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第三章 開戦
第8話 金色の訪問者
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あくる日の魔王国。
正門前の市場はいつも通りの賑わいを見せていた。
まだまだ完全なものではないが貨幣制度も国に浸透してきており国民は以前のような普通の暮らしを取り戻しつつあった。
魔人が運営している畑や牧場は正門を出てすぐの所にたくさん作られている。
ゆえにそこから直ぐに食品を店舗に並べられるように正門前に市場は出来たのだ。
そんなわけで正門は1日にたくさんの人が往来する。
しかし、これでは門兵の負担が大きすぎる。
そこで配置されたのが魔道具が『入国監査装置《エントリーオブザーバー》』だ。
この魔道具は『母なる頭脳』から全国民の魔力のデータを受け取り入出国者が国民かどうか判別できる。
これのおかげで門兵は国民でない者への対処だけで済むのだ。
そして今、門兵の持つ通信機が滅多に鳴ること無い警告音を放つ。
「む? そこのお前止まれ!」
「あん!? 俺か?」
門兵は『入国監査装置《エントリーオブザーバー》』が不法侵入者だと示した人物を呼び止める。
そいつは浅黒い肌の筋骨隆々な大男だった。
髪は短い金髪。デカいサングラスとゴテゴテの金のアクセサリーが目を引く。
総評するとヤンチャな成金サーファーといった見た目だ。
「お前国民ではないだろ! 一体何しに来た!」
「へーそんな事わかんだ? 意外としっかりしてんだな」
真剣な面持ちで槍を構える門兵に対し、金髪の男はへらへらした感じで答える。
「俺が来た理由は一つ。お前らの王様に会いに来てやったんだよ」
「ジーク様に……!?」
不遜な態度でとんでもない事を言う男。
魔王国で暮らす者にとって魔王は天上の存在。
こんな風に軽く扱われては頭に来るのも当然だ。
「そ! 早く呼んでくんね? 俺様もう疲れちまってさあ、なんか飲むものある?」
「貴様いい加減に……」
「おいおい、それが人にモノを頼む態度か?」
『!?』
突如門兵の後ろより投げかけられる声。
その声の持ち主は侵入者と同じく鍛え抜かれた肉体を持つ魔王国屈指の戦士。
「ヴォルク様!!」
「よお、正門が騒がしいって通報があってな。後は任せな」
ニイ、と口角を上げ門兵を後ろに下げるとヴォルクと男は向かい合う。
「ほう、中々の良い筋肉。俺の部下にならないか?」
「てめえ頭沸いてんのか? 今すぐ立ち去るかその顔面ボコボコにされるか選びな」
手をポキポキと鳴らし威嚇するヴォルク。
しかし男には全く効果が無い様で涼しい顔だ。
「そんなら痛い目見ろやあ!!」
思い切り振りかぶり拳を打ち込むヴォルク。
拳はうねりを上げて男の胸部に命中、凄まじい衝撃音が正門に鳴り響く。
渾身の一撃が決まりヴォルクは勝利を確信するが……
「ふふふ……」
「んなっ!?」
男は立っていた。
しかも殴られる前から一歩も動かずに、だ。
「気持ちの入ったいいパンチだった。では私も」
「なっ!?」
ズゴン!! とヴォルクの時より激しい音が鳴るとヴォルクの視界は回転を始める。
やがて背中に衝撃が走り視界が元に戻りようやく自分が殴られて吹き飛ばされたのだと自覚する。
「ぐそがっ! なんて馬鹿力だ!」
流れ出る鼻血を押さえてヴォルクは立ち上がる。
頭を強く揺さぶられた影響で足はもうガクガクだが気合で何とか持ちこたえる。
「いい気合いだ。ますます欲しくなったぜ」
悠然と歩を進める男。
ヴォルクは臨戦態勢を取るが先ほどのダメージが残っている、勝ち目は薄いだろう。
しかし、ここで思わぬ助けが入る。
「そこまでじゃゴルディオ」
「ん?」
ヴォルクを庇うように2人の間に割って入ってきたのは真紅の魔女。
そう――――
「おお! テレサじゃねえか! 噂には聞いていたが本当にここにいるとはな!」
テレサを見つけ喜ぶ男。
ヴォルクはその様子を見て不思議そうにテレサに尋ねる。
「おい、お前あいつと知り合いなのか?」
「ふん、少しな。それより傷の回復に専念せい、わしでも勝てる保証は無いぞ……」
見ればテレサの頬を一筋の汗が伝っている。
ヴォルクは事態の重さを認識し傷の回復に努める。
「にしてもお前が人の下に付くとはなあ。どういう風の吹き回しだよ?」
「お主こそ白昼に堂々と侵入しおってからに、どういうつもりじゃ」
互いの腹の内を探りあう2人。
緊張した空気が流れるが、男はその空気に耐えられなかったのか両手を上げ参ったとでも言いたげなポーズをとる。
「慣れねー心理戦なんて止めだ止め。俺らしくイかせてもらうぜ」
「くくっ、どうするつもりじゃ?」
男は白い歯をキラリと光らせ言った。
「お宅のボスが出てくるまで暴れ倒してやるよ」
「――――――っ!! 何と馬鹿な真似を!!」
テレサは驚愕に目を見開き男を非難する。
しかし男はどこ吹く風だ。
「だってしょうがねえだろ? 大人しく案内しないお前らが悪いんだぜ?」
そう言うと男は体より金色の魔力を放出する。
あまりの魔力に大気が震え、市場の屋台が倒壊を始める。
「くくく、さあ! 誰が相手になるんだ!!」
「もちろん私だ」
颯爽と広場に降り立つ漆黒の影。
その姿を見た避難している住人はみな歓声を上げる。
「お前は……」
「初めまして。魔王国頭首クリーク・O《オーネ》・ジークだ。よろしく頼むよ」
正門前の市場はいつも通りの賑わいを見せていた。
まだまだ完全なものではないが貨幣制度も国に浸透してきており国民は以前のような普通の暮らしを取り戻しつつあった。
魔人が運営している畑や牧場は正門を出てすぐの所にたくさん作られている。
ゆえにそこから直ぐに食品を店舗に並べられるように正門前に市場は出来たのだ。
そんなわけで正門は1日にたくさんの人が往来する。
しかし、これでは門兵の負担が大きすぎる。
そこで配置されたのが魔道具が『入国監査装置《エントリーオブザーバー》』だ。
この魔道具は『母なる頭脳』から全国民の魔力のデータを受け取り入出国者が国民かどうか判別できる。
これのおかげで門兵は国民でない者への対処だけで済むのだ。
そして今、門兵の持つ通信機が滅多に鳴ること無い警告音を放つ。
「む? そこのお前止まれ!」
「あん!? 俺か?」
門兵は『入国監査装置《エントリーオブザーバー》』が不法侵入者だと示した人物を呼び止める。
そいつは浅黒い肌の筋骨隆々な大男だった。
髪は短い金髪。デカいサングラスとゴテゴテの金のアクセサリーが目を引く。
総評するとヤンチャな成金サーファーといった見た目だ。
「お前国民ではないだろ! 一体何しに来た!」
「へーそんな事わかんだ? 意外としっかりしてんだな」
真剣な面持ちで槍を構える門兵に対し、金髪の男はへらへらした感じで答える。
「俺が来た理由は一つ。お前らの王様に会いに来てやったんだよ」
「ジーク様に……!?」
不遜な態度でとんでもない事を言う男。
魔王国で暮らす者にとって魔王は天上の存在。
こんな風に軽く扱われては頭に来るのも当然だ。
「そ! 早く呼んでくんね? 俺様もう疲れちまってさあ、なんか飲むものある?」
「貴様いい加減に……」
「おいおい、それが人にモノを頼む態度か?」
『!?』
突如門兵の後ろより投げかけられる声。
その声の持ち主は侵入者と同じく鍛え抜かれた肉体を持つ魔王国屈指の戦士。
「ヴォルク様!!」
「よお、正門が騒がしいって通報があってな。後は任せな」
ニイ、と口角を上げ門兵を後ろに下げるとヴォルクと男は向かい合う。
「ほう、中々の良い筋肉。俺の部下にならないか?」
「てめえ頭沸いてんのか? 今すぐ立ち去るかその顔面ボコボコにされるか選びな」
手をポキポキと鳴らし威嚇するヴォルク。
しかし男には全く効果が無い様で涼しい顔だ。
「そんなら痛い目見ろやあ!!」
思い切り振りかぶり拳を打ち込むヴォルク。
拳はうねりを上げて男の胸部に命中、凄まじい衝撃音が正門に鳴り響く。
渾身の一撃が決まりヴォルクは勝利を確信するが……
「ふふふ……」
「んなっ!?」
男は立っていた。
しかも殴られる前から一歩も動かずに、だ。
「気持ちの入ったいいパンチだった。では私も」
「なっ!?」
ズゴン!! とヴォルクの時より激しい音が鳴るとヴォルクの視界は回転を始める。
やがて背中に衝撃が走り視界が元に戻りようやく自分が殴られて吹き飛ばされたのだと自覚する。
「ぐそがっ! なんて馬鹿力だ!」
流れ出る鼻血を押さえてヴォルクは立ち上がる。
頭を強く揺さぶられた影響で足はもうガクガクだが気合で何とか持ちこたえる。
「いい気合いだ。ますます欲しくなったぜ」
悠然と歩を進める男。
ヴォルクは臨戦態勢を取るが先ほどのダメージが残っている、勝ち目は薄いだろう。
しかし、ここで思わぬ助けが入る。
「そこまでじゃゴルディオ」
「ん?」
ヴォルクを庇うように2人の間に割って入ってきたのは真紅の魔女。
そう――――
「おお! テレサじゃねえか! 噂には聞いていたが本当にここにいるとはな!」
テレサを見つけ喜ぶ男。
ヴォルクはその様子を見て不思議そうにテレサに尋ねる。
「おい、お前あいつと知り合いなのか?」
「ふん、少しな。それより傷の回復に専念せい、わしでも勝てる保証は無いぞ……」
見ればテレサの頬を一筋の汗が伝っている。
ヴォルクは事態の重さを認識し傷の回復に努める。
「にしてもお前が人の下に付くとはなあ。どういう風の吹き回しだよ?」
「お主こそ白昼に堂々と侵入しおってからに、どういうつもりじゃ」
互いの腹の内を探りあう2人。
緊張した空気が流れるが、男はその空気に耐えられなかったのか両手を上げ参ったとでも言いたげなポーズをとる。
「慣れねー心理戦なんて止めだ止め。俺らしくイかせてもらうぜ」
「くくっ、どうするつもりじゃ?」
男は白い歯をキラリと光らせ言った。
「お宅のボスが出てくるまで暴れ倒してやるよ」
「――――――っ!! 何と馬鹿な真似を!!」
テレサは驚愕に目を見開き男を非難する。
しかし男はどこ吹く風だ。
「だってしょうがねえだろ? 大人しく案内しないお前らが悪いんだぜ?」
そう言うと男は体より金色の魔力を放出する。
あまりの魔力に大気が震え、市場の屋台が倒壊を始める。
「くくく、さあ! 誰が相手になるんだ!!」
「もちろん私だ」
颯爽と広場に降り立つ漆黒の影。
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「お前は……」
「初めまして。魔王国頭首クリーク・O《オーネ》・ジークだ。よろしく頼むよ」
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