スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

文字の大きさ
58 / 143
第三章 開戦

第8話 金色の訪問者

しおりを挟む
 あくる日の魔王国。

 正門前の市場はいつも通りの賑わいを見せていた。
 まだまだ完全なものではないが貨幣制度も国に浸透してきており国民は以前のような普通の暮らしを取り戻しつつあった。

 魔人が運営している畑や牧場は正門を出てすぐの所にたくさん作られている。
 ゆえにそこから直ぐに食品を店舗に並べられるように正門前に市場は出来たのだ。

 そんなわけで正門は1日にたくさんの人が往来する。
 しかし、これでは門兵の負担が大きすぎる。

 そこで配置されたのが魔道具が『入国監査装置《エントリーオブザーバー》』だ。
 この魔道具は『母なる頭脳マザー』から全国民の魔力のデータを受け取り入出国者が国民かどうか判別できる。
 これのおかげで門兵は国民でない者への対処だけで済むのだ。

 そして今、門兵の持つ通信機が滅多に鳴ること無い警告音を放つ。

「む? そこのお前止まれ!」
「あん!? 俺か?」

 門兵は『入国監査装置《エントリーオブザーバー》』が不法侵入者だと示した人物を呼び止める。

 そいつは浅黒い肌の筋骨隆々な大男だった。
 髪は短い金髪。デカいサングラスとゴテゴテの金のアクセサリーが目を引く。
 総評するとヤンチャな成金サーファーといった見た目だ。

「お前国民ではないだろ! 一体何しに来た!」
「へーそんな事わかんだ? 意外としっかりしてんだな」

 真剣な面持ちで槍を構える門兵に対し、金髪の男はへらへらした感じで答える。

「俺が来た理由は一つ。お前らの王様に会いに来てやったんだよ」
「ジーク様に……!?」

 不遜な態度でとんでもない事を言う男。
 魔王国で暮らす者にとって魔王は天上の存在。
 こんな風に軽く扱われては頭に来るのも当然だ。

「そ! 早く呼んでくんね? 俺様もう疲れちまってさあ、なんか飲むものある?」
「貴様いい加減に……」


「おいおい、それが人にモノを頼む態度か?」


『!?』

 突如門兵の後ろより投げかけられる声。
 その声の持ち主は侵入者と同じく鍛え抜かれた肉体を持つ魔王国屈指の戦士。

「ヴォルク様!!」
「よお、正門が騒がしいって通報があってな。後は任せな」

 ニイ、と口角を上げ門兵を後ろに下げるとヴォルクと男は向かい合う。

「ほう、中々の良い筋肉ナイスバルク。俺の部下にならないか?」
「てめえ頭沸いてんのか? 今すぐ立ち去るかその顔面ボコボコにされるか選びな」

 手をポキポキと鳴らし威嚇するヴォルク。
 しかし男には全く効果が無い様で涼しい顔だ。

「そんなら痛い目見ろやあ!!」

 思い切り振りかぶり拳を打ち込むヴォルク。

 拳はうねりを上げて男の胸部に命中、凄まじい衝撃音が正門に鳴り響く。
 渾身の一撃が決まりヴォルクは勝利を確信するが……

「ふふふ……」
「んなっ!?」

 男は立っていた。

 しかも殴られる前から一歩も動かずに、だ。

「気持ちの入ったいいパンチだった。では私も」
「なっ!?」

 ズゴン!! とヴォルクの時より激しい音が鳴るとヴォルクの視界は回転を始める。

 やがて背中に衝撃が走り視界が元に戻りようやく自分が殴られて吹き飛ばされたのだと自覚する。

「ぐそがっ! なんて馬鹿力だ!」

 流れ出る鼻血を押さえてヴォルクは立ち上がる。
 頭を強く揺さぶられた影響で足はもうガクガクだが気合で何とか持ちこたえる。

いい気合いナイスガッツだ。ますます欲しくなったぜ」

 悠然と歩を進める男。
 ヴォルクは臨戦態勢を取るが先ほどのダメージが残っている、勝ち目は薄いだろう。

 しかし、ここで思わぬ助けが入る。

「そこまでじゃゴルディオ」
「ん?」

 ヴォルクを庇うように2人の間に割って入ってきたのは真紅の魔女。
 そう――――

「おお! テレサじゃねえか! 噂には聞いていたが本当にここにいるとはな!」

 テレサを見つけ喜ぶ男。
 ヴォルクはその様子を見て不思議そうにテレサに尋ねる。

「おい、お前あいつと知り合いなのか?」
「ふん、少しな。それより傷の回復に専念せい、わしでも勝てる保証は無いぞ……」

 見ればテレサの頬を一筋の汗が伝っている。
 ヴォルクは事態の重さを認識し傷の回復に努める。

「にしてもお前が人の下に付くとはなあ。どういう風の吹き回しだよ?」
「お主こそ白昼に堂々と侵入しおってからに、どういうつもりじゃ」

 互いの腹の内を探りあう2人。
 緊張した空気が流れるが、男はその空気に耐えられなかったのか両手を上げ参ったとでも言いたげなポーズをとる。

「慣れねー心理戦なんて止めだ止め。俺らしくイかせてもらうぜ」
「くくっ、どうするつもりじゃ?」

 男は白い歯をキラリと光らせ言った。


「お宅のボスが出てくるまで暴れ倒してやるよ」


「――――――っ!! 何と馬鹿な真似を!!」

 テレサは驚愕に目を見開き男を非難する。
 しかし男はどこ吹く風だ。

「だってしょうがねえだろ? 大人しく案内しないお前らが悪いんだぜ?」

 そう言うと男は体より金色の魔力を放出する。
 あまりの魔力に大気が震え、市場の屋台が倒壊を始める。

「くくく、さあ! 誰が相手になるんだ!!」


「もちろん私だ」


 颯爽と広場に降り立つ漆黒の影。
 その姿を見た避難している住人はみな歓声を上げる。

「お前は……」


「初めまして。魔王国頭首クリーク・O《オーネ》・ジークだ。よろしく頼むよ」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...