青い薔薇と金色の牡丹【BL】

水月 花音

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第五章【機械都市】

第七十五話 消毒

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「エ、エリオネル」

 エリオネルは俺をちらっと見た後、容赦なくキリッシュさんに蹴りを入れる。そのあと、《鈍化》をかけてキリッシュさんを動けなくしていた。
 彼は、上着を脱いで俺の方に来た。久しぶりのエリオネルにびくっとしてしまったけど、上着を掛けられて、優しく抱き上げられて涙腺が崩壊してしまった。

「エリオネル!さ、寂しかった」

「私もだよ」

「何で俺のこと避けてたの?」

 涙が止まらなくて、泣きながらエリオネルに問いかける。

「………。マリヤのこと、我慢しようとしたら全部避けることになった」

「ひ、人前でイチャイチャしたくないって、言ったから?」

 ひっくひっくと泣きながらエリオネルに聞く。

「そうだよ。夜でさえ二人になれなくて、気が狂いそうだった」

 抱き上げたまま、エリオネルが俺を抱きしめた。久しぶりのエリオネルの匂いに安心する。でも、同時に体がドクドクし始めて、俺の体マジでどうなってんだろーと思った。

「エリオネル、いっぱいイチャイチャしたい」

「………!」

 エリオネルにキスすると、彼はビクッと体を揺らして止まった。

「だ、ダメだった?」

 最近、キスもしてなかったから不安になる。ぽかん、とした顔のエリオネルに、余計に不安が募った。

「マリヤ、あの、皆見てるんだけど」

「へっ!?」

 辺りを見回すと、いつもの面々が顔を逸らして赤面している。それに気づいて、俺もカーッと顔が赤くなった。

「天幕行くから、待って」

 エリオネルに抱っこされたまま、天幕に連れて来られる。恥ずかしくて顔が上げられない。

「マリヤ?」

 ベッドに降ろされて、天幕に着いたのだとわかった。というか、さっきからやたらと体が熱い。

「エリオネル、……なんか変」

「何が?どうしたの?」

「体が熱い……」

 はあはあと息が上がって、体が熱っていた。触られてもいないのに、痛いくらいに勃ってる。

「何か飲まされた?」

「う……うん」

 それにしても熱い。シャツをプチプチと脱ぐと、エリオネルがこちらを凝視しているのに気がついた。
 ベッドに横たわったまま彼を見る。ゆっくり見せるように脱ぐと、エリオネルは覆い被さってきた。

「ふ……う、ん……」

 性急な口づけに、酔ったみたいに夢中になる。舌を入れると、ちゅうと吸いつかれた。痺れたように体が甘く疼いて、挿れてほしくなる。

「エリオネル」

 エリオネルの右手を口まで持ってきて、人差し指と中指をしゃぶる。あ、エリオネルの指気持ちいい。口の中が性感帯になったみたいだった。
 夢中でしゃぶっていると、ずるっと急に引き抜かれる。

「あっ」

「マリヤ、エロすぎるって」

 エリオネルが我慢できないって顔で叫んだ。めっちゃ可愛い。好き。

「エリオネル、熱いから、はやく」

「兄さんに何されたの?」

 びくっと肩が揺れる。その肩に、そっとエリオネルが触れてきた。

「言いたくない」

「ダメ、ちゃんと消毒しないと」

「消毒?」

「そう。何をどうされたかちゃんと教えて」

「キスされて、」

「うん」

 何これ、めっちゃ恥ずかしい。

「乳首弄られて、」

「うん」

「下見られた……」

「まず、キスね」

 眉根を寄せたエリオネルにキスされる。消毒と言っていたように、隅々まで舌で舐られて元々息が上がっていたのに、息も絶え絶えになった。

「は、ぁ、……」

 次に乳首を舐められる。尖って痛くなったそこは、舐められるとすごく気持ちよくて、またイッてしまった。
 元々、達しやすい方だとは思っていたけど、今日は早すぎる。

「うぅ……、やだぁ」

「マリヤ、大丈夫だよ。薬のせいだから、泣かないで」

「く、薬?」

「催淫剤か何かだと思う」

 催淫剤って、あのヤロー!通りで気持ちいいはずだわ!
 でも、何かエリオネル相手だと効果がイマイチわからん。

「じゃあ、嫌いにならない?」

「どんなマリヤでも嫌いにならないよ」

 待って、手を動かすのやめて。また出ちゃうから。
 エリオネルは胸とお尻両方いやらしい手つきで触ってきて、出たばかりだというのに、また勃ってきてしまった。
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