながら考えを言う。
その考えにキアラも同調しているようだ。
「シレイドは何か分かるか?」
「んー……シレイド、この素材は見たことない……だから、分かんない……」
なるほど。シレイドも分からないか。
それだけ希少な素材だということだろう。
「とにかく、ダンジョンも無事に踏破できましたし、持って行って差し上げましょう」
セーラの言葉に「そうだな」と答える。
そうして『落星の森』を踏破した俺たちはエルゼリアに帰還した。
俺たちはボスモンスターであるキマイラを倒すため、落星の森のボス部屋前にワープした。
「よし……行くぞ、みんな。気合い入れろ」
「うん!」
「ん……」
「ああ」
「はい!」
「やってやるぜ」
五人も気合十分だ。
俺たちはボス部屋へと足を踏み入れた。
鬱蒼とした木々が周りを取り囲むエリア。
その奥に、件の魔物はいた。
獅子と山羊の頭に、悪魔のような羽、蛇の尻尾を持っている。
体長は3mほど。
鑑定をかける。
名前:キマイラ
危険度:A+
説明:複数の動物と魔物が瘴気を浴びて合体し、魔物化した姿。火を吐き、空を飛び、毒を持つ強力な魔物。
素材:『混合獅子の毛皮』
レア素材:『混合獅子の爪』
どうやら当たりのようだ。
やはり『混合獅子の血』の表記はない。
相手はこちらをジロリと睨みながら、一歩二歩と足を動かし様子を見ている。
俺たちも武器を構えて戦闘態勢を取り、相手に隙ができるのを待つ。
膠着状態の中、先に動いたのはキマイラだった。
「ガアアアアアアアアアッ!!」
凄まじい迫力で飛びかかってくるキマイラ。
「おらあああああああっ!!」
かち合ったのはロウナだった。
混合獅子の振り上げられた両腕を掴み、動きを封じる。
「『マグナムブレイド』!!」
「『精霊強化(スピリットエンチャント)』!! 『精霊砲突』!!」
その隙に、俺とキアラがキマイラに攻撃を加えた。
バチバチ!! バチィイイイイン!!
その攻撃は混合獅子の腹部にヒットし、バックリと傷をつける。
よし、効かないわけじゃない……!
ロウナが動きを封じてくれている内に、俺とキアラは次の攻撃を構える。
——だが。
「ぐわあああああっ!!」
直後、ロウナの叫び声が聞こえる。
見ると、キマイラの山羊の頭がグッと伸びて、彼女の左腕に嚙みついている。
「まずい……!! リズ!!」
「はい!! 『ヘビーショット』!!」
俺の呼びかけにリズがすぐさま弾丸を発射。
山羊の頭を打ち抜く。
「グガアアアアッ!!」
噛みつくのをやめて仰け反るキマイラ。
「ロウナ!! 下がれ!!」
「こっちだ!! 化け物!!」
俺はロウナに後退の指示を出し、直後、キアラが注意を引く。
「はあああっ!!」
キアラの槍がキマイラの右前足を貫く。
「ガアアアアッ!?」
怯んだかと思った——その瞬間!!
「グガアッ!!」
相手は鋭い爪をキアラに振り下ろす!!
ザクッ!!
「ぐぅううっ……!?」
その爪は、突き出している彼女の右手を捉えた。
ダラダラと手から血を流すキアラ。
だが、それだけじゃない。
どんどん彼女の顔色が悪くなっている。
あれは……毒をくらったのか!?
「はああああああああっ!!」
俺はキアラを救うべく、風神剣で相手を薙ぎ払う!!
「ギャウウウウウッ!!」
斬撃はキマイラの左腕を捉えて……。
ザクン!!
見事に切り落とした。
「シレイド!! キアラを回収してくれ!!」
「ん……!! 『デッドスピード』……!!」
キマイラが悶えている隙に、目にも止まらぬ速さでキアラを担ぎ上げて、後ろに下がるシレイド。
すぐさま、セーラが状態異常回復魔法をかけている。
キマイラの大きな隙を、俺も逃さない。
「おらああああああっ!!」
風神剣を振り下ろし、奴の山羊の頭を切り落とす!!
「グギャオオオオッ!!」
悲鳴にも似た大きな鳴き声を上げるキマイラ。
蛇の尾が、俺に嚙みつこうと伸びてくる……が!!
「『隕石鼠弾』……『ウィークショット』!!」
リズの弾丸が、その尾を捉えて爆発する。
満身創痍となったキマイラ。
……俺たちの勝ちだ。
勝利を確信し、俺は空を見上げる。
そこには、はち切れんばかりの波動を放つロウナの姿があった。
「さっきは、よくもやってくれたな!! 覚悟しな……『ドラゴニッククラッシュ』!!」
ロウナの拳がキマイラの獅子の頭に直撃し……!!
バキバキバキバキ……!!
周囲に波動と爆風が生まれ、その頭を叩き潰す。
キマイラは地面に押しつぶされてピクピクと痙攣した後、動かなくなる。
「反応消滅!! 倒せたよ!!」
リズが嬉しそうにアナウンスしてくれる。
キアラを見ると、セーラに支えられながらサムズアップしてくれる。
良かった。どうやら無事のようだ。
「よし!! 俺たちの勝ちだ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
俺は高らかに宣言し、五人が応えてくれる。
少しの間、休んだ後でキマイラの素材を剥ぎ取る。
素材を確認しつつ解体する。
奴の血を瓶一杯に入れて鑑定を行う。
名前:混合獅子の血
素材ランク:S+
説明:キマイラの隠し素材。様々な動物や魔物の遺伝子を持った血液。古くは『不老不死』の力があるとされていた。使い方によっては危険な素材のため、取り扱い注意。
ふむ。どうやら上手く回収できたようだ。
「それにしてもシャロンは、なんでこんな物を欲しがったんだろうか」
「うーん……不老不死になろうとしているとか? あはははは、まさか……ね?」
「うーむ、あながち否定はできんな」
俺の言葉に、リズが少しおどけながら考えを言う。
その考えにキアラも同調しているようだ。
「シレイドは何か分かるか?」
「んー……シレイド、この素材は見たことない……だから、分かんない……」
なるほど。シレイドも分からないか。
それだけ希少な素材だということだろう。
「とにかく、ダンジョンも無事に踏破できましたし、持って行って差し上げましょう」
セーラの言葉に「そうだな」と答える。
そうして『落星の森』を踏破した俺たちはエルゼリアに帰還した。
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