スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第三章 開戦

閑話1 タマゴ

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「お前たち、これをどう見る?」

「タマゴっすね」

「ん。完全にタマゴ」

「まごー」

 俺の机の上に鎮座する黒く円形の大きな物体。
 そしてそれを取り囲むように立ち、各々のそれ・・の感想を言うのは俺とイブキ、そしてアンとスイの4人だ。

「しっかし何のタマゴなんすかねコレは。こんなデケータマゴ見たこと無いっすよ」

 それもそのはず、このタマゴ大きさにして80cmはある。
 あまりにも規格外だ。

「地球上に存在する最も大きいタマゴはダチョウのタマゴ、そして大きさは20㎝ほど。明らかにこのタマゴはそれ以上あるから前の世界にはいなかった生物である魔獣のタマゴであると推測できる」

「おおー流石スイっち」
「へへー、スイはねものしりなんだよ!」

 スイの推測は合っているだろう。
 事実俺は今までたくさんの魔獣を調査してきたが大きなタマゴを産むものもたくさんいた。
 流石にここまで大きいのは初めてだが。

「で、ジーク様はなんでこんなタマゴを自室に置いてるんすか?」
「うむ、実はな……」


 俺はこのタマゴを拾うに至った理由を話す―――――






 ◇





「よし、今日はこんなトコか」

 いつも通り日課のフィールドワークを俺はしていた。
 目的は有用な資源の発見と魔王国へ害を為すものの排除だ。

 なぜ俺が自らそんなことをしているかと言うと完全に趣味だ。

 魔力が世界に満ちたことで未知の植物や動物がそこら中に生息するようになった。
 ファンタジー大好きっ子の俺としては非常に心躍る展開だ、俺はマーレにもっともらしい理由を取り付け自ら探索に行くことの許可を取ることに成功したのだった。

「おお! また見たこと無い植物があるぞ!」

 俺が見つけたのは身の丈ほどもある巨大なゼンマイみたいな植物だ。
 触ってみるとよくしなり、耐久性も高い。量産できれば建材に使えそうだ。

「よし、能力値開示《ステータス・オープン》」

 俺の頭の中に植物の情報が流れ込んでくる。
 この魔法は本来存在しないモノで、分析能力に特化した魔道具により得た情報を魔王国のメインコンピューター『母なる頭脳マザー』に送ることで魔法と科学両方の視点で解析する。
 そうして得られた情報の中で俺が欲しいものを選別してこちらに再送信してくれる。

「ほう、熱を通せば食用にもなるのか。少し持って帰るか」

 俺はその植物を「多次元ポーチ」にしまうと探索を再開する。

「ん? ここら辺は魔力濃度が高いな」

 魔力濃度が高い場所は以前の富士山のように魔力溜まりになる可能性がある。
 原因を突き止める必要があるな。

 魔力探知をしながら森の中を進むとそれ・・はあった。

 黒く大きなタマゴ。
 それが森に大きなクレーターを作り地面に突き刺さっていた。
 上空から落下したのだろうか?

 俺は詳しく調べるために近づき、ある事に気づく。

「これはスゴイ……!!」

 とてつもない魔力をタマゴより感じた。
 驚くべきことにこの一個のタマゴが放つ魔力のせいで森全体の魔力濃度が上がっていたのだ。

「危険すぎる、破壊するか……」

 正直何が生まれるかは興味がある。
 しかし生まれる前からこれほど大きな魔力を持っているとなると成長した時に魔王国を脅かす存在になりかねない。

「すまんな……」

 俺はタマゴに手を当て魔力を込める。
 せめて苦しまぬように一息に終わらせようとした、その時。

「!?」

 何と手を伝い、タマゴより思念が流れ込んできた。
 言葉にこそなってないが『生きたい。死にたくない』という思いが伝わってきた。

「驚いた。もう思考出来るのか……!!」

 どうやら中にいる生き物は知能が高いみたいだ。
 そうなれば話は違う。

「持ち帰り世話をしてみるか。もしかしたら役に立つかもしれない」

 本当ならここで処分するのが最適だろう。
 しかし俺にはこいつの心の叫びを無視することが出来なかった。
 それに……

「謎の生き物の飼育……実にロマンがあるな!!」

 男はいつまでも少年なのだ。




 ◇



「なるほど、そんなことがあったんすね」

「ああ、今は魔力の放出を抑える術式を加えているが本当にとてつもない魔力だったんたぞ」


 あの後タマゴを自室に運んだ俺は世話能力の高いイブキと動物の思考が読めるアンとスイを招集。
 今に至るというワケだ。

「タマゴだから温めたら孵るんじゃないすか?」

「じゃーあたしがやる!」
「ん。私も」

 二人してタマゴに引っ付くアンとスイ。
 それにしても子供が二人くっついても動じないとは凄いタマゴだ。

「あ! いまうごいた!」

「なに! 本当か!」

「ん。どうやら温めるのは効果的みたい」
「ようし、じゃああーしもやるっすよー!」

 そう言ってタマゴに抱き着くイブキ。
 何とも微笑ましい光景だ。

「なに見てるんすかジーク様!」

「え、ああ済まな」
「ジーク様もやって下さいっす!」

「……え?」

「たのしいよ! やろやろ!」
「ん。同意」

 正直少し混ざりたい気持ちがあったが恥ずかしいし何よりセクハラになりそうで控えていたが、折角のお誘いだ。やってみるか。

「ぽかぽかー」
「ん。気持ちいい」
「へへへ、こーしてると家族見たいっすね」
「ホントマーレの前で言うなよ……」

 1つのタマゴを4人で抱きしめるという中々シュールな事をしていると、突如変化が起きる。

「……ん? 何か疲れてきたな」
「!? ジーク様、このタマゴあーし達の魔力を吸ってるっす!!」

 なんてことだ、やはり持ち帰ったのは失敗だったか。

「やむを得ん!」

 俺がタマゴをたたき割ろうと手を振り上げる。

 しかし。

「まって!!」

 アンの声で手を止める俺。
 いったいどうしたんだ?

「このタマゴ産まれようとしてるみたい! それにはたくさんのまりょくがいるみたいなの!」
「ん。協力してあげたい」

「そうか……」

 まさか魔王とその幹部3人から魔力を吸い上げようとは贅沢な奴だ。

 だが気に入った。

 お前に吸い尽くせるかな?

「イブキ、いけるか?」
「誰に聞いてるんすか? あーしはいつでも全力全開っすよ!」

 そう言い半龍モードになるイブキ。
 角や翼、尻尾が生えるこの形態中のイブキの魔力は幹部たちの中でもトップクラスを誇る。

「アンもがんばるよー」
「ん。スイも」

 そしてこの二人もとんでもない魔力の持ち主だ。
 心強いぜ。

「さあ来い!」

 俺の啖呵と共にタマゴは急速に魔力を吸い始めるのだった。
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