5 / 143
序章 〇〇世界における魔王国の建国
第5話 魔女たちの集会
しおりを挟む
時同じく南に25km。
そこには総勢8名の魔女がいた。
「裏切者がよくのこのこと顔を出せたもんだね。テレサ・スカーレット」
黒い魔女装束に身を包んだ女性が声を発する。
露出度が高く派手な色の服装であるテレサと異なり、相対する7名の魔女たちは皆暗い色で露出も控えめの衣装に身を包んでいる。
「久しいのアイリーン。それにしても腰の重い教会がよく7人も出したものじゃ」
「無駄話はいいわ。私は教会からの勅命を受けてきたの。それは魔王国の調査とあんたの身柄の拘束よ。協力してもらえるわよね?」
アイリーンは口元をゆがめながら得意気に話す。
気に入らない存在だったテレサに対し教会の力を使い上からものを言えるのが嬉しいのだろう。
彼女の言葉は徐々に熱を帯びていく。
「教会は今回の件を非常に重く見ている。私の気が変わらないうちに謝罪することをおすすめするわ!」
「かっ! 何が謝罪じゃ身の丈に合わぬ権利を貰って浮かれるガキが。生憎小娘に下げる安い頭は持ち合わせておらんのじゃ」
やれやれといった仕草で頭を振るテレサ。
その様子がよほど気に食わなかったのだろうか、指先まで真っ赤にしたアイリーンは30cm程の小さな杖を取り出しテレサに向ける。
「自惚れるなよ旧世代の遺産が!教会にたてついた事を後悔させてやる!」
アイリーンの言葉とともに周りの魔女たちも杖や箒などを構え、魔法を発動する。
行使するのは魔力でできた矢を飛ばす魔法「魔法の矢」、魔女が好んで使う攻撃魔法だ。
「かっ! こんな魔法でわしをどうにかしようなどと片腹痛いわ!」
テレサも杖を振り魔法を発動すると、彼女の周囲に青い半透明の幕が浮かび上がる。
「青の祝幕か……甘いな!」
魔法にはランクがあり、最初級、初級、中級、上級、超上級、天級、準伝説級、伝説級、準神級、神級と合わせて十つにわかれている。
そしてランクが高いほど、習得難度が増し魔力を消費するが効果も大きくなる。
「魔法の矢」は最初級魔法であり、余程の力量差がないと中級魔法の「青い祝幕」を破ることはできない。
しかし
「なっ……!!」
30本近く放たれた「魔法の矢」は、何本か貫通できなかったもののそのほとんどが「青い祝帳」を引き裂き、テレサに命中し砂塵を巻き上げた。
「やっぱりお前は頭が古いよテレサ・スカーレット」
満足そうな声でアイリーンは喋る。
「ランクのみで判別するなんて時代遅れさ。今や初級の魔法も知恵や工夫でいくらでも強くなる時代なんだよ!」
彼女らの所属する派閥は「魔工派」とよばれる。
魔法と科学を組み合わせる魔女界の中でも異端の存在だ。
しかし近年の科学の発達により急激に力をつけ、今回のような重要案件にも駆り出されるようになった。
先ほどの「魔法の矢」も通常であればただ先端が尖ってるだけの構造だが、矢をドリル状に変化させ、さらに先端を高速回転させることにより魔力の消費量は据え置きで貫通力を大きく向上することに成功している。
「科学魔法」と呼ばれるこの魔法だが習得は容易ではなく繊細な魔法技術と科学分野の深い知識を併せ持たないと使用することはできない。
「小さいころからよく親に言われたもんだよ『緋色の魔女には逆らうな』ってな」
曰く『彼女は不死の魔女』だと、曰く『破壊を司る魔女』だと、曰く『我々の最後の希望にして絶望』だと。
彼女たちの親や、更にその上の世代は彼女を畏れていた。
しかし彼女たち若手の魔女は違った。
彼女たちが生まれた後にテレサは転生したため、現在の体の年齢は彼女たちより若く、魔力もそれほど高く感じられなかった。
彼女たちは自分より小さなものが好き勝手に振舞ってるのが気に食わなかったのだ。
「あんたが強かったのは過去の話だ。里でいつもゴロゴロしてるだけのあんたにヘコヘコしてる大人たちが気に食わなかった! だから努力した! 邪道と後ろ指をさされようと我慢し科学を勉強した! 全てはあんたの鼻を明かすためっだんだよ!」
たまっていたものを全てぶちまけたアイリーンは晴れやかな表情で命令する。
「まだ生きているはずよ。回収しなさい」
その言葉に反応しテレサの元に2名の魔女がかけよる――――が。
「がっ……!!」
「ぐっ……!?」
突如砂煙をさいて現れた赤い石のようなものが2名の魔女の頭を正確に打ち抜き、意識を刈り取った。
テレサの得意魔法「紅玉の弾丸」だ。
「くくっ、よもやそこまで嫌われておったとはのう」
砂煙が払われ、テレサが現れる。その身には傷どころか汚れすら見当たらない。
「馬鹿なっ! 確かに矢は当たったはず! 魔法を使った反応もなかったのになぜ!!」
「不思議ならもう一回やってみればよかろう?」
先ほどとは逆に今度はテレサが邪悪な笑みを浮かべる。
「なめるなああぁっっ!!!!」
アイリーンは鬼の形相で魔法を構築する。
完成した魔法は先ほどの物よりも大きく歪であり、およそ矢とは呼べない邪悪な物になっていた。
「かかっ。まるでおぬしのような魔法じゃな」
「ほざけぇ!」
打ち出された邪悪な矢は恐ろしい速度でテレサに向かっていく。
ゴテゴテしてるようにみえてその形状は速度を落とさないよう緻密に設計されている。
「そう、おぬしのように邪悪で―――――――稚拙じゃ」
矢はテレサの頭部に命中した。
しかし。
「なっ……」
その光景を目撃した魔女たちの目が見開かれた。
それもそのはず、矢は彼女に当たると同時に先端から糸のようにほどけていったのだから。
「いったい何をしたんだ!!」
「簡単な話じゃ。ほどいただけよ」
『魔法とは編み物である』
そんな言葉が魔女たちのあいだでは昔から残っている。
魔法を作るときに魔力を糸のように出し、それを編み込むことで形にするやり方が編み物に似てるためだ。
今なお教会では魔法をうまく扱えないもののために編み物教室が存在しており、編み物のコツを覚えると魔法もうまくなると評判だ。
この発想のもとに作られたのが「ほぐし」である。
他者の魔法に己の魔力で干渉し魔力の糸をほぐしてしまう技法だ。
「おぬしらの魔法は見ためばかり立派で中身がスカスカじゃ。編み物からでなおすんじゃな」
「ば、ばけもの……」
理論はアイリーン達にもわかる。
しかしそんな事出来るはずがないのだ。
通常「ほぐし」は結界を破ったりする時など時間をかけられるケースでしか用いられない。
なぜなら魔法の編み込み方は1人1人違うため、まずは編み方を「解析」し、そのうえで魔法のつなぎ目となっている部分を見つけ、正確にほぐさなければならない。
例えるなら落下してくる洋服を空中で糸の状態にほどくようなものだ。
それを彼女は魔法が皮膚に触れてから傷をつけるまでの0.1秒にも満たない刹那の時間でやってみせたのだ。
「おぬしらが見てたのはわしの600年のほんの上澄みじゃ。20年にも満たぬ人生でわしを測ろうなどと愚かな」
テレサは杖を振り上げると魔力を込める。
「先輩からの餞別じゃ。魔導の神髄の一端を見せてやろう」
「あ、あうぅ……」
もはやこの場にまともな言葉を発せる者はいなかった。
理解したのだ。
自分の、自分たちの愚かさを。
知識や経験という言葉が陳腐に感じるほどの差を。
彼女は何もしなかったのではなく、何もしないでいてくれたという事実を。
「照らせ、『真紅の波動』」
行使するは地球上に数えるほどしかいない伝説級魔法。
彼女たちの視界は紅に染まり、意識は霧散したのだった。
◇
「いつまで見ておる」
焼け焦げた大地にテレサの声が響く。
すると突如空間がゆがみ、30代くらいの魔女がその空間より姿を現す。
「バレてましたか」
「当り前じゃ、手の込んだことをしよって」
「あはは、ごめんなさい」
新しく表れた魔女、名はハンネという。
彼女は舌を出し悪戯がバレた子供のような顔でテレサに謝罪する。
「おおかたおぬしが本命でこいつらは教育のために寄越されたんじゃろ。わしをだしに使うとは教会も大胆なことをしよる」
「わ、私は反対したんですよ!」
大げさな身振りで身の潔白を主張するハンネ。そんな様子を見たテレサは表情を緩め、杖を離し戦闘態勢を解く。
「彼女たちのことは私から謝罪させていただきます。荒療治にはなりましたが、これでテレサ様の力を疑うものはいなくなるでしょう」
「かっ! 泣き虫ハンネが一丁前に」
子供の頃の不名誉なあだ名で呼ばれ、胸を押さえるハンネだがすぐに表情を元に戻す。
「それでテレサ様……本当に戻って下さらないのですか?」
「ああ、これはもう決めたことじゃ。いくら可愛いおぬしの頼みでも聞くことはできん」
突然可愛いなどと言われて照れるハイネだが彼女もそう簡単に引くわけにもいかない。
「理由をお聞きしても?」
「黄金を見つけた」
「!!」
ハイネの瞳が驚愕の色に染まる。
それもそのはず、それはテレサが何百年も前から探していると言っていた物だからだ。
「なるほど……得心がいきました。寂しいですが、ここでお別れの様ですね。教会は私が説得いたします」
「世話をかけるな」
「いえ、いいんです。あなたが私たちを嫌いになったわけじゃないことが分かっただけで私は嬉しいんです」
そうはにかむハイネの目元にはうっすら涙がにじんでいた。
「テレサ様の悲願の成就、心よりお祈りいたします」
「ああ、おぬしも息災でな」
彼女は一礼し、7名の魔女とともに空間のゆがみへと消えていった。
「くくっ、見ておれ。必ずや我が手に入れてみせるぞ」
彼女の言葉は虚空へと吸い込まれたのだった……
そこには総勢8名の魔女がいた。
「裏切者がよくのこのこと顔を出せたもんだね。テレサ・スカーレット」
黒い魔女装束に身を包んだ女性が声を発する。
露出度が高く派手な色の服装であるテレサと異なり、相対する7名の魔女たちは皆暗い色で露出も控えめの衣装に身を包んでいる。
「久しいのアイリーン。それにしても腰の重い教会がよく7人も出したものじゃ」
「無駄話はいいわ。私は教会からの勅命を受けてきたの。それは魔王国の調査とあんたの身柄の拘束よ。協力してもらえるわよね?」
アイリーンは口元をゆがめながら得意気に話す。
気に入らない存在だったテレサに対し教会の力を使い上からものを言えるのが嬉しいのだろう。
彼女の言葉は徐々に熱を帯びていく。
「教会は今回の件を非常に重く見ている。私の気が変わらないうちに謝罪することをおすすめするわ!」
「かっ! 何が謝罪じゃ身の丈に合わぬ権利を貰って浮かれるガキが。生憎小娘に下げる安い頭は持ち合わせておらんのじゃ」
やれやれといった仕草で頭を振るテレサ。
その様子がよほど気に食わなかったのだろうか、指先まで真っ赤にしたアイリーンは30cm程の小さな杖を取り出しテレサに向ける。
「自惚れるなよ旧世代の遺産が!教会にたてついた事を後悔させてやる!」
アイリーンの言葉とともに周りの魔女たちも杖や箒などを構え、魔法を発動する。
行使するのは魔力でできた矢を飛ばす魔法「魔法の矢」、魔女が好んで使う攻撃魔法だ。
「かっ! こんな魔法でわしをどうにかしようなどと片腹痛いわ!」
テレサも杖を振り魔法を発動すると、彼女の周囲に青い半透明の幕が浮かび上がる。
「青の祝幕か……甘いな!」
魔法にはランクがあり、最初級、初級、中級、上級、超上級、天級、準伝説級、伝説級、準神級、神級と合わせて十つにわかれている。
そしてランクが高いほど、習得難度が増し魔力を消費するが効果も大きくなる。
「魔法の矢」は最初級魔法であり、余程の力量差がないと中級魔法の「青い祝幕」を破ることはできない。
しかし
「なっ……!!」
30本近く放たれた「魔法の矢」は、何本か貫通できなかったもののそのほとんどが「青い祝帳」を引き裂き、テレサに命中し砂塵を巻き上げた。
「やっぱりお前は頭が古いよテレサ・スカーレット」
満足そうな声でアイリーンは喋る。
「ランクのみで判別するなんて時代遅れさ。今や初級の魔法も知恵や工夫でいくらでも強くなる時代なんだよ!」
彼女らの所属する派閥は「魔工派」とよばれる。
魔法と科学を組み合わせる魔女界の中でも異端の存在だ。
しかし近年の科学の発達により急激に力をつけ、今回のような重要案件にも駆り出されるようになった。
先ほどの「魔法の矢」も通常であればただ先端が尖ってるだけの構造だが、矢をドリル状に変化させ、さらに先端を高速回転させることにより魔力の消費量は据え置きで貫通力を大きく向上することに成功している。
「科学魔法」と呼ばれるこの魔法だが習得は容易ではなく繊細な魔法技術と科学分野の深い知識を併せ持たないと使用することはできない。
「小さいころからよく親に言われたもんだよ『緋色の魔女には逆らうな』ってな」
曰く『彼女は不死の魔女』だと、曰く『破壊を司る魔女』だと、曰く『我々の最後の希望にして絶望』だと。
彼女たちの親や、更にその上の世代は彼女を畏れていた。
しかし彼女たち若手の魔女は違った。
彼女たちが生まれた後にテレサは転生したため、現在の体の年齢は彼女たちより若く、魔力もそれほど高く感じられなかった。
彼女たちは自分より小さなものが好き勝手に振舞ってるのが気に食わなかったのだ。
「あんたが強かったのは過去の話だ。里でいつもゴロゴロしてるだけのあんたにヘコヘコしてる大人たちが気に食わなかった! だから努力した! 邪道と後ろ指をさされようと我慢し科学を勉強した! 全てはあんたの鼻を明かすためっだんだよ!」
たまっていたものを全てぶちまけたアイリーンは晴れやかな表情で命令する。
「まだ生きているはずよ。回収しなさい」
その言葉に反応しテレサの元に2名の魔女がかけよる――――が。
「がっ……!!」
「ぐっ……!?」
突如砂煙をさいて現れた赤い石のようなものが2名の魔女の頭を正確に打ち抜き、意識を刈り取った。
テレサの得意魔法「紅玉の弾丸」だ。
「くくっ、よもやそこまで嫌われておったとはのう」
砂煙が払われ、テレサが現れる。その身には傷どころか汚れすら見当たらない。
「馬鹿なっ! 確かに矢は当たったはず! 魔法を使った反応もなかったのになぜ!!」
「不思議ならもう一回やってみればよかろう?」
先ほどとは逆に今度はテレサが邪悪な笑みを浮かべる。
「なめるなああぁっっ!!!!」
アイリーンは鬼の形相で魔法を構築する。
完成した魔法は先ほどの物よりも大きく歪であり、およそ矢とは呼べない邪悪な物になっていた。
「かかっ。まるでおぬしのような魔法じゃな」
「ほざけぇ!」
打ち出された邪悪な矢は恐ろしい速度でテレサに向かっていく。
ゴテゴテしてるようにみえてその形状は速度を落とさないよう緻密に設計されている。
「そう、おぬしのように邪悪で―――――――稚拙じゃ」
矢はテレサの頭部に命中した。
しかし。
「なっ……」
その光景を目撃した魔女たちの目が見開かれた。
それもそのはず、矢は彼女に当たると同時に先端から糸のようにほどけていったのだから。
「いったい何をしたんだ!!」
「簡単な話じゃ。ほどいただけよ」
『魔法とは編み物である』
そんな言葉が魔女たちのあいだでは昔から残っている。
魔法を作るときに魔力を糸のように出し、それを編み込むことで形にするやり方が編み物に似てるためだ。
今なお教会では魔法をうまく扱えないもののために編み物教室が存在しており、編み物のコツを覚えると魔法もうまくなると評判だ。
この発想のもとに作られたのが「ほぐし」である。
他者の魔法に己の魔力で干渉し魔力の糸をほぐしてしまう技法だ。
「おぬしらの魔法は見ためばかり立派で中身がスカスカじゃ。編み物からでなおすんじゃな」
「ば、ばけもの……」
理論はアイリーン達にもわかる。
しかしそんな事出来るはずがないのだ。
通常「ほぐし」は結界を破ったりする時など時間をかけられるケースでしか用いられない。
なぜなら魔法の編み込み方は1人1人違うため、まずは編み方を「解析」し、そのうえで魔法のつなぎ目となっている部分を見つけ、正確にほぐさなければならない。
例えるなら落下してくる洋服を空中で糸の状態にほどくようなものだ。
それを彼女は魔法が皮膚に触れてから傷をつけるまでの0.1秒にも満たない刹那の時間でやってみせたのだ。
「おぬしらが見てたのはわしの600年のほんの上澄みじゃ。20年にも満たぬ人生でわしを測ろうなどと愚かな」
テレサは杖を振り上げると魔力を込める。
「先輩からの餞別じゃ。魔導の神髄の一端を見せてやろう」
「あ、あうぅ……」
もはやこの場にまともな言葉を発せる者はいなかった。
理解したのだ。
自分の、自分たちの愚かさを。
知識や経験という言葉が陳腐に感じるほどの差を。
彼女は何もしなかったのではなく、何もしないでいてくれたという事実を。
「照らせ、『真紅の波動』」
行使するは地球上に数えるほどしかいない伝説級魔法。
彼女たちの視界は紅に染まり、意識は霧散したのだった。
◇
「いつまで見ておる」
焼け焦げた大地にテレサの声が響く。
すると突如空間がゆがみ、30代くらいの魔女がその空間より姿を現す。
「バレてましたか」
「当り前じゃ、手の込んだことをしよって」
「あはは、ごめんなさい」
新しく表れた魔女、名はハンネという。
彼女は舌を出し悪戯がバレた子供のような顔でテレサに謝罪する。
「おおかたおぬしが本命でこいつらは教育のために寄越されたんじゃろ。わしをだしに使うとは教会も大胆なことをしよる」
「わ、私は反対したんですよ!」
大げさな身振りで身の潔白を主張するハンネ。そんな様子を見たテレサは表情を緩め、杖を離し戦闘態勢を解く。
「彼女たちのことは私から謝罪させていただきます。荒療治にはなりましたが、これでテレサ様の力を疑うものはいなくなるでしょう」
「かっ! 泣き虫ハンネが一丁前に」
子供の頃の不名誉なあだ名で呼ばれ、胸を押さえるハンネだがすぐに表情を元に戻す。
「それでテレサ様……本当に戻って下さらないのですか?」
「ああ、これはもう決めたことじゃ。いくら可愛いおぬしの頼みでも聞くことはできん」
突然可愛いなどと言われて照れるハイネだが彼女もそう簡単に引くわけにもいかない。
「理由をお聞きしても?」
「黄金を見つけた」
「!!」
ハイネの瞳が驚愕の色に染まる。
それもそのはず、それはテレサが何百年も前から探していると言っていた物だからだ。
「なるほど……得心がいきました。寂しいですが、ここでお別れの様ですね。教会は私が説得いたします」
「世話をかけるな」
「いえ、いいんです。あなたが私たちを嫌いになったわけじゃないことが分かっただけで私は嬉しいんです」
そうはにかむハイネの目元にはうっすら涙がにじんでいた。
「テレサ様の悲願の成就、心よりお祈りいたします」
「ああ、おぬしも息災でな」
彼女は一礼し、7名の魔女とともに空間のゆがみへと消えていった。
「くくっ、見ておれ。必ずや我が手に入れてみせるぞ」
彼女の言葉は虚空へと吸い込まれたのだった……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる