スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第三章 開戦

第6話 資格

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「総員、最大限警戒しろ。相手は化物だ、人と思うな!」

 俺、黒蓮教支部長の周《しゅう》はアジトを取り囲み臨戦態勢をとる部下に檄を飛ばす。

「クソッ! だから俺はあいつと手を組む事に反対したんだ!!」

 俺は今は亡きかつての同僚である劉に悪態をつく。

 そう。魔王に協力を求める事に黒蓮教の全員が賛成した訳ではない。
 劉を頭とする派閥が強行しただけで俺は最後まで反対していた、必ず良くない事が起きると。

 しかし奴らは俺が留守の間に独断で行動し魔王国に接触。あろうことかアジトに案内までしやがった。
 アジトの仲間から事の顛末を聞いた俺は急いでアジトに帰還したが時すでに遅し。既に多数の仲間が殺され残った者は地上に避難していた。

 魔王国の奴らの価値観は俺らと異なる。
 損得で動く俺達とは違い奴らは1つ理念の元に動く。
 そういう奴らは制御などできず、厄介だ。関わるべきではない。

「周支部長!! 奴が来ました!!」
「総員構えろ!!」

 部下の言葉に反応しアジトの入り口に目を向けると、堅固なゲートがまるで粘土のようにグニャリと形を変えその役割を放棄する。

 そこから現れたのは死と恐怖を具現化したかのような存在。
 放たれるオーラからは偉大なる王の気風を感じ、思わずその足下に跪いてしまいたくなる。
 よくこんな化物をどうにか出来ると思ったものだ。正気の沙汰じゃないぜ全く。

「……初めまして。私はこのアジトの支部長の周という者だ。どうやら私が留守の間に部下が非礼を働いたようだ、謝罪させてくれ」
「どうやら少しは話が分かる者が出てきたようだ」

 理知的に振る舞う魔王。
 まだ感情の赴くままに動いてくれたなら対処は容易なのだがな、どうやらそうはいかなそうだ。

 そんな事を考えていると魔王の背後より2人の人物が顔を見せる。

 1人は巨大な剣と盾を携えた鎧姿の戦士。
 おそらく魔王の側近だろう、立ち振る舞いが歴戦の猛者を感じさせる。

 もう1人は見覚えがある。
 たしか反抗勢力のリーダーだった男だ。
 中々の強敵で捕まえるのに骨が折れた記憶がある。

 しかしあの男がいるということは……

「どうやら見られてしまったようだな」
「ああ、見せてもらったよ。貴様らの暗部を」

 まずい。
 魔王は魔人の保護活動を精力的に行っている。
 劉は魔王が魔人を資源として利用していると思い捕獲している魔人を見せたのだろう。
 そんなもの見せたら魔王の逆鱗に触れるのは当然。
 余計な事をしてくれる。

「アレは劉たちが勝手にやったことで……」
「よもや支部長の貴様が知らなかったとは言うまいな?」
「ぐっ……!」

 やはり口で言いくるめるのは無理か。
 どうやら腹をくくるしかないみたいだ。

「和解の道はないのだろうか……?」
「無いな。魔人は全て我が家族、あんな事をされて許す道理は無い。貴様らのが魔人だろうと容赦はしない」

「わかった、残念だよ」

 俺は観念し、右手を挙げる。
 それに追従しておよそ100人ほどの部下が魔力を込め始める。

「やれ」

 放たれる100を超える魔法の数々。
 属性から形状まで多種多様な魔法は1種類の魔法では完全に防げまい。

「ここは私が」

 魔王がどのように対処するかと見定めていると部下と思わしき鎧の人物が魔王の前におどり出る。
 あの大楯で防ぎきるつもりだろうか?

黒霧の大防壁ミスト・ザ・ウォール!!」

 鎧の人物が大楯を振りかざし叫ぶと、地面より湧き上がる巨大な黒い霧が魔王を取り囲む。

「そんなもので防げると思っているのか!」

 うねりを上げて黒霧に突き刺さる魔法達。
 こんなもので止められる程俺達は弱くないぞ!

「……ん?」

 技を放った部下の1人が変な声をあげる。
 つられて俺も見ると不思議な現象が起きていた。

 何と霧の中に入り込んだ魔法の速度が急激に落ちていたのだ。
 しかも完全に停止した魔法から形がどんどん崩れていくのだ。

「何だこれは……見たこと無いぞこんな魔法!!」
「当然。これぞ我が贈呈物《ギフト》『霧塵暴食《ミストイーター》』の効果。私の生み出した黒霧は無尽蔵に取り込んだ物を食らう。力も速度もその魔力も」

 奴の言葉通り霧に侵入した魔法は次々とその魔力を食われ消えていく。

「こ、攻撃を続けろ! 奴も無限には止められまい!」
「あまり長引かせるのは趣味じゃないな。竜巻風刃エッジミキサー

「ぐあぁっ!!」

 魔王の巻き起こす迅風が部下を襲う。
 恐らく刃の形質に風の属性を混ぜたその攻撃は部下の肢体をたやすく刻み、瞬く間にミンチ状の肉片に変えていく。

「やめろ! もうやめてくれぇ!!」

 俺の悲痛な叫び虚しく刻まれていく部下達。
 ものの数十秒で俺以外の者は全て原型なく赤いシミへと成り果てる。

「さて、貴様には色々聞きたいことがある」

「……知っているのか?」

 もう勝てない事は理解している。
 しかし俺もこのまま何も出来ず終われない。
 あの事・・・は知らないはずだ。

「何のことだ?」
「知っているぞ、お前がここに来る前に村を焼き払ったのを」
「……それがどうした」

「くくく、貴様が焼き払った人々。それはここに捕らわれている奴らの仲間! 貴様にそいつらを従える資格なんてないんだよ!!!」

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