スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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序章 〇〇世界における魔王国の建国

第4話 二度笑うものは

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 魔王国より東に15km―――
 黒い迷彩服に包まれた10名の集団が魔王国に向けて進軍していた。

 魔王国の周辺に草木はあまり無いが、大地のいたるところが隆起しているため乗り物は適さない。
 しかしその集団は何の苦も無く隆起した大地を跳ね回るかのように進んでいた。

「そろそろ目視される可能性がある、警戒を怠るな」
『了解』

 先頭を行く隊長の指示に従い隊員たちがブーツの出力を落とす。

「しっかしホントに魔法っつーのは便利だよな」
「あんま無駄口をたたくな、また隊長にどやされるぞ」
「へいへいりょーかい」
 
 任務中だというのに余裕を見せる隊員たち。それはただの慢心ではなく成果に裏付けされた自信だ。

 彼等は某国所属の軍人であり、魔人ではない。
 そんな彼等がなぜ超人的な動きを出来ているかというと、その秘密は彼らの装備にある。

『魔兵器』、魔道具とは似て非なる存在だ。

 通常魔道具は依り代となる物に魔人が魔力を通すことで完成する。
 完成品の品質は依り代の質、魔人の魔力量、依り代と魔力の相性など様々な要素が絡みあう上に魔道具作成は非常に作り手の技術も問われるので世の中にあまり出回ることがない。

 では魔兵器とは何か。
 それは武器などの人工物に魔力を込められるようにし、その能力を向上させる事に成功した物の総称だ。
 魔道具のように飛びぬけた能力を有する事は少ないが生産性に優れる上、あらかじめ魔力をチャージしておけば誰でも使えるとあり現在爆発的に普及し始めている。

 彼らが使用しているブーツ「波動ブーツ」も魔兵器である。
 靴底にあるスラスターにより魔力を噴射、同時に姿勢制御も体中についてる小型スラスターにより自動的にしてくれるといった優れものだ。
 これによりどんな悪路でも大きな音を出すことなく時速40kmでの走行が可能になった。

「それにしても散り散りになった魔人たちが集まるなど……狩ってくださいと言ってるようなものだぜ」
「確かに、ここで下らない追いかけっこも終わりにしてやろうぜ」

 何人もの魔人捕獲にしている彼らはそんな軽口を叩く。
 
 すると。

『終わんのはてめーらだ』

 不意に響き渡る声。

「総員警戒!!」

しかし隊員たちは慌てることなく警戒態勢に入る。 

「どこだ!!」
「どこ見てんだ、こっちだよ」

 果たして何時からいたのだろうか、男たちの前方10mくらいのところに男が2人、仁王立ちで立っていた。

「よぅ、侵入者さん。土下座して身ぐるみ置いてくなら優しく帰してやってもいいぜ?」
「ヴォルク、彼奴らは不当な理由で国境を侵犯した。慈悲をかける理由が見当たらぬ」
「冗談だってコテツ。あんまピリピリすんなよ。また皺が増えるぜ?」
「むぅ……」

 唐突に現れ、談笑する2名。
 この隙を見逃すほど彼等は無能ではない。

「散開!!」

 隊長は素早く魔兵器「思念レシーバー」により作戦を隊員たちに通達、合図とともに隊員たちは狩猟対象を囲み、武器を向ける。

「いい連携しやがるぜ、だが今まで強え相手とはやってねえみたいだな」
しかり、あまりにも……」

『遅い』
「なっ……!!」

 コテツは近くの隊員たちに瞬間移動が如き速さで接近すると腕を一振り。
 刹那の間に閃光が瞬き、4人の隊員が物言わぬ肉塊になる。

「なんだと!!」

 予想だにしない展開に隊長の脳はショートしそうになるも、すんでのところで立て直し思念レシーバーを起動する。
『作戦を一時中断とする、各自戦線を離脱し直ちに帰投せよ』
『駄目だね、逃がさない』

「!?」

 通信に隊員のものではない声が混ざる。
 隊長は目を見開きヴォルクを見やると、彼はその視線に「ニイィィィ」と邪悪な笑みで返した。

(くそっ、傍受されていたのか……しかし……)

「よそ見をする余裕があるかの。火行魔剣『花炎《かえん》』」

 コテツの抜き放った剣より花弁が如く華やかに炎が舞い、隊員たちの身を焦がす。
 1人、また1人と仲間が地に伏せる中、彼はとっておきを起動する。

 それは彼の背中に装着した「波動バックパック」。
 出力にして波動ブーツの8倍を誇るその魔兵器は数多くの魔人狩りを成功させた彼にのみ許された装備だった。

「見事だ、強き魔人たちよ。次こそは必ずやその魔力もらい受ける」

 そう言い残すと彼は魔兵器を起動。
 目にもとまらぬ速さで魔王国とは逆の方に吹っ飛んでった。

「マジかよ、あんなもんまで持ってたのかよあいつ」

 遥か彼方へ吹っ飛んでいく隊長を見て、ヴォルクが呑気に呟く。

「惚けてる場合じゃなかろう!いくら拙者たちでも見逃してしまうぞ!」
「まあまあ待てって」

 今にも走り出しそうなコテツの肩を押さえ、ヴォルクは再び邪悪な笑みを浮かべる。

「俺にも遊ばせてくれよ」







(あいつらはヤバい、ヤバすぎる)

 常に冷静なことに定評がある隊長だったがこの時ばかりは平静を保てなかった。
 ちなみに現在も彼は加速中であり時速180kmの速さで地面すれすれを飛んでいる。

(今まで戦った魔人は皆、能力に過信したやつばかりだった。しかし今回の敵は恐ろしく戦い慣れした動きだった)

「早急に本国に報告せねば……この借りは絶対に」
「どうするんだ?」
「がっ!?」

 高速移動中の彼の腹部に突如走った衝撃は紙切れのように彼の体を吹き飛ばし、そのまま岩場にきりもみしながら墜落した。

「ぐ、ぐふっ……」

 口から血が止めどなく溢れる。
 落下の衝撃で折れた骨が臓器に傷をつけたのだろう。もう彼に立ち上がる気力はなかった。

「おーおーまだ生きてんのか、やんじゃねーか」

 近づいてくる声は先ほどお者と同じだが……

「狼……男……!?」
「ピーンポーン♪」

 何ということだろうかそこには2本足で歩く巨大な狼がいた。
 全身から赤茶色の毛が伸び 口は大きく横に裂け、両手足からはナイフの様に長く鋭い爪が伸びている。

「化け物め……」

「そうさ、てめえらは化け物に喧嘩を売ったんだ、危なくなったらハイさよならってワケにゃいかんだろうよ」

「俺を……殺すのか?」

「安心しな、俺は今日気分がいーんだ」

「そ、それなら……」

「楽に殺してやるよ」

 狼はこの日3度目の笑顔を見せた。
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