スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第一章 ○○世界における魔王国建国の経緯(いきさつ)

第25話 My name is

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『ハッハッハッハ!!』

 善神は俺の要望を聞くと声高らかに笑う。
 嘲笑ではなく心の底から面白がっている感じだ。

『神に命名をせがむ意味を知らぬわけではなかろう? とても正気とは思えぬな」
「俺は本気だ。その覚悟ならある」

 神に名前を付けてもらうメリットは二つある。

 一つは神性の取得。
 名づけという行為は本来親が子にする行為だ。
 神にそれをしてもらえば、それは神の養子になったも同然。
 最高クラスの神性を得ることが出来るだろう。

 二つ目は頑丈性。
 もし今後俺が魔道具の力などで新しい名前を得たとしても、またすぐに共感覚シナスタジアの力で壊れてしまうだろう。
 しかし、神からもらった名前となればその限りではない。
 確証は無いがこの世界において神は特別な存在。そう簡単には壊れないだろう。

 この通り大きなメリットが二つあるが、当然メリットばかりではない。

『神の養子になる……それは人としての道から完全に外れるという事。二度と平和な暮らしには戻れぬぞ』

 そう。
 神性を持つ者はみな、普通の人生は歩めないと言われている。
 幸せに最期を迎えれるものなど稀。
 ほとんどの者は戦いの中で命を落とし、戦場を退いても暗殺や研究実験の対象になったりとその人生は悲惨なものだ。

「構わん。元より戦い続ける覚悟なら出来てる。力を得れるなら修羅の道だろうがスキップして歩いてやる」
『どうやらその言葉、嘘ではないようだな。よかろう、アフラ・マズダーの名において汝に名前を授ける』

 そう言うや善神はその巨大な手を俺の頭にかざす。
 手から放たれる暖かい光が俺の頭を包み込み、意識がボヤける。
 その光はどんどん俺の深いところに侵入し、とうとう俺の最も深い場所。かつて名前があった場所までたどり着く。

『言わずともわかっているだろうが、我が名前を一度定着させれば二度とその名前は消えぬ。つまり元のおぬしの名前には一生戻れぬという事だぞ」

 分かっていた事だが改めて言われると少し躊躇うな。
 だけどそんなことで俺の覚悟は揺るがない。

「あの日、昔の俺は死んだ。これは昔の俺との決別でもあるんだ、頼む」
『そこまで言うなら引き留めはせぬ。いくぞ』

 俺に流れる光が強くなる。
 体に神力が満ち、体の構造が作り変えられていく。

『汝の仲間が言っておったな。「あなたたちは勝利無き戦争を続けなければならない」と』
「ああ、その覚悟も出来ている」

『ならば汝らがその道を挫折することなく進めるよう、この名を送ろう』

 強烈な光の力と共にアイツの力も流れ込むのも感じる。
 そうか、お前も一緒に戦ってくれるんだな……

『我、善神アフラ・マズダーの名において汝に名を授ける。目覚めよ!』


『クリーク・oオーネ・ジーク!!』


 ドクン!!

 胸の奥に火が灯ったかの様に熱が生じる。
 熱は瞬く間に全身に広がり、やがて体中が熱に包まれる。

「ふう……ふう……」

 そして熱が収まるにつれ胸の奥に沸いてきたのはとてつもない高揚感だ。
 体が神性存在に近づいた事による全能感で体が満たされていく。

「これは凄い……!!」

 見た目に変化はない。
 しかし体に体中の細胞、魔力が活性化しているのを感じる。

「しかし、勝利無き戦争クリーク・オーネ・ジークか。ドイツ語とは粋なことをするじゃないか」
『我が子へのせめてもの餞別だ。大切にするがいい』

 そう言うや善神の体が徐々に光の粒子になり、崩れていく。

『どうやら時間の様だな。短い時間だったが楽しかったぞ」
「こっちこそ有意義な時間だった。あんたに貰ったこの名前《ちから》、有意義に使わせてもらうぜ」
『ふふ、そなたらの行く末を見られぬのが残念だ』

 残念といった感じで善神がつぶやく。
 この時、俺は更なる妙案を思いつく。
 くく、ここまで来たらこいつのすねをかじれるだけかじってやる。
 人の欲に果てはないんだぜ。

「何を言ってる」

 俺の返しに善神は『?』と首をかしげる。
 俺は最大限に尊大な態度で善神に提案する。

「俺はここに国を作る。神の遺骸を城にしてな。そしてそれには莫大なエネルギーが必要だ。お前は力を寄越せ。ここをお前の聖地にしてやる」

 そう。俺の計画はあの遺骸をそのまま魔道具化し、城にすることだ。
 もし善神の力をこの土地に定着させれれば魔道具制作の魔力を賄えるだけでなく、土地が神の加護を得れる。

『――――――!! ハッハッハッハ! 面白い! お主はどこまで我を楽しませてくれるのだ!」
「いいだろ? 父さん・・・?」

 俺は笑顔を浮かべながら上目遣いでお願いする。
 俺の申し出を受けて善神に得は無い。勢いで押し切るしかない!

『父さんと来たか。ここまで神に大きく出た者など聞いた事が無いわ』

 そりゃそうだろう。
 俺も未だに生きた心地がしないぞ。

『だが悪くない。泡沫の命に子を作ってくれた礼だ。我の力の残滓もくれてやる、好きに使え』
「ありがとう。見ててくれ俺たちの活躍を」
『ああ、楽しみにしてるよ。ところで国の名前は決まっているのか? 我の加護を受ける国にふさわしい名前ではなくては』

「決まってるぜ。あんたらゾロアスター教の神々に敬意を表し『魔王国ゾロ・アスト』とする。かっこいいだろ?」

 俺の即席で考えた名前に満足したのか善神は笑顔で頷くと、その体を急速に分解していく。

『フハハハハハハッ!! 我が息子クリーク・oオーネ・ジークと魔王国ゾロ・アストに栄光あれ!!』

 善神はそう叫ぶと体を完全に光の粒子に変え、辺りに散らばる。
 光の粒は大地に染み込み辺り一面に神力が宿る。これが定着すればこの土地は神の加護を受けた土地『聖地』になる。
 国を作るには最適な土地だ。

「ジーク様、見事な手腕でした。神をも手玉に取る交渉術、わたくし完全にびしょびしょでございます」
「澄ました顔でとんでもない事言うなお前は……」

 俺が神相手にここまで立ち振る舞えたのも共感覚シナスタジアのおかげだ。
 相手の感情の機微を感じ取りながら交渉できるのは大きな強みだ。

「これで国の土地、魔道具の材料、そして大量の神力が手に入った。今日より国造りを開始する。マーレ、お前は全体の総指揮を執れ」
「この身この力。全てあなた様の為に」

 マーレは胸に手を当て恭しく膝をつく。
 むず痒いが威厳のある王になるため慣れなくては。

「さて、どこまでやれるもんかね」

 これから先の事など全く分からない。
 だけど、救えなかった人、救ってくれた人。彼らの犠牲を無駄には出来ない。

「今度は、全員救ってやる……!!」



 激動の日々が、幕を開ける。
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