スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

文字の大きさ
47 / 143
第二章 ○○世界における魔王国の建国

第9話 問答

しおりを挟む
 明朝。

 俺はイブキを従え改めてテレサに会った。
 夜はバタバタしてちゃんと話せなかったからな。

 幻影自己人形《ドッペルゴーレム》から何があったかも聞いておいた。
 報連相はしっかりしろ!

「成る程。イブキとテレサは交流のある魔法組織にそれぞれいたわけか」
「そうっす」

 だから知り合いだったのか。魔法の世界も狭いな。

「つっても緋色の魔女は有名な魔法使いっす。あーしもそこそこ名の通った魔法使いなんすけどね」
「くくっ。その通り」

 確かに昨日その実力の一端を見たが恐ろしく練りこまれた魔法だった。
 本気でやりあえば勝てるかどうか……

「それで? どうしてそんな力のあるお主が我が軍門に下る気になったのだ?」

 この点に関しては幻影自己人形《ドッペルゴーレム》に聞いてもよくわからんと言っていた。
 敵意は感じないがスパイなら放っておけない。

「くくっ、簡単な話よ。主殿が気にいったからじゃ」

 パチッ♪っとウィンクする様は実に愛くるしい。
 しかしいかんせん信用しきれない。うーん、どうしたものか。

「ジーク様。確かにこの痴女はいけすかねえ奴っすけど計算して媚びるような奴じゃねえっす。そこは保証するっす」
「ほお、お主が擁護するとは珍しい。今日は雷かの」
「私が降らしてやりましょうか!?」

 確かに共感覚シナスタジアで探っても嘘をついてるようには感じない。
 俺に寄せられる好意も本物だ。

「よかろう。真意はわからんがそんなものに怯えていては示しがつかない。テレサ、お前の入国を歓迎しよう」
「さっすが主殿! 話が分かるのじゃ♪」
「はあ、余計な手助けしたっすかね……」

 こうして新たな仲間テレサ・スカーレットが加わったのだった。








 ◇







 そして時が過ぎ、魔力大規模感染《マジカル・パンデミック》が発生して明日でちょうど二か月経つ今日。
 城内はドタバタしていた。

「へへ、早いですね大将。もう俺が来てから一か月以上経つなんて」
「そうだな。皆よくやってくれている」

 明日。
 正式に魔王国ゾロ・アストは建国宣言をする。

 既に国民は20万人を超え大所帯になっている。
 爆発的に増える国民に何回か食糧危機に陥ったが魔狼部隊と植物魔法の研究者の尽力でなんとかなった。今度ねぎらってやらんとな。

 建国宣言をするからといって特に今までと何かすることが変わるわけではない。
 これからも助けを求める魔人を助け、彼らが幸せに暮らせる国を作っていくだけだ。

 ではなぜわざわざ宣言などするかというと、これはけじめだ。

 世界に対して我々は遊びやふざけでやってるのでは無いと知らしめる必要がある。
 生半可な気持ちでちょっかいを出すのではないという牽制の意味も含めて。

「未だに魔王国の存在を信じ切れず迷っている魔人もたくさんいるみたいですからね。大将のカッコいい演説姿を見れば信じますぜ!!」
「そうだな。演説の様子は月の鏡ムーンミラーで放送するからな……」

 正直今から凄い緊張で胃が痛いどころの騒ぎじゃない。
 幻影自己人形《ドッペルゴーレム》にやってもらおうとも考えたがバレた時にあまりにもカッコ悪い。

「ジーク様、ここにいらっしゃいましたか」

 どうしたもんかと思案しているとマーレに声をかけられる。
 俺を探していたみたいだ。

「突然で申し訳ないのですがお目通ししておきたい者がおりまして……お時間よろしいでしょうか?」
「この忙しい時に来客か? いったい誰なんだ?」

 本体である俺に面会などあまりある事ではない。
 城には俺の自動操作人形ゴーレムが何体かいるからだ。

「よかろう。今行く」
「すいません。こちらです」

 まあちょうど暇を持て余していたところだ。
 現実逃避よりはタメになるだろう。




 ◇



「失礼致します」
「うむ」

 マーレに連れられ王の間で座るとほどなくして一人の男が入ってくる。
 黒いスーツを着こなした坊主頭の男性だった。
 切れ長の鋭い目に高そうな銀縁メガネをかけている。細身ながらも締まった肉体は戦闘力も期待できそうだ。

「お初にお目にかかります。私はシェン=レンと申します。以後お見知り置きを」

 そう言いながら優雅にお辞儀をするシェン=レン。
 実に胡散臭いぜ。

「うむ。私は魔王国頭首クリーク・o・ジークだ。よろしく頼むよ」

 俺が挨拶を返すと再びシェン=レンは再び大袈裟にお辞儀をする。いつまで続くんだこのやり取りは。

「マーレ」
「はい、説明させていただきます。彼、シェン=レンは私の分身体が海外で活動中接触した人物です。利害の一致から協力関係にありましたが、今回是非ともジーク様に挨拶したいとの事でしたのでこの場を設けました」
「なるほど合点がいった。して、わざわざ私を引っ張り出したんだ。つまらぬ話はよしてくれよ?」

 本当は暇を持て余していたがな!

「はい。今回私の目的は一つ。ジーク殿と問答したくて参ったのです」
「問答?」
「はい。もし貴方が私の仕えるに相応しい主であるか試させていただきたいのです」

「彼は優秀です。試すような真似をして申し訳ないのですが付き合っていただいてよろしいですか?」

 マーレがシェン=レンに聞こえぬよう耳打ちしてくる。
 成る程。逆面接という訳だ。
 ここんとこ試す側だったから新鮮だな。

「よかろう。何でも問うてみるがいい」

「ありがとうございます。それでは問一。『もし国民が人質に取られた場合いかがしますか?』」

 何だその質問は? 馬鹿にしてるのだろうか。
 考えるまでもない質問だ。

「無論、見捨てる」
「!?」

「どんな手を使ってでも助けるとでも言うと思ったか? そんな希望的観測この世界では何の意味もない。被害が少なく済む内に問題は解決する」
「驚きました。しかしそれは薄情なのでは? 全ての魔人を救うのではないのですか?」
「もちろんそのつもりだ。しかしそれが叶わない・・・・願いということくらい分かっている」
「……詳しく聞かせていただいても?」

「今も何人もの魔人が世界中で悲惨な目に合っている、その時点で全ての魔人を救うなどという願いは破綻している」
「それならば何故叶わぬ願いを公言しているのですか? 信用を失うだけでは?」

「覚悟さ」
「!?」

「我が名は勝利無き戦争クリークオーネジーク。それは覚悟の名だ。戦いから逃げないというな」
「なるほど。叶わぬ願いを公言しているのも魔人を助ける行為から逃げぬためだと」
「そうだ。救っても救っても悲惨な目に合う者はこの地球上から消えはしない。だから俺は全員救うつもりで行動する。終わりがないことは覚悟の上でな」

「ふふふ、貴方の考えよく分かりました。それではもう一つだけ、『救えるのは一つ。貴方は自分の命とこの国どちらを取りますか?』」

「これまた愚問だ。もちろん国だ」
「それでいいのですか? この国が貴方無しで回るとは思えませんが」
「今はまだ、な」
「というと?」

「この国は近々俺がいなくても問題無いようにする。替えの聞かない存在など枷にしかならないからな」
「自分の存在さえ枷だと仰るのですか?」

「それが覚悟だ」
「!!」

 俺は英雄になりたいわけじゃない。
 ただ苦しんでる彼らの気持ちを自分の事のように感じてしまったから救いたいだけだ。
 その為なら俺の身などどうでもいい。

「フフフ、分かりました。貴方は私の想像したよりもずっと面白い方でした」
「お眼鏡にかなったかな?」

「もちろん、狂気の沙汰ほど面白い。私シェン=レン喜んでこの身を捧げましょう」

 またまた大袈裟に膝をつくシェン=レン。
 最後まで怪しい男だ。

「食えぬ男よ。まあいい、私の役に立つ内は生かしといてやろう」
「それで構いませんよ。私もこの国が私にとって楽しいものである内は尽くさせていただきます」

 挑戦的だな。
 こういう奴が一人いても面白い事になりそうだ。


 ◇


「申し訳ございません。まさかここまでお手を煩わせることになるとは」

 深々と頭を下げるマーレ。

「よい。あのような振る舞いをしているのにお前が口を挟まなかったんだ。それ程引き入れたい人材だったのだろう?」
「寛大な処置、感謝の言葉もありません」

 それに最近気を遣われてばっかで新鮮な気持ちになれた。
 ああいうのも悪くない。

「建国宣言の前に自分の気持ちに整理をつけるいい機会になった」
「はい……しかし私はこの国よりもジーク様を取ります」

 そう語る彼女の目は今まで見た中で一番真剣な瞳だった。

「お前がそれを望むならそうするがいい」
「はい」

 人は真に分かり合う事など出来やしない。
 そんな事人の心が分かる俺が一番分かっている。

 だけどだからこそ俺がまとめてやる。
 そう思った。

「さて、そろそろ明日に備えて休むとしようか」
「はい……」

 そしてその日は、来る。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...