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第11章:落星の森と紫煙の魔術師編
第17話:遠征命令
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——朝。
シャロンと熱い一夜を過ごし、いつの間にか眠ってしまった俺が目を覚ますと隣で微笑みながら彼女が見つめていた。
「シャロン……おはよう。起きてたのか?」
「ええ。可愛い彼氏くんの寝顔をた~っぷり堪能させてもらったわよ」
俺の問いかけに冗談めかして答えてくる。
「恥ずかしいな、それは」
「いいじゃない……昨日は私の恥ずかしい姿、いっぱい見たんだし。おあいこよ……んちゅ♡」
そう言うと、彼女が軽く口づけをしてくる。
「今、何時だ?」
「朝の四時くらいかしら。そろそろ帰る?」
「いや。もうちょっと居たいな。せっかくシャロンと恋人になれたんだし」
彼女の問いにそう言って、大きな尻を鷲掴みにしてやる。
「あんっ♡ もう♡ そんな事されたら、また、盛っちゃうわよ? 私、これでも性欲強いんだから……♡」
シャロンがいじらしく言ってくる。
「もう一回してもいいぞ……と言いたいところだけど、流石に疲れたしな。またの機会にしよう」
俺が尻から手を離すと、彼女は少し残念そうな目をしながら「待ってるわよ」と囁いてくる。
ううむ。ずぶずぶとハマっていってしまいそうな妖艶さだ。
いわゆる、魔性の女である。
二人で風呂に入り身体を綺麗にした後、服に着替えてソファーで一休みする。
シャロンは俺の肩に頭を預けて、なんとも幸せそうである。
交わす言葉は少ないが、甘く心地よい時間が過ぎていく。
「そうだ。シャロン、まだ熊の手料理って食べてるか?」
「いいえ、食べてないわ。レオくんに貰った『灰色の熊掌』は、かなり前に切れちゃってね。ルクシアで探してみたんだけど、どこかのグルメな貴族さんが買い占めちゃってたみたいで」
哀しそうに答えるシャロン。
そんな彼女に、俺はある物をプレゼントする。
取り出したるは『落星の森』で倒したブラックベアの素材『黒色の熊掌』だ。
「こ、これ……!?」
「ああ。たまたま攻略中に倒してな。もしかしたらと思って、換金せずに取っておいたんだ」
「ありがとう、レオくん! 『黒色の熊掌』は『灰色の熊掌』よりもグレードが高いのよ! 味も深みが増して、すっごく美味しいんだから♪」
途端にテンションが上がるシャロン。
やはり換金しないで良かったな。
「ははは。やっぱり、相変わらず熊の手料理は大好きなんだな」
「熊の手料理というよりも……一癖二癖ある一般受けしないような料理が好きなのよね。苦い香草たっぷりのサラダとか、ちょっと臭みのある川魚の煮込みとか」
「そうだったのか。なら、それらしい何かを見つけたら持ってくるよ」
「ふふふ。楽しみにしているわ」
彼女はそう言って『黒色の熊掌』を大事そうに『魔法の保管箱』に仕舞っていた。
「そうだわ……レオくんに渡したいものがあるの」
「ん? なんだ?」
「これ、受け取って?」
彼女が渡してきたのは十冊ほどの魔法書だ。
「確か、中級魔法までは使えたでしょう? これは更に上の『上級魔法』の魔法書よ。火・水・風・土の四つの属性の単体・複数魔法を揃えたわ」
「こ、こんなの貰っていいのか?」
「もちろんよ。共犯……なんだし♡ それに、私の彼氏でもあるしね♪」
俺の言葉に小悪魔っぽくウインクしてくるシャロン。
可愛い彼女である。
俺はありがたくその魔法書を受け取った。
「それと……そろそろギルドの冒険者に国からの遠征指令が下されるそうよ」
「本当か?」
「ええ。とある信用できる伝手で得た情報だから間違いないわ」
シャロンが真剣な面持ちで言う。
「俺はどの国に派遣されるんだろうな」
「色んな国から救難依頼は来ているみたいだけど……レオくんは砂漠の王国『オラシア』辺りになるんじゃないかしら」
「……砂漠の王国『オラシア』?」
ふむ。聞いたことのない国だ。
「ポートルートから海に出て、南にある砂の大陸の国よ。昼は灼熱、夜は極寒の厳しい土地。最近、国と市民とで対立しているらしくて危険な状態みたいね」
「うーむ……邪神や王魔種は関係なさそうだが」
「それがそうでもないのよ。国と反乱軍が戦っている戦場で多数の魔物の軍が目撃されているらしくてね。双方が相手方の兵だと言っているようなの」
なんとも大変な状況だな。
「とにかく、気を付けてね」
彼女が心配そうに俺の肩に頬を擦り付けてくる。
俺は「ありがとう」と言って、彼女の頭を撫でてやる。
ともあれ、せっかく『落星の森』というダンジョンを踏破したのだ。
しばらくはまた、休暇という形を取ってもいいだろう。
遠征要請があるのなら、近いうちに否が応でも働かなければいけなくなる。
普通のサラリーマンなら毎日出勤生活をしないといけないだろうが、ここは異世界。
いざという時の保障こそないが、冒険者は生きるペースは自分で決められる。
魔物や賊と命のやり取りをするので、肉体的にも精神的にも負担が大きいのがネックだが。
ともあれ、経済的にも初期に比べて随分と潤沢になってきたのだ。
のんびりしつつ、締めるときは締める。
そうして、また勤勉に働き『最高に幸せな人生』を目指して努力する。
それが俺の、第二の人生の道であり、ポリシーだ。
俺はシャロンと気が済むまでいちゃついた後、宿に戻ってパーティのみんなに休暇期間を取ることを伝えるのだった。
シャロンと熱い一夜を過ごし、いつの間にか眠ってしまった俺が目を覚ますと隣で微笑みながら彼女が見つめていた。
「シャロン……おはよう。起きてたのか?」
「ええ。可愛い彼氏くんの寝顔をた~っぷり堪能させてもらったわよ」
俺の問いかけに冗談めかして答えてくる。
「恥ずかしいな、それは」
「いいじゃない……昨日は私の恥ずかしい姿、いっぱい見たんだし。おあいこよ……んちゅ♡」
そう言うと、彼女が軽く口づけをしてくる。
「今、何時だ?」
「朝の四時くらいかしら。そろそろ帰る?」
「いや。もうちょっと居たいな。せっかくシャロンと恋人になれたんだし」
彼女の問いにそう言って、大きな尻を鷲掴みにしてやる。
「あんっ♡ もう♡ そんな事されたら、また、盛っちゃうわよ? 私、これでも性欲強いんだから……♡」
シャロンがいじらしく言ってくる。
「もう一回してもいいぞ……と言いたいところだけど、流石に疲れたしな。またの機会にしよう」
俺が尻から手を離すと、彼女は少し残念そうな目をしながら「待ってるわよ」と囁いてくる。
ううむ。ずぶずぶとハマっていってしまいそうな妖艶さだ。
いわゆる、魔性の女である。
二人で風呂に入り身体を綺麗にした後、服に着替えてソファーで一休みする。
シャロンは俺の肩に頭を預けて、なんとも幸せそうである。
交わす言葉は少ないが、甘く心地よい時間が過ぎていく。
「そうだ。シャロン、まだ熊の手料理って食べてるか?」
「いいえ、食べてないわ。レオくんに貰った『灰色の熊掌』は、かなり前に切れちゃってね。ルクシアで探してみたんだけど、どこかのグルメな貴族さんが買い占めちゃってたみたいで」
哀しそうに答えるシャロン。
そんな彼女に、俺はある物をプレゼントする。
取り出したるは『落星の森』で倒したブラックベアの素材『黒色の熊掌』だ。
「こ、これ……!?」
「ああ。たまたま攻略中に倒してな。もしかしたらと思って、換金せずに取っておいたんだ」
「ありがとう、レオくん! 『黒色の熊掌』は『灰色の熊掌』よりもグレードが高いのよ! 味も深みが増して、すっごく美味しいんだから♪」
途端にテンションが上がるシャロン。
やはり換金しないで良かったな。
「ははは。やっぱり、相変わらず熊の手料理は大好きなんだな」
「熊の手料理というよりも……一癖二癖ある一般受けしないような料理が好きなのよね。苦い香草たっぷりのサラダとか、ちょっと臭みのある川魚の煮込みとか」
「そうだったのか。なら、それらしい何かを見つけたら持ってくるよ」
「ふふふ。楽しみにしているわ」
彼女はそう言って『黒色の熊掌』を大事そうに『魔法の保管箱』に仕舞っていた。
「そうだわ……レオくんに渡したいものがあるの」
「ん? なんだ?」
「これ、受け取って?」
彼女が渡してきたのは十冊ほどの魔法書だ。
「確か、中級魔法までは使えたでしょう? これは更に上の『上級魔法』の魔法書よ。火・水・風・土の四つの属性の単体・複数魔法を揃えたわ」
「こ、こんなの貰っていいのか?」
「もちろんよ。共犯……なんだし♡ それに、私の彼氏でもあるしね♪」
俺の言葉に小悪魔っぽくウインクしてくるシャロン。
可愛い彼女である。
俺はありがたくその魔法書を受け取った。
「それと……そろそろギルドの冒険者に国からの遠征指令が下されるそうよ」
「本当か?」
「ええ。とある信用できる伝手で得た情報だから間違いないわ」
シャロンが真剣な面持ちで言う。
「俺はどの国に派遣されるんだろうな」
「色んな国から救難依頼は来ているみたいだけど……レオくんは砂漠の王国『オラシア』辺りになるんじゃないかしら」
「……砂漠の王国『オラシア』?」
ふむ。聞いたことのない国だ。
「ポートルートから海に出て、南にある砂の大陸の国よ。昼は灼熱、夜は極寒の厳しい土地。最近、国と市民とで対立しているらしくて危険な状態みたいね」
「うーむ……邪神や王魔種は関係なさそうだが」
「それがそうでもないのよ。国と反乱軍が戦っている戦場で多数の魔物の軍が目撃されているらしくてね。双方が相手方の兵だと言っているようなの」
なんとも大変な状況だな。
「とにかく、気を付けてね」
彼女が心配そうに俺の肩に頬を擦り付けてくる。
俺は「ありがとう」と言って、彼女の頭を撫でてやる。
ともあれ、せっかく『落星の森』というダンジョンを踏破したのだ。
しばらくはまた、休暇という形を取ってもいいだろう。
遠征要請があるのなら、近いうちに否が応でも働かなければいけなくなる。
普通のサラリーマンなら毎日出勤生活をしないといけないだろうが、ここは異世界。
いざという時の保障こそないが、冒険者は生きるペースは自分で決められる。
魔物や賊と命のやり取りをするので、肉体的にも精神的にも負担が大きいのがネックだが。
ともあれ、経済的にも初期に比べて随分と潤沢になってきたのだ。
のんびりしつつ、締めるときは締める。
そうして、また勤勉に働き『最高に幸せな人生』を目指して努力する。
それが俺の、第二の人生の道であり、ポリシーだ。
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