青い薔薇と金色の牡丹【BL】

第四章【学園都市】

第四十五話 オーケンへ

　一行に帰って来た時は、まだ入国手続きが終わっていないようだった。

　ラブラドさん、カルダーさん、バネルさんとウェイドさんが入国手続きのため働いてくれている。
　荷物番と御者は入れ替わりで、その中から3人出てくれた。

　アキトとリチアさんと俺でかるたのような遊びをする。3人とも文字を習い始めたばかりで、接戦だった。
　アキトは頭が良いんだと思う。後ろでポニーテールにしたアキトが俺を見ると、にこりと笑ってくれた。可愛い。


　しばらく時間を潰していると、荷物のチェックが済んだらしい。
　馬車に乗り込んで、国境を越えるとあまり変わり映えしない景色が並んでいた。
　それでも大自然は充分に美しい。この世界では、ぽつぽつと家があるというようなことはなく、村に着くまで人工物らしき物はあまり見当たらなかった。


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　オーケンに入ったとはいえ、王都に行くまでにはまだ時間がかかる。オーケンの王都は学園都市とも呼ばれているらしい。
　エリオネルは、母校のリリム魔道学院で調べ物をするって言っていた。
　エリオネルの母校かー、めっちゃ見たい！俺も入れるのか聞いたら、考えておくねと言われた。

　その日から、エリオネルの鬼の文字特訓が始まった。

　エリオネルは基本でろでろになるくらい優しいが、怒らせてはダメなんだと本能でわかるくらい怖い。休憩は挟むが、学校行ってるより全然キツかった。
　そして、夜はとことん甘えさせてくれる。飴と鞭がすごい。

　特訓が始まって2週間ほどで、独学で覚えていた文字がスラスラ読めるほどになった。


「マリヤ、ご褒美何がいい？」

「とりあえずぐうたらしたい」

「わかった。私も居ていい？」

「ぐうたらに？逆にいいの？暇じゃない？」

「マリヤとイチャイチャするから暇じゃないよ」

　ホント、羞恥心どこに置いてきたのかって発言をたまにするから困る。それで俺から迫るとめっちゃ可愛い反応するんだから。ホント、どうしてくれようか。


　そういえば、あれから土の精霊を呼び出した。場所は広い高原で、もぐらの形をした精霊がぽこぽこっと出てきて可愛かった。
　これで水、風に続き土の属性があることが確認できた。

　悪魔も2体居て、やはり2体とも消えてしまったらしい。ただ、よくよく検証してみると、悪魔の消える距離が違うみたいだった。
　これは悪魔の強さによるのではないかということだった。

　オーケンに入って、明らかに変わったことが一つある。獣人と呼ばれる人たちの比率が多くなってきたことだ。
　オーケンの次の次に行くハルームという国は、獣人の国と呼ばれているそうで、その影響かオーケンには、色んな獣人が居るそうだ。

　最初に居たグラム・ヘブンは獣人差別が酷いとかで、ほとんど奴隷にしか居ないらしい。獣人差別のある国は、世界の半分ほどで、黒髪差別は世界のほとんどの国がそうなんだそうだ。
　黒髪差別がない、逆に黒髪至上主義なのは黒曜国こくようこくと呼ばれる国しかないらしい。異世界厳しい。